第四百五話 戦うゲスト様-同時多発対巨大戦、熾烈化!-
まだまだ行くよォォォォ♪(今の小学生は知らないネタ)
―前回より・聖地平原―
「おうおうおうおうおうおうおう!防げよ避けろよ逃げ切れよッ!さもなきゃてめえら灰だぞ灰ッ!」
亜塔、零華、アンズ、玲、ケラス、リューラ及びバシロという七名(実質六名或いは六名半)と交戦するグゴンの猛攻は『荒々しく粗野かつ野蛮。更に自惚れが強く身の程知らずで弁えもなく傲慢にして無遠慮』という彼(及び作者)のどうしようもなく腐りきった救いようのない性根を象徴するかのような、無差別極まりなく凄まじいものであった。
少なく見積もっても三十は取り付けられていそうな大口径バルカン砲は常時照準さえまともに定められないまま何もかも狂ったように連射され続け、連射とは程遠い筈の擲弾発射器からは一度に4から6もの弾丸が一気に発射される。かと思えば無反動砲が砲弾を放ち、しばしば誘導弾やレーザー光線、電撃等が辺り一面を飛び交ったりしており、凄まじいまでに響き渡る爆音と恐るべき勢いで燃え上がる爆炎の連鎖は遠目から見聞きしてもその光景の惨状は明確であった。
挙げ句の果てにはグゴンの腹部に備わったハッチが開き、内部から『グゴンサマサイコー!』『グゴンサマバンザイ!』等というような、単純明快に彼を讃える言葉だけを延々と連呼し続ける自立型の戦闘ロボットが飛び出しては襲い掛かってきたりと、戦場の混沌ぶりは加速度的に上昇していく。
「ク・ソッ・タ・レェェェェェイ!こんな馬鹿げた事があるかぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「何かこれあの金髪眼鏡に血風丸折られた時よりやばいんですけどぉぉぉぉぉ!?」
【気張れ亜塔ォッ!俺の血がありゃ機関砲の弾丸ぐれーは喰らっても再生する!】
【零華ちゃんもよッ!今こそあたしの翅を存分に使いなさい!】
【アイル様の翅は魔術の媒体でもあります!ガラン様ほどの強度や再生能力はありませんが、弾道をねじ曲げる事なら可能です!】
「いえッ!ここは私が柵木さんの変化術で壁や装甲車のようなものに化ければ万事解け――【やめぇアンズ!非正規の術者であるおめーがそねぇな事したらいけん!死んでまうど!】――っと、そうなのですか!?それはすみません……しかしこの弾雨をどうにかしないことには……」
「なら私に任せて!紀和さんやファープの力を使えばあんなの包んで封じ込めるぐらいどうってことないわ!ね、二人とも?」
【その通りだ、玲。ついでに微々たるものだろうが、僕の魂へ微かに残るスラッグの情報を付与してより防御力を高めておこう!これで銃弾なんかじゃ君は死ななくなる!】
【謙遜することないじゃない、ケン。貴方の微々たるものなんかじゃないわ。それとアンズ、聞くところによると貴女は愛する主君の為一人で戦い続けているそうね?】
「はい、確かにそうですが」
【そして私が見た所―これはあくまで主観だけれど―貴女は今尚この場に於いて"一人で戦っている"という認識に縛られているのではなくて?柵木さんが居るから実質一人ではないけれど、だからこそ『他の者に頼ってはいけない。率先して役に立たねば』等と思っていたのではなくて?】
「……何故分かったのです?」
【生前私もそうだったからよ。ある程度の馴れ合いはあったけど、仕事や戦いで他人を頼る事は滅多になかったわ。でも今なら理解るの、他人に頼れる時はしっかり頼るべきだってね。だからアンズちゃん、確かに誰かを助けるのも大切だけど、それ以上に大切なのは助け合うことなのよ】
「……ありがとうございます、紀和殿。では玲さん、貴女がたのお力存分に――「駄弁ってんなよメスガキ共ォ!」―ッな、しまった!」
痺れを切らしたグゴンによって放たれた数発の誘導弾は、如何なる防御策の介入も許さず一同目掛けて直進する。一同は直撃を避けようと脱兎の如くその場から逃げ出すが、誘導弾はどう逃げようとも彼らを無駄なく執拗に追い回す。『最早絶体絶命か』――ある者は諦め、ある者は尚も何らかの抵抗を試みる。そして、誘導弾がそれぞれの目鼻の先にまで到達した、刹那。
「「夫婦奥義之三十八、包縛靭柔網!」」
「ぐぉぉぉおおあああ!?」
咄嗟に馳せ参じたリューラとバシロが黒い網のようなものを放ち誘導弾を捕縛、そのまま投げ返した。投げ返された誘導弾はグゴンの顔面付近で炸裂する。
「ぐッ、くそ、てめえンの野郎!誘導弾投げ返すとかナメた真似しやがって!」
「うっせぇ、職務放棄の暇潰しで勝手に戦争おっ初めて大勢殺したてめえらのがよっぽどナメてんだろうが」
「そうだこの腐れニートが。正直俺としちゃ妹同然だった女の人生滅茶苦茶にされた怨みもあって本当なら生きたままてめえの腹をカッ捌ェて臓物ミンチにするなり胴体輪切りにするなり目玉へ返し付きの杭ブッ刺して引き抜くなり舌ァ一ミリずつ輪切りにするなりしてやりてえ所だが、尺の都合だ。ストレートにブチ殺してやる。有り難く思え」
「ヘ、勝手に言ってろ!つーかお前の妹同然だった女って誰だよ!?」
「誰だってか?こいつだよ。このケラス・モノトニンって鬼頭種の女だよ。お前、この女の瀕死に付け込んでサイボーグにするばかりかてめえの手駒として操ってたらしいじゃねえか」
「いや知らねーよ誰だよモノトニンって。その辺りはハルツのアホが勝手にやった事だ、俺に責任は――「うっせー黙れ!この期に及んで責任転嫁とか何様のつもりだてめえ!おめーの所為でこいつがどんだけ苦しんだか理解ってんのか!?家畜同然に扱われて人間性も記憶も失って、やっとこ蘇生されて新しい人生スタートさせたかと思ったら知らず知らずの内に戦争の道具にされてたんだぞ!?」
「何だよ急にキレんじゃねーよ!つーか責任転嫁云々以前にその女はマジで俺の管轄じゃっぶげらああああ!?」
弁明するグゴンの顔面に、インヴェジョンブラスターの砲弾が叩き込まれる。
「尚責任逃れたァ見苦しい野郎だ!おうテメェ等、正直ここで俺が仕切っていいのかどうか微妙なんだが俺らでツチノコニートブッ締めっぞ!」
「【「【【「【「【【「応ォォォーっ!」】】」】」】】」】」
「お、お~?(いいのかなぁ。あいつの言い分も強ち間違ってなくて、どっちかと言うとバシロさんの方が言い掛かり臭いんだけど……ま、流れとか尺の都合もあるし別にいいよね)」
次回、遂に決着なるか?