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ヴァーミンズ・クロニクル  作者: 蠱毒成長中
シーズン6-エレモス編-
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第三百九十五話 戦うゲスト様-糠喜び-





決着……するの?(聞くな)

―前回より・聖地ロコ・サンクトゥス平原―


 デウサントロプス・カエルム。中央スカサリ学園地下深奥部に鎮座し、学園に上質な魔力と強力な生体兵器を与える"真の支配者"ジェニティガサリゴ・エカセルスィの真の姿であるというそれに、"青く透き通り発光する花のような刺胞動物"の面影はまるでない。そも全体的な輪郭からして薄手のドレスを身に纏うほっそりとした女人である。但しよく見ればそれはドレスを"身に纏う"というより、ドレスと一体化したかのような容姿をしておいる。

 皮膚とドレスの境目は曖昧であり、またヒトらしき手足は存在せず、末端はただ白いドレスの薄紅色をした袖や裾が微かに波打っていた。頭部には頭髪らしき皮膚の隆起が見受けられ、顔面には赤い硝子玉のような眼球が五つ備わる。反面鼻・口・耳の類はなく、それらしい起伏さえ見られない。


◆◇◆◇◆◇◆◇


「いいかテメェ等ァ!鋼鉄の身体を手に入れたこの俺―ゴノ・グゴン様こそは、まさに強靭!ついでに無敵!並ぶ者のない史上最強の存在となった!デウサントロプスだか何だか知らねーが、何が来ようとカスはカス!神をも殺しきる俺の武装を持ってすれば、あんな奴らを殺すのに時間など要しはしねえ!だからよォ、社員共!この戦争に勝ちたきゃあ、とにかく俺について来やがれ!分かったか!?」

『『『おぉおおおおおーっ!』』』

 頭から後ろを強靭な装甲や数多の武装で多い尽くすことにより四足巨竜型の移動要塞を思わせる姿となったゴノ・グゴンの登場と彼の呼びかけに、それまで困惑と失意のどん底にあったクロコス反乱軍の面々やクロコス・サイエンス参加の生体兵器達は開戦時の志気を取り戻しては鬨の声を上げ、進軍を開始する。その勢いは凄まじく、機械の四肢を得たグゴンに至っては一歩を踏み出すだけでも敵勢を圧倒し、砲の一発でも放てば数十の敵兵を一瞬にして吹き飛ばせてしまう。

「素晴らしい……これならば、もしかすれば勝てるかも……」

「おいハルツ!馬鹿な事言ってんなよ!"勝てるかも"じゃねえ!"勝てる"んだよ!いや寧ろ"勝つ"!"勝たなきゃならねえ"し、"勝って当然"なんだよ!だからなぁ、もう敗北を心配する必要性なぞ―――」


 刹那、学園側本陣のある方角から放たれた一筋の光がグゴンの眉間を貫き・・、乾いた大地を揺るがす巨体の動きはその一瞬で瞬間的に停止する。


「へ?」

「は!?」

「何があったの!?」

「どうした!?」

「何なんだよ!?」


 突然の出来事にクロコス・サイエンス側の面々は混乱に陥り、やがて"ゴノ・グゴンの死"という事実を知り得た事により混乱は絶望へと変わっていく。一方、中央スカサリ学園側は実質的に確約された勝利から歓喜に沸き立っていた。取り残されたツジラジ制作陣やフォルティドラコネム及びルラキといった面々を除き、その場の流れはまさしく両極端の一言に尽きた。

 だがそんな流れの向きは思わぬ形で急変する。


「!?」

 ふと、反乱軍メンバーの一人が何かに反応する。

「どうした?」

「いや……なんか、声が聞こえたような……」

「声って、誰の?」

「……グゴン様?」

「はぁ?あんたこの非常事態に何言ってんの!?」

「グゴン様はさっきの一撃でお亡くなりになったんじゃ!」

「死人の声なんて聞こえるわけ――「いや待て!俺も聞いたぞ!」―へ?」

「私も聞いたわ!」

「何!?」

「あたしも!」

「え?」

「僕もだ!」

「は?」

 それからというものの、数多の反乱軍メンバーが次々に『死んだ筈のグゴンの声を聞いた』と証言。証言者の殆どが高い聴力を誇る者であった為に、幻聴の可能性も否定される。

 そしてクロコス・サイエンス側の流れが絶望から困惑に変わり始めた頃、死せる巨竜の声は響き渡る。


「ク……フフハハハハ……られっちまったか……こりゃあ、参ったなァ……」

『『『『!?』』』』

 グゴンの発したその言葉は、クロコス・サイエンス側のみならずロコ・サンクトゥス平原に集う全ての者の耳にまで入り、それぞれ困惑や歓喜の中にあったり傍観を決め込んでいた三陣営を驚愕させた。

「三連覇成らず……か。どんだけ準備しようが決着は一瞬……何時も変わらねえ」

「そういうものでしょう、我々の勝負など。策を弄することなど所詮前座に過ぎません」

 そればかりかグゴンは、自身を殺した張本人であるデウサントロプスと親しげに―まるでビデオゲームの対戦プレイを終えた友人同士のように―話し込む。


「ぐ、グゴン様っ!?これは一体どういうことなのです!?」

「我等が怨敵であるかの巨獣と親しげに話し込むとは、一体何があったのですか!?」


 ハルツとダンパーの問い掛けに、互いの主は嘲り混じりの言葉を返す。


「んぉ、そういや言ってなかったっけなぁ」

「いいでしょう、ならば貴方がたに真実を聞かせて差し上げましょう」

「とは言うものの、先ずはどっから話したもんか……」

「では最初に、我々の正体から教えて差し上げましょう」

 デウサントロプスの言葉を受けて、三陣営の者達はハッとした。そういえば自分達は、この二匹が何なのかということを全くと言っていい程知らないではないか。そんな三陣営の心理を知ってか知らずか、二匹の化け物は饒舌に自らの素性を語り出す。

次回、驚愕の真実にスタジオ騒然!(スタジオってどこだよ!?)

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