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ヴァーミンズ・クロニクル  作者: 蠱毒成長中
シーズン6-エレモス編-
406/450

第四百六話 戦うゲスト様-同時多発対巨大戦、激烈化!-





バトルはまだまた続く!

―前回より・聖地ロコ・サンクトゥス平原―


「低俗で下賤な下等生物共よ……神にも等しい我等に逆らいし汝らの罪、最早地獄さえ生温き罰と思いなさいッ!」

 怒りに打ち震える辿晃は、相対するフォルティドラコネム、ルラキ、ランゴ、エリヤの四名目掛けて様々なタイプの光線や光弾を放つ。それらは例えば複雑に曲がりくねる光線であったり、無数に分裂しては統率のとれた魚群のように動き回る光弾であったりする。それらの存在は辿晃が産まれながらにこの世の常識を超えたものである事を確かに物語ってはいたが、だからといって眼前の敵(或いは離反者、反逆者)達へ致命傷を負わせたり、仕留めるまでには至っていなかった。

「フッ!ハァッ!何が地獄だ!そんなもん、てめえに支配されるよか断然マシだろうがッ!」

 飛び交う光弾を手足や尾で弾くように打ち消しながら果敢に言い返すフォルティドラコネムは幾度となく辿晃をぶちのめさんと攻撃を繰り出し続ける。

「だからって地獄に堕ちてやるつもりなんて無いけどね、刺し違えてでもお前は殺す!」

【くたばりゃあがれクソボケがぁぁぁ!穴ボコだらけのボロ雑巾ゾーキンにしてやらぁぁ!】

白粉おしろい塗りたくったクラゲみたいなクズの癖に生意気なのよっ!】

【許さぬ!例え天地人を成す宇宙の万物がお前を許そうとも、この私だけはお前の全てを許さぬのだッ!】

【お前のような老害クソニートの掌上にて躍らされているに過ぎなかった自分に腹が立つ余り自己嫌悪に陥り自らを生きたまま標本にしてやりたいとさえ思うも、思い止まり仲間や故郷の為お前に角を向け立ち向かう男、ボーグル!】

【ボーグルの発言が的確過ぎてそんな面白オモシレコタァ言えんがとりあえずニートクソボケババアの辿晃死ねっつっとく】

【ジャア俺モボケカスアバズレ傍迷惑自己中クソニートイカレポンコツババアノ辿晃ニ死ネッツットクワァ――死ネ!】

【そう来られっともうマジでネタがなくなっちまうぜぇ。仕方ねーや、じゃあ俺っちも――死ね!"氏ね"じゃなくて"死ね"だぜぇ!】

 ルラキ及び彼女に装備される六つの武具(形状は刃物から火器、鎧のような形のもの等)へと姿を変えたザトラの使い魔達は、有りっ丈の暴言をこれでもかという程に浴びせながら眼前の怨敵へと立ち向かう。特にルラキにとってこの己天辿晃という化け物は、自ら(を含む多くの人々)の日常を破壊し、数多の大切な人々を苦しめ(またその多くを殺し)、母校に大量虐殺と戦犯の罪を着せ、眼前で|掛け替えのない二人のエリスロとセルジスを喰い殺し――と、挙げればキリがないほど怨む理由のある、まさに"怨敵の中の怨敵(スウォーンエネミー・オブ・スウォーンエネミー)"とでも呼ぶべき存在であるからして、殺す決意は並大抵のものではない。

 黒光りする六つの武具を身に付けたルラキの姿は"勇猛で凛々しくも聡明にして妖艶なカリスマ溢れる爵位級の女悪魔"を思わせた。実力や実績、美貌共々学園の各所で度々話題になる抜群のスタイルは黒光りする鋭利な外骨格が如し鎧に覆われて尚隠されておらず、彼女が単なる優秀な学生剣士である以前に一人のオンナなのだという事を見る者に見せつけているかのようであった。


―一方その頃・ランゴとエリヤはと言うと―


「あの名誉学生ルラキ・カリストがとんでもない姿になったものだな……」

「ふむ。才色兼備の気高き巨乳剣士ボインフェンサーは黒き暴竜との深き情愛を通じて獰猛さを身に付け怨敵へ立ち向かう……か」

「それ、凄くダサくありませんか。主に"巨乳"と書いて"ボイン"と読む所が」

「んー、そうか?じゃあ"巨乳"で"グラマー"と読むのはどうだろう?」

「マシにはなりましたけどダサいのは相変わらずですね。というか女性がそういうこと言うのってどうなんですか」

「いいじゃないか別に。僕はもう霊長種基準じゃ孫に手製のクッキーや羊羹を振る舞ったりするような年齢トシなんだし」

「竜属種基準じゃその半分にも満たないじゃないですか。というか年齢関係ありませんって」


 他二名(実質他八名)が必死な中何を暢気にくっちゃべってるんだと思われるかもしれないが、好き勝手喋りながらも戦闘ることは戦闘っていたりする。


◆◇◆◇◆◇◆◇


【ナ、ハ……ア……バ、馬鹿ナ……コンナ馬鹿ナコトガッ!一体何故!?何故コンナコトニッ!?】

 重傷を負い、危機的状況に陥ったオールドーは、血の流れ出る傷口を押さえ狼狽していた。その理由はと言えば、相手取った者達が予想外に強かったばかりでなく、見知らぬ力を使い自分を圧倒してきたからに他ならない。

 そもそも彼女は―というより彼女等アポストルスは、肉体形成時に吸収したスプレーマントロプスの記憶を満遍なく得ることができる。そして彼女が吸収したスプレーマントロプスの中には、幸運にもドロールやエリニム、グリスと言った今相対しているクアル・ハイルの面々と接触・交戦した個体がかなり含まれていた。故に彼女はこの三名の戦闘能力をかなり詳細に把握しており、詳細な分析から彼らを"自分ならば圧勝できる相手"と認識し、戦闘に臨んでいたのである。

 だが上記の発言を見ればその認識は上記の台詞を見れば解るとおり大きな―具体的に言えば"蜂毒に小便"という俗説にも匹敵する―間違いであった。この三名は純粋な戦闘能力に於いてオールドーを遙かに凌駕しているだけでなく、彼女(及び彼女が肉体を為す為に吸収したスプレーマントロプスの殆ど9割)が今までに見たことのない未知の力を有していたのである。


「おやおや、どうしたのですお嬢さん?元気がないようですが……」

「お腹でも痛いのー?」

「ならば診て貰うといい。彼―ドロール公は元開業医、その手腕は確かなものだ」

【(ナ、南斗――ジャナカッタ、何ト白々シイ物言イ!コイツ等正気カ!?)イ、イエッ!オ気ニナサラズ!ヨクアルコトデスノデ、慣レテマスシ平気デス!】

 本音としては"オ前ラニヤラレタンダヨ!"とでも言い返してやりたかったが、下手に刺激して殺されたのでは元も子もない。上手く時間を稼げれば傷は塞がり逆転の可能性も高まるだろう。否、傷が塞がり体力が回復しさえすればこちらのものだ。

「そうですか?とても平気なようには見えませんが……」

【大丈夫デスッ!ホ、ホラ見テ下サイ!コノ傷ホボ塞ガッテマスシ、血ダッテ止マッテルデショウ?デスカラゴ心配ナク!私ハ大丈夫デスノデ!】

 オールドーが必死で言い聞かせた甲斐もあり(しかしどういう訳か)三人は彼女に背を向けその場を後にする。敵が取った予想外の行動に困惑するオールドーであったが、兎も角これは好機と自らに背を向け歩く男女三名に鋭い尾を伸ばす。

【(フフフ……私ノ尾ハ変幻自在故何者ニモ防ガレズ回避モサレナイ必中ニシテ万能ノ武器!如何ニ特異ナ力ヲ使オウガソノ肉体ガヒトデアル以上喰ラエバ死アルノミ!)】

 尖った20以上の尾―一人当たり最低6本―が気付かれる事なく標的へ迫る中、オールドーは勝利を確信する。

【(サア、刺シ貫カレテミンチトナr――グゲァァァァアアアア!?】

 しかしその確信もまた、振り抜かれた刃物によって脆くも崩れ去るのである。振り抜かれた刃物によって脆くも崩れ去るのである。

次回、クアル・ハイル勢に何が起こったのか!?

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