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ヴァーミンズ・クロニクル  作者: 蠱毒成長中
最終シーズン-決戦編-
438/450

第四百三十八話 ブラッディ・ホライズン2~互いの被害者達~



駆け足だけど所詮つなぎだからさー

―前回より・雪原と化したエクスーシア王国―


「げぶふぁぁあああああ――ッガあ、おぶ、げべ――がぼ、がぇ!」


 あれから後、璃桜に為す術も無く散々痛めつけられた挙句片手で軽々と突き飛ばされたダリアは体力消耗に遂に幻妖の術さえ維持できなくなり、口・鼻・耳から大量の血を吹き出しながら吹き飛んでいき(その姿はまるで吹き出た血が生み出す推進力によって吹き飛んでいるかのようでもあり、酷く滑稽で間抜けにも見えた)、その後雪原に落下し勢い余って三転(した際の衝撃で三度血が吹き出し)、落ち着いたかと思わせてシメに咳き込むように吐血。以後その身体からは急激に体温が失われていき、やがてダリアは絶命した。


「……哀れで無様な結末だな、樋野。己の歪みに抗わず、欲の傀儡いいなりになるまま暴走を繰り返し、多くを巻き添えにしその総てを悉く抜け出しようのない災禍へ叩き落としたお前には相応しい末路とも言えるが……だとしてもお前が哀れで無様な屑であるという事に変わりはあるまい。歪みに肉を貪られ、邪念に骨を蝕まれ、それでも無理をした挙げ句二度も死ぬなど、滑稽ですらなく道化になど程遠い。失笑さえ誘えぬ底辺とはまさにお前を――否、お前とお前に恭順した総てを指し示す言葉なのだろうよ」


 嘲るように長々と吐き捨てた璃桜は夜魔幻の力による異形化を解除し、体細胞組織共々透明化させていた衣類を整えその場から音もなく走り去っていった。


◆◇◆◇◆◇◆◇


「ぅっ、そ、ぼばっ!……そんな、馬鹿なっ――っば!……なぁ、何故ぇ……何故私が……このラト・ルーブがこんな目に――ゥェ゛ッホ゛っ……」


 璃桜によって痛めつけられ絶命したダリアと同じような流れで春樹によって追い詰められたラトは、口や鼻から嘗て出したことの無いような――言い表すならばゲルかゼリーのように変質した絵の具やインクを数色分出鱈目に混ぜ合わせたような――信じがたい色の物体(恐らくは彼女の体液に相当するであろうもの)を吐きながら苦しげに咳込む。

「こんな、筈じゃあっ……私達、xN●v$k※Gp◇cは全宇宙最優の一族……劣等種族のC#mxW@zby&に、しかも紛い物に圧倒されるだなんて……」

 どうにか傷口を再生させながら、ラトは独り言のように呟いた。その中には凡そ我々がまず知り得ず、発音も不可能であろう――恐らくは彼女の母星に根付き伝わる――言語による単語が飛び出した。

「有り、得ないっ……有り得……なぃっ!こんな、ことがばぁっ!?」

 ラトの口と鼻から、再び体液に相当する気色の悪いゲルが吹き出した。倒れ込んだ彼女へ追い撃ちをかけるように、春樹の蹴りが叩き込まれたのである。

「っく゛、はぁ゛……ぁ゛あ゛ぁ゛……」

「何が、有り得ないって?」

「え゛ぁ゛ぅ゛、ぉ゛お゛……お゛ぼぁ゛、ぁ゛あ゛……」

「ねえ、有り得ないって何が?お前が栄光に包まれながら勝利する結末?そんなのお前が言うまでもなく目に見えてるけど?」

「ぁ……ぁ゛ぅ、え゛ぅ゛ぁ゛、ぁ゛……」

「……あーあ、宇宙船に乗って何億光年と離れた遠くの母星ほしからはるばるこんな所までやって来て、ただの卵からここまで成長して、そのままでも十分強大な組織で何不自由なく暮らせる立場を手に入れられたってのに、調子こいて二度も僕にやられて……何て哀れな女だろうね。哀れで、無様で、卑しくて……お前が汚い汚いと嫌ってた経験済みの女や男なんかより、ずっっっっと汚いのだ……」


 眼前で恩師を、そして我が子を殺された春樹の怨みは凄まじく、瀕死のラトを見下ろし罵声を吐く彼女の声と口ぶりは、普段の穏やかで可愛らしい様子からは想像もつかない程恐ろしげなものであった。変身して居なければ、歪みに歪んだ表情も相俟ってより恐ろしいことになっていたであろうことは想像に難くない。


「……はぁ。今のお前なんか、もうこの姿で始末するのも嫌になるのだ……」

 うんざりといった口ぶりで変身を解除した春樹は、既に鈍器としてしか役に立たなくなった篭手形態の『星海を這う砦』でラトの頭蓋骨を一気に素早く殴り潰した。


 因縁の怨敵に二度目の引導を渡した春樹は、その場から無言で立ち去りつつ一人思う。


「(……童貞だとか処女だとか、どいつもこいつもバカみたいなのだ。貞操なんてそんなに高価なものでもないってのに……)」


◆◇◆◇◆◇◆◇


「「夫婦奥義之紅めおとおうぎのくれない爆熱炎皇砲ばくねつえんおうほう!」」

「《三叉銀龍撃!》」


 リューラとバシロガルグイユの放つ巨大火炎球に続いて丸藤操る『電脳銀竜鍵』を展開したケラスの光線が、雪原を埋め尽くす辿晃やグゴンの眷属達を消し炭にしていく。

 それらに囲まれ守られるようにして雪原に鎮座するのは、グゴンの骨格に辿晃の外皮を被せて触手を生やし痩せさせたような化け物のジェミン・セ・ゴスタ。蘇生の際にに生じた不具合が原因で辿晃とグゴンが融合してしまった代物である。この文面だけ見ると如何にも悪質そうな存在に感じられようが、思想や性質はかの老外皮害二人に比べるとかなりまともであり、今回ガステに蘇生された指揮者・指導者トップの中では例外的に良心的であった(とは言えあくまで比較対象は辿晃やグゴンであるため、敵対・撃滅すべき害悪ではあるのだが)。

次回、コリンナとの対決なるか?

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