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ヴァーミンズ・クロニクル  作者: 蠱毒成長中
最終シーズン-決戦編-
430/450

第四百三十話 茶斗の戦(ちゃっとのせん)




増援、まだまだ参上!

―蘇生されるも増援に恐れを成し逃げ出した元デザルテリア国立士官学校高等科保険医・鳴頃野比良子なごろのひらこ独白モノローグ


 一体全体何がどうなってんのよ!?折角復活してあの忌々しいバカ共を焼き殺せるんだって時になって、いきなり雷が落ちてきたかと思ったら変な奴らが増援に駆けつけて、それでみんな次々死んでいって、これじゃもう復活した意味なんてあってないようなもんじゃない!これじゃ復活損よ復活損!

 しかも駆けつけた増援ってのがまた変な奴らばっかりって、もう何か完全にナメられてるとしか思えないんだけど!?ナメられるのが仕事みたいな蠱毒成長中あいつは兎も角私達が――っていうか、この鳴頃野比良子わたしがナメられるってまず有り得ないし有り得ちゃいけないでしょったくもう!

 しかも私達の所に襲ってきたのがその中でも特に変態じみたクズ共ってのが尚更気に食わないわ!何でそうなの!?せめてもっとまともそうな奴らが来るのが筋ってもんじゃないの!?ったく、本当信じらんないわよ!っていうかそもそもこんな展開書くとか蠱毒成長中あのバカ正気なわけ!?本当、そんなんだから麻痺した感覚で下手な事書いてフォロワーに怒鳴られたり、何処の馬の骨とも知らない奴らにナメられて時間と体力を無駄に浪費すんのよあのゴミは――


―前回より・雪原と化したエクスーシア王国―


 鋼鉄製の巨大な足によって踏み付けられたた白い平面に広がる赤い染みは、それそのものが比良子の確かな死を意味していた。我が身可愛さの為に戦から逃げ出した彼女は敵の目をやり過ごすべく雪中に身を隠していたのだが、殆ど誰にも視認されない程に巧みな擬態が逆に仇となり、増援に駆け付けた者達の駆る巨大ロボットによって存在さえ気付かれないまま無意識の内に踏み潰されてしまったのである。


―ロボットの内部―


「んー、中々敵が現れないですねぇ。どうしてでしょう?」

 操縦席コクピットに座ったまま芝居がかった喋りで如何にもわざとらしく首を傾げるのは、赤紫色の肌に灰白色のショートカット、瞳孔が山吹色をした大小六つの眼球が特徴(本人曰くチャームポイント)である割烹着姿の鬼頭種・アルバ。

「姉様、現れないんじゃなくて逃げてるんじゃありませんか?」

 後部の副操縦席より至極冷静に的確な突っ込みを入れるのは、"眼球が瞳孔が緑色の単眼である"とか"若干細身気味である"という以外は大抵姉と瓜二つなアルバの妹・ジェディ。

「えー?ちょっとジェディちゃん、それは幾ら何でもあんまりじゃない?曲がりなりにも相手はプロの軍人さんとか兵隊さんとかカルト教団さんとかなんだし、こんなに可愛いロボットに怯えて逃げ出すなんてあるわけないじゃない」

『いや、デザイン云々以前にまず大きさで逃げるでしょ普通……』

「晶様、それを言っちゃあお終いですよ」


 これまでの突飛すぎる展開に何が何だか理解できないであろう読者諸君の為、事のあらましを順序立てて解説させて頂く。

 アルバが『可愛い』と称して妹共々乗り回す巨大ロボットは彼女の作であり(ただの侍女に過ぎないアルバが何故このような巨大ロボットを自作できるのかについては殆ど謎であり、そもそも彼女と妹ジェディの経歴等には不明・不可解な点がかなり多い)、名を『メカジェディ28号』という。その名の通り双子の妹ジェディを模して造られており、デフォルメされているもののその分効率的な記号化に成功しており再現度は(少なくとも作者が各種アイコンジェネレータで作ったアイコンなどよりはずっと)高い。搭載されている武装は見た目とコンセプトの割にかなり強力であり総じて大量破壊兵器と言っても差し支えないスペックを誇るためか普段は十日町邸に封印されており、今回のような有事でもなければ日の目を見ることはまずない。内部構造は各種動力機関・武装・複座式操縦席コクピットに加えて何故か客間まであり、内部には二人と共に戦場へ向かった十日町晶と彼女のネット仲間四人が(雪原に到着くまでの間)乗っていた。


―以下、十日町晶のチャット仲間達その一の活躍―


「処女!処女がいたわッ!年齢的にオバサン一歩手前だけど確かに処女よっ!」

「おぉ、マジだ!マジで処女だ!カレー臭えけど処女だ!」

安産型ケツデカながらマジモンの処女ぞ!」

「婚期逃して生き遅れた感じの眼鏡だけどこれは確かに処女ね――「センクション・ブレードォッ!」

「「「「ぶあらがっっっ!?」」」」

 信帝ラトに献上すべく一人の女に狙いを定め取り囲み捕獲しようとした海神教信徒達を、突如として飛来した数本から十数本程度の光り輝く銃剣らしきものが刺し殺す。本質が実態のない幻影かエネルギー塊であるそれらが消滅するのと同時に、標的にされた女は数度深呼吸した後腹立たしげに叫ぶ

「悪かったですね婚期逃して生き遅れたオバサンでっ!ええそうですよそうですともっ!どうせ私は今年で29、ロリコンからしたらもう既に老婆ババアの域ですよっ!年齢イコール彼氏居ない暦の処女ですよ!胸や胴回りより尻のがでかいですよっ!ついでに四六時中カレーばっか食べてる所為で部屋も衣類もカレー臭いカレー女ですよっ!その所為でHNハンネまで"カレー中毒・・・・・"にしちゃいましたよっ!けどそれが何ですか!?何なんですか!?別にいいじゃないですか独身処女でオバサン一歩手前のカレー好きでも!カレーいいじゃないですか!肉も野菜も効率よく摂れるし薬膳だしストレス抑制効果あるし最高じゃないですか!食べ過ぎたからってどうということもないじゃないですか!」


 これらの発言からお分かり頂けることと思うが、この青いショートヘアに山羊のような角を持ち眼鏡をかけたノモシア系有角種の女こそ、晶のチャット仲間である"カレー中毒"ことマリエラ・佐久間・ツァーガンである。ノモシアにてフリーの霊媒師として活動する宗教者である。多少ばかり間の抜けた所はあるものの、温厚で真面目な人柄と一度受けた依頼は限界までやり通すスタイルから高い人気と知名度を誇り、地元のローカル局ながらテレビ番組にも出演したことがあるなどかなりの実力者である。

 ただ、温厚とは言え何をされても受け流せるというわけではなく、年齢や恋愛・性経験及び体型(より具体的に言うなら、中々に大きめの胸囲と程良く引き締まった胴囲に対し若干不釣り合いな大きめの尻)について弄られようものならオクタニトロキュバンが如し勢いで怒りを爆発させ、敵兵であるならば問答無用で斬り殺しにかかるまでに凶暴化するのである。

次回、更なるチャット仲間の登場!

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