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ヴァーミンズ・クロニクル  作者: 蠱毒成長中
シーズン6-エレモス編-
407/450

第四百七話 戦うゲスト様-同時多発対巨大戦、激動!-




あっけない末路……

―前回より・聖地ロコ・サンクトゥス平原―


【(サア、刺シ貫カレテミンチトナr――グゲァァァァアアアア!?】


 咄嗟に振り抜かれた十二の刃は、迫り来る触手のような尾の全てを瞬く間に切り落とした。


【ア、ガァッ!ヲガ、私ノ、尾ガッ……何故、コンナコトニッ……】

 苦痛に悶えながらも慌てて尾を引っ込めたオールドーは慌てて切り落とされた部位を再生せんと力を込める。だが、身体を維持するための養分を生成・貯蔵する部位であり、それ故に太い血管が幾つも集中している二十本以上の尾を一気に全て切り落とされた彼女には必要最低限の力さえ残されていない。瀕死の重傷を負いどんどん衰弱していく彼女を嘲笑うように、尾の傷口からはどす黒くドロドロした体液が流れ出る。

「馬ぁぁ~っ鹿じゃないの、あんた」

 倒れ伏し悶えるオールドーに歩み寄り嘲りと侮蔑の籠もった罵声を浴びせるのは、革製の戦闘服を着込んだ少女―もとい、"クアル・ハイル"構成員・エリニム。本来ならば橄欖石カンランセキのような緑色である筈の瞳を不自然なまでに赤く光らせた彼女の笑みは、この上なく凶悪で残忍な本性をありありと物語っていた。

「っていうか、チョロ過ぎ。あの程度の攻撃であたし達を殺せるとでも思ったわけ?」

 ぎたりと口元を歪ませたエリニムは、マントに仕込まれた刃物を実質無抵抗なオールドーの手にゆっくりと突き刺していく(因みに『あれオールドーの相手はエリニムだけで十分であろう』とでも判断したのか、ドロールとグリスはその場を立ち去っていた)。

【ッグ、アガガガガァ!?】

「だとしたらてんでお笑いよね。あんな簡単な―策にもなってないような策に引っ掛かるなんて」

【イ゛ッ――ア゛ギ、グガッ!】

「本当、チビの癖に大した作戦も考えられないなんて……あんた、何のために生きてんの?」

 次々と罵声を浴びせながら、エリニムはもう一本、更にまたもう一本と、マントの裏に隠した刃物をオールドーに突き刺していく。その度にこの哀れな生体兵器は到底言葉になりそうもないような悲鳴を上げ、マントに仕込まれた最後の一本が突き刺さるより前に、出血多量と痛みのショックで力尽き絶命してしまった。

「本ッッッッ当大したことないわね……こんなのが切り札だなんて、本当頭おかしいんじゃないのあのオバサンは」


◆◇◆◇◆◇◆◇


「クィビゲァァァァァァアアアア!パギェアアアア!フィギギギギギィィィ!」


 山河を跨ぎ田畑や小都市をも蹂躙する程の巨体を誇る両生類・ドラゴマンドラ。グゴンの力によりあらゆる方面への強化を受けて蘇生された彼の暴虐は留まるところを知らなかった。アルティノやダカートが皮膚を焼こうと意味はなく、セレイヌの協力を得たラピカが全身を氷漬けにしようとそれを難なく内側から打ち砕き、酸欠に追い込みつつ蔦で絞め殺すというシャアリンとロロニアの策も力任せに無力化する。三人の唱道者メンターに力を貸す二匹の妖怪と一柱の死神は、この恐るべき両生類の馬鹿力に寒気を覚えたと後に語る。

 唱道者と使徒精霊が駄目ならばチームさとてんはどうかと問われれば、此方も戦況は芳しくないと言わざるを得まい。大士の電撃や結花の火砲及び刃物や鈍器、聡子の物体を消滅させる妖力の球体による攻撃さえドラゴマンドラの凄まじい再生能力の前にはほぼ無意味であり、それらを補助する意味合いで凛がドラゴマンドラを縛り付けるのに用いた縄(蜘蛛の糸を何十にも寄り合わせたもの)さえ軽々と引きちぎられ実質的な拘束時間は3秒にも満たないという有様であった。

 最早現状を打開せねば長期戦に持ち込まれてしまうだろう。そうなれば常軌を逸した持久力と耐久性を誇るドラゴマンドラの勝利は確定したも同然と言える。『ではどうするべきか?』休戦がてら集い話し合った異界の猛者ゲスト達は、やがてある結論に辿り着く。『逆に考えればいい・・・・・・・・』という結論に。

「(そうだよ、何で気付かなかったんだ……辻原だってそうしてた・・・・・・・・・・じゃねえか)」

【(大丈夫かなぁ……なんか明らかに死ぬ感じしかしないんだけど……これが死亡フラグって奴?だとしたら笑えない上段だよぉ……)】

 自ら進んで命懸けの大役に立候補した大士の顔は自身に満ち溢れていた。然しその一方、彼に力を貸し与える雷獣・朧姫玲瓏は作戦実行に一抹の不安を隠せずにいた。だがここまで来てしまった以上、今更二の足を踏んでも居られない。そもそも、これは自分から望んだ事である。あのどこかスカしたような態度でいけ好かない赤い髪の女はどうにも気に食わないが、これほど親和性の高い優れたパートナーを用意してくれたこと、そのパートナーと縦横無尽に暴れ回れる機会と権利を与えてくれたことくらいは感謝しなければなるまい。ならばあの化け物を倒すぐらいの事はして当然だろうと、玲瓏はそう思うことにした。

【(いや、そもそもその考えが間違いなのかも……そうだよ、これはあんな奴なんかの為じゃない。大士の為だと思えばいいんだ。それなら納得行くもん)】


 かくして一同はドラゴマンドラ確殺作戦を実行に移すべく行動を開始する。

次回、こういう手合いにはやっぱり"アレ"でしょ!

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