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ヴァーミンズ・クロニクル  作者: 蠱毒成長中
シーズン6-エレモス編-
398/450

第三百九十八話 戦うゲスト様-まとまらねえな……-




注意:近年稀に見るグダグダっぷりです。ご注意下さい

―前回より・聖地ロコ・サンクトゥス平原―


「ラジオ制作陣諸君、紹介しよう!彼らこそは我が嘗ての同志『T.O.R.O.四神』の三人に、クロコス・サイエンスの擁する戦闘人員の中でも特に代表取締役ミルヒャ・ハルツの寵愛或いは尊敬を受けたという『反乱の四凶』の四人と一匹、及び彼らに等しい実力と地位を有したと名高き少年暗殺者ケン・ファープ氏だ」


 ザトラは相変わらず妙に腹立たしく思えてしまうような所作を交えた喋りでメモ用紙片手に紹介文を読み上げる。


「実際に交戦経験のある者、並びにここまでくまなく読み続けていた読者諸君ならばお解りのことと思うが、彼らは本来故人である。然しながら此度の戦いに於いては、彼ら自身たっての希望及び作者の願望によりさる伝手を通じてこうして現世へ一時的に蘇生された状態にある。詳細については専門の方をお呼びしているので其方からアぁぁァァァッっ!」

 本格的な説明モードに入っていたザトラの頭を、辿晃の光線が掠める。間一髪で避けた所へ、怨嗟と怒りの籠もった辿晃の声が響き渡る。

「戦場で敵の存在も忘れてお喋りに夢中になるとは……相も変わらずふざけた女ですね、ザトラ・ヴァンクス……貴女のそうした軽薄さと、才能とも思えるほどの腹立たしさは本当に腹立たしい……」

「お褒めに預かり光栄だよ、根源……否、己天辿晃殿クソゴクツブシ。最も巫山戯た性格や軽薄さ、鬱陶しウザさというようなものは既に自覚済み故、今更お前如きに指摘されるような事柄でもないがな」

婆娑羅バサラが減らず口を……」

「婆娑羅で結構。元より仮にお前が権威者であるのなら、公衆の面前で股を開いて顔面に跨り糞か小便、或いはより臭いの酷いものでもぶちまけてやりたいぐらいには怨んでいるからな」

「その言葉、そっくりそのままお返ししますよ、ザトラ・ヴァンクス……花も咲かせず養分ばかり吸い取って土を枯らす、まさに雑草のような牝よ……」

「他の誰に言われようと構わんが、お前にそういう事を言われるのは気に食わんな。学園敷地内の地下水脈から湧き出る魔力を自らの生成物と言い張っては"学園を影から支える大いなる生命体"を騙り横暴の限りを尽くし、挙げ句道楽のために人造人間まで作らせたお前にだけは」

「何とでも言いなさい、どのみち貴女がたは我々に滅ぼされる運命なのですから。グゴン、気を取り直して勝負後の後片づけと参りましょう」

「おうよ!覚悟しゃあがれゴミ共!英傑の力をそっくりそのまま引き継いだ俺らの力、見せてやらァ!」

 手始めの肩慣らしとばかりに機動隊と軍部陸兵の方へ向き直ったグゴンは、自身に備わった火器の全てでそれらを殲滅しにかかる。しかし相手は上層部こそ無能ばかりだが実力派揃いの隊員と陸兵から成る混成部隊。障壁や迎撃レーザーなど技術の粋を凝らした装備で集中砲火を迎え撃ち、ジープやヘリに乗り込んでは高い機動力でグゴンを翻弄する。


「ふむ、開戦の流れのようだな。では皆の衆、準備はいいか?」

「おウ!」

「バッチコイよ!」

「行けますとも」

「万端じゃ!」

「寧ろ早くして欲しいわ」

「右に同じく」

「では私は左で」

「前に……」

「ならば私は後ろだッ!」

 ザトラは八人が意気揚々と呼び掛けに応じたのを確認するや否や、二枚目のメモ書きを取り出し叫ぶ。


「魂魄融合術式コード入力、『手抜きと演出は紙一重』!」


 わけのわからないコード入力に伴い"術式"なるものが発動。復活した七名は宙を流れるデータの塊となってそれぞれ七名の異界からの猛者ゲスト達の体内へと流れ込みその肉体を変異させていく。当人達はその感覚に戸惑いながらも、自身に満ち溢れる新たな力に一種の快感を覚えながら喜々としてグゴンや辿晃に向かっていく。


「フッ……上手く行ったか」

「おいザトラ、お前一体何をした?」

「詳しい話は後だ。今はともかくあの老害二匹をどうにかするのが先決であろう。幸にも敵は二ひ――きィィィィ!?」

 突如振り下ろされたオリバー・クラッカーの拳を、ザトラは何ともギャグチックな動作で―しかし、本人にとっては大真面目に―回避する。見ればそれまで何故か活動を停止した生体兵器の生き残り達が再び動き出しており、しかもそれらは混成部隊や成り行きからそれに混じる形で戦うT.O.R.O.隊及び反乱軍メンバー等、グゴンと辿晃の敵ばかりをピンポイントに襲っている。


「なッ!これは一体どういうこと!?」

「緊急待機信号を発していながら何故動いてッ!?」


 混乱するダンパーとハルツ。彼等は共に生体兵器が自分達に逆らって来た時の事を想定し、それらの動きを問答無用に停止させる"緊急待機信号"を仕込んでおり、密かに放っていたのである。


「緊急待機信号ォ~?何言ってんだテメェ等、馬鹿じゃねぇのかァ!?」

「そのようなものに意味などありません。生体兵器とは我等の細胞を継ぎし、言わば我等が子に等しきもの」

「俺らがチト本気になりゃあ、意のままに操るぐれーわけねーんだよ」

「T.O.R.O.隊や反乱軍のような、比較的知能が高く血の薄い者共は不可能ですが……それでも十分でしょう」

「ふん。蒔かぬ種は生えず、故に子は親を選べぬとはよくぞ言ったものよ」

「感心してる場合かクソ主!そうこうしてる内にも軍隊みてーな奴らがどんどん死んでんだぞ!?」

「フッ、案じる事はないルーナック。見ろ、我々がこうしている間にも件のラジオDJ共は戦場で必死に戦っているのだ。そう慌てる事もない」

 ザトラの言う通り、その場に待機していた筈の大勢はいつの間にか戦線に加わっており(ダンパーとハルツはランゴとエリヤの手を借りて避難済み)、その場には辿晃とザトラ一味だけが取り残されていた。

「いや慌てなきゃならねー流れだろストリィィィム!」

「ぐばらっっ!――……おい、何も蹴ることないだろう!?」

「うっせー!これが蹴らずに居られっか!俺らも戦わせろ!何でもいい、ドンパチやらねえと気が済まねーんだよ!」

「わかった。何でもいいならアレを使おう」

次回、蘇生云々の話は冒頭で補足入れます

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