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ヴァーミンズ・クロニクル  作者: 蠱毒成長中
最終シーズン-決戦編-
419/450

第四百十九話 奴らがついに最終決戦へ挑むようですよ?



今回より本編最終シーズン『決戦編』がスタート!

―某国・さる王城の一室―


「遂に……この時がやって来たのね……」


 顔面を豪奢な仮面で覆った少女は、壁に画いた複雑怪奇な円陣の前に佇み言う。


「ああ……長かったわ……本当、長かった……でもこれで、漸く復讐が果たせる……」


 仮面に手をやりながら、少女は恨めしげに呟く。


「待ってなさい……この私に楯突いたこと、存分に後悔させてあげるから……」


 傍らに跪くフードの人物に何かを告げた少女は、ゆっくりとその場を後にした。


―前回ラストより数週間後のある日―


「さて、我等が親愛なる製作陣諸君……」

「今日は皆に重大な事を告げねばならないの」


 食卓に集められた(諸事情により暫定加入のケラスを含む)ツジラジ製作陣の面々に向けて、繁と香織は柄にもなく古風で仰々しい口調でそう切り出した。


「何だよ二人とも、妙に改まっちまってらしくねぇな。一体何だってんだ?」

「何って、この流れからしてまた次の収録場所の発表とかなんでしょうよ。ねぇ、そうでしょ?」

「まぁ、確かにそうっちゃあそれなんだが」

「どっちかっていうと"それでもある・・・・・・"って方が正しいかしらね」


 思わせぶりな香織の言葉に、聞き手であるメンバー八人の頭へ疑問符が浮かぶ。


「"それでもある"、とはどういう事です?」

『勿体ぶらずに教えて下さいませんか』

「あぁ、うん、そうね……何て言えばいいかな……」

「こういうのは普通に言った方がはええだろ」

「そ、そうだよね。うん、解ってはいるんだけど……ちょっと躊躇っちゃって」

「しょうがねえな全く……んじゃ率直に言うぞ」

「うん」

「実は先日、遂に解ったんだ――俺らが戻る為の、最も安全で確実な方法がな」

「戻る……って、まさかあんた達……」

 事前に『普通に行うのが早い』と言いながらわざとぼかすような表現を用いた繁の言葉。そこに籠められた意味を真っ先に察知したのは、繁や香織との付き合いが最も長いニコラであった。


「そう、そのまさかよニコラさん。私達は遂に見付けたの。私達が産まれ育った惑星――つまり本来の私達が属する世界である"地球"に戻る、ほぼ唯一にして確実な方法を」


 僅かな躊躇いをかなぐり捨てた香織の告白は一同に衝撃を与え、図らずも全員が同じタイミングで動揺・絶句した。しかし沈黙はさほど長続きもせず、八名はすぐに落ち着きを取り戻す。

「そっか、遂にやったんだね。つまり次の行き先は……」

「そう、予てから掲げていた私達の最終目的――地球への帰還に必要なものの回収に向かうわ」

「要するにこれが最後の戦いだ。つまり終わりゃあ俺ら二人はカタル・ティゾルからサヨナラって事だな」

「皆と別れるのは正直辛いし、皆ももしかしたら辛いかもしれないけど、私達は所詮異界民。帰るべき場所に帰れるのならそうすることが当然の道理だろうし」

「引き込んどいて勝手な言い草だが、何時までも殺人ラジオでDJやらすわけにもいかねぇからな……無責任とも思うが、この戦いが終わったらツジラジは解散だ。後はお前らの好きなように生きろ」

「そうか……ま、何時かはこの時が来るんだろうって事は覚悟してたが、いざ目前に迫ってきたってェなると不安でしょうがねえな……」

「私もだ。まあ引き留めたりなんてバカな真似はしねーが……そうか……最終決戦的なアレか……」

『それで、行き先と作戦はどのように?』

「行き先はエクスーシアのテリャード城、作戦は小細工無しの正面突破で行く。何にせよあの国や城を丸ごと壊滅させるような規模じゃなくていい、ブツさえ手に入りゃこっちのモンだ。ダリアの脳ミソから吸い出した手順に倣って術を発動し、次元の門を開いて地球に帰還かえれる」

「成る程……然しエクスーシアとは……まさに王侯貴族による独裁国家の代名詞的ですね」

「んで、テリャード城と言えば王家の奴らが住んでる中枢の中の中枢。近頃の建て増しでやたら豪華にだだっ広くなったっていうし、華々しい最後を飾るには持って来いの舞台なのだ」「(芽浦さんの言動が完全に暴徒とか戦闘狂とかのそれなんだけど、気にしたら負けなのかな……)そういえばツジラジ最初の収録もノモシア王政国家での王政襲撃だったんですよね?そう考えると何だか――新参の癖にこういうこと言うのも何ですけど――既視感デジャヴっていうんでしょうか、そういうのを感じちゃいますね――っと、そうだ!」

 何とか流れに取り残されまいとしたケラスは、さりげなくも思わせ振りにある思い付きを口にした。

「この次の収録が終わったら、辻原さんと清水さんはすぐにでも地球に帰らなくちゃいけないんですよね?でしたら近日中にでも、最終収録の成功と解散後の安泰祈願も兼ねてお二人の送別会を開くっていうのはどうでしょう?私、元調理師ですし、皆さんの為に色々なお料理お作りしますよ?」

 その提案に一同は声を揃えて賛同し、翌日より(送別会の主役である繁と香織も含めた)全員で準備に取り掛かる事となった。


 然しその予定は、思いもよらぬ者達の介入によって実行されぬまま脆くも崩れ去ることとなる。

次回、ツジラジ製作陣にまさかの危機!

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