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ヴァーミンズ・クロニクル  作者: 蠱毒成長中
シーズン6-エレモス編-
397/450

第三百九十七話 戦うゲスト様-帰ってきたファミリアマスター-



もうサブタイで誰が出るのかバレバレ

―前回より・聖地ロコ・サンクトゥス平原―


「さっきから黙って聞いてりゃあ、やれ老害だのクソニートだのボケ老人だのと好き勝手吐かしゃあがってからに!いい加減にしろよテメェ等ぁ!おう辿晃、後片付けだ!こいつら全員殲滅シマうぞ――「フゥーッハッハッハッハァ!話は聞かせて貰ったぞ!」――な、何だぁ!?」


 突如響き渡る、自信に満ち溢れながらどこか間抜けにも思える若い女の声。如何にも芝居がかったその声の主が誰か分かったのは、大士の他にはダンパー達中央スカサリ学園の上層部ぐらいのものであった。


「フッフッフッフッフ……まさかかの蛹芽戦争にそのような真実があったとはなぁ……不謹慎かもしれんが、戦争の黒幕がなまじっか歳ばかり食いすぎて金と力を持て余したバカガキニートモンスターとは何とも滑稽な事よ……」

「テんメェ言わせておきゃあベラベラとくっちゃべってくれやがってからに!どこだ!?どこに居やがる!?」

「こそこそ隠れていないで姿を見せてはどうなのです!?言いたいことがあるのなら面と向かってはっきり言いなさい!」

「そう言われて素直に出てくるバカは普通居ないが……まあ良かろう!そこまでお望みとあらば姿を現してやらんこともない!有り難く思え!」

 愚弄されたことに怒り狂ったグゴンと仙晃バケモノどもの声に応じるように、スーツケースを持った若い―凡そ16か17歳程度で、種族は尖耳種と思われる―女が一人、七匹の小動物を伴い何処からともなく平原へと姿を現した。

 黒いマントに黒と金のレオタードという変態めいた身なりに美しいブロンドの長髪を棚引かせたその女は、見る者の八割を苛立たせ、一割五分を呆れさせ、五分を困惑させるであろう無駄に大袈裟で芝居がかった動きで名乗りを上げる。

「我が名はザトラ・ヴァンクス!乱世に咲く一厘の黒百合にして、弱者を優しく包み込む母なる闇の遣い!そしてこの作品の真なる主人公にしてヒロ――「長え上にメタ臭え出鱈目言ってんじゃねえストリィィィィィム!」――イばァァぁぁぁああああ!」

 何とも鬱陶しい口振りのブロンド女―もとい、元(?)T.O.R.O.四神が一人であるザトラ・ヴァンクスの顔面に、自身の使い魔である蝙蝠のルーナックの蹴りが叩き込まれる。

「っ……すまん、流石に言い過ぎた。名乗り直して―「もう1000字近えんだから駄目に決まってんだろストリィィィィィム!」――もばぁぁぁぁぁぁあっ!」

「っく……ふ……すまん、正直すまんかった……いや本当切実にすまんかった……うん、真面目にやる。だからもう蹴るなルーナック。いや蹴らんでくれ。というか蹴らんで下さい本当お願いします」

「……ふん、まぁ良かろう。そんなに言うなら蹴らんでおいてやる」

「ルーナック、あんた……いや、ザトラ様もザトラ様だけどあんた……」

「さて、では気を取り直して――「助けに来てやったぜ、ダンパーのジジイ!」

 ザトラの台詞を奪ったルーナックの言葉を受けたダンパーは、安堵より先に戸惑いの表情を隠せないでいた。何せ死んだ筈の部下が目の前に生きた姿で現れたのである。困惑して当然であろう。

「まさか……本当にザトラとルーナックなのか?」

「いかにも。私がザトラ・ヴァンクスだぞ理事長!」

「そして俺がルーナックだ!」

「更にその姉グニールに」

「そのまた姉のトライスラ」

「乗せてる方が本体のユニ」

「流れに沿って名乗りを上げる男、ボーグル!」

「ソンデカトルト」

「ロキシャだぜぇ~」

 使い魔達が全員名乗りを終えた辺りでザトラは大士に向き直る。

「さて、久しぶりだな少年。こうしてまた出会えた事、好敵手トモとして嬉しく思うぞ」

「何時から俺とお前が好敵手ライバルんなったんだよ」

「おいおい、そこは『フッ……俺もだぜザトラ』なんて返すのがその筋のルールだろう?」

「生憎俺はカタギなんでな。つーかお前、死んだんじゃなかったのかよ」

「いやぁ、実はな?あの弾丸め額の肉を深く刔り骨を掠めはしたが脳には一切到達していなかったのだ」

「どこのヴ男だよ。最後は腕だけになって死ぬんじゃねーか?」

「滅多な事を言ってくれるな。大丈夫だ、そう簡単には死なん。それより随分縮んだかと思えば装備を変えたのか。イメチェンという奴だな?」

「縮んでねえよ。元からこんなだよ」

「そうか。まあ何にせよお前のような男前に相応しい身なりだな」

「ザトラ様、スタンバイガ終ワッタミテーデスゼ」

 世辞臭い本音を言うザトラの肩に飛び乗ったカトルの言葉にザトラは『うむ、わかった』と深々頷く。

「スタンバイ?何の事だ?」

「実は我々以外にも、ここへ集った増援の者達は数多く存在するのだ!と、スタンバイという言葉に含まれた意味を解説する男、ボーグル!」

「増援?」

「左様!あの身勝手な巨獣に立ち向かうべくこの地へ集ったのは、何も我々だけではないということだ!」

 そう言ってまた見る者の八割を苛立たせ、一割五分を呆れさせ、五分を困惑させるであろう無駄に大袈裟で芝居がかった動作の後、ザトラはそれに負けず劣らずの胡散臭い大声を夜空に轟かせる。

「出でよ!権力の枷より解き放たれし一万と二千の公僕達!」

《《《『『『うおおおおおおおおおおお!』』』》》》

 ザトラの呼びかけに応じてロコ・サンクトゥス平原の外側からその場の者達を取り囲むように現れたのは、無数の軍用ジープと戦闘ヘリコプターの群れ―もとい、その中に乗り込んだエレモス警察機動隊と軍部の陸兵から成る巨大な混成部隊であった。その中には指揮者である高宮と真壁の他、途中で合流したらしい王将達や月光の姿も見られる。

「更に出でよ!地獄の底より這い戻りし嘗ての我らが同士!並びに我らが宿敵となる筈だった猛者達よ!」

 続くザトラの呼び掛けに応じて地面から染み出すように現れたのは、どこかで見掛けたような異形の人影八人分であった。ハルツとダンパー、並びにツジラジ制作陣の幾人かはそれらの人影に見覚えがあった為に、一瞬何事かと絶句してしまう。だが、それも無理はなかった。


 何を隠そうその人影の主とは、嘗てツジラジ制作陣が二手に分かれて学園とCS社を襲撃した際一部人員と交戦しては死闘を繰り広げ―ザトラのような"偶然による生存"が先ず見込めないであろう致命傷を負って―確かに絶命した筈の"T.O.R.O.四神"及び"反乱の四凶"の七名(と一匹)及びケン・ファープの計八名だったのである。


「そんな馬鹿なッ……ザトラのみならず、三入やハ・セゥ、神下までも……」

「嘘でしょ……ガランにアイルに永谷ちゃん、室見に柵木事務総長まで……」

「えッ……まさか、王将?なんであいつが、こんな所に?」

次回、(あくまで作者としては)惜しまれつつも戦場に散った四神と四凶の復活!その裏で手を引いていたのは、やっぱりあの老人だった!

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