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ヴァーミンズ・クロニクル  作者: 蠱毒成長中
シーズン6-エレモス編-
391/450

第三百九十一話 戦うゲスト様-帰って来ない月光お爺ちゃん-




鬼王「電話だけ寄越しゃあがったよあのジジイ……」

―前回より・聖地ロコ・サンクトゥス平原―


「はぁあああああ!?そりゃ一体どういう事だ!?まるでわけがわかんねぇぞ!?」


 中央スカサリ学園卒業生・鎗屋鬼王の怒号は凄まじく、近場を偶然通りかかったカニス・セルウスの一匹が驚いた拍子に転倒、石に頭をぶつけ死んでしまう程であった。しかしそれも当然かも知れない。何せ突如行方不明になっていた実父・月光から連絡があったかと思えば、開口一番の発言が『戦線から撤退しろ』である。謝罪とか状況説明とか他に色々と言わねばならない事があろうにも関わらず、それらをすっ飛ばした上に何の脈絡もない流れで『撤退しろ』である。それも、優勢とは言わずともそれなりに好ましい戦況でのことである。気が荒く好戦的な鬼王は元より、読者諸君でもそんな真似をされては(程度の差こそあれ大抵が)腹を立てずにはいられないのではないだろうか。


『や、じゃけぇよう、撤退じゃて』

「だから何で撤退だよ!?つーか親父今まで何処行ってたよ!?」

『うーむ、どこから説明したらええんかのう』

「最初っからだ最初っからァ!」

『よし分かった。最初からじゃな。えーっと……「原初の昔、大いなるパスタは大酒をかっ喰らって言った。宇宙よあ――「誰が宇宙の始まり説明しろっつったよ!?」

『いかんかったか?』

「"いかん"かったよ!寧ろ"いく"わきゃねーだろ!つーか何だパスタが酒飲んで宇宙創造って!?」

『え、知らん?空飛ぶスパゲッティ・モンスター教って』

「知るかァァァァァ!つーか最初からだよ!主に俺らの前から姿くらました頃―具体的に言やぁ三百八十一話、丁度十話前の後半辺りからだよ!」

『おう、その辺りか。うむ、実はな――』


 月光は電話口で息子にこれまでの出来事―独断で学園地下へ向かい、機密情報を賭けて王将達と戦いを繰り広げた末に敗北したこと―を話した。


「そうか……親父、俺らの知らない所でそんな苦労を……」

『そ、そうなんじゃよー。儂もおめー等程ではねーが色々と苦労を――「してねえよなあ!?」――ひぅっ!』

 鬼王の剣幕は遂に親子の立場を反転させるに至った。

「親父、親父ぃ、親父様よォ~何勝手な真似をしやがってくれちまいやがってんですかねェ!?抜け出してサボった上にカタギの生徒に喧嘩売って負けて独断でホイホイ機密情報差し出すたぁ……随分と仕事熱心なよーで感心ですわぁあああああ!?」

『ひぃぃぃぃ……ゆ、許せ鬼王、我が息子よ。根源エカセルスィ様を逃がす為には追っ手を足止めする必要があったのも事実じゃし――「だからって勝手に居なくなるか普通よォォォォ!?そもそも追っ手の足止めならジャンゴやヴェインのが向いてんじゃねーか!?わざわざ親父が出向く必要があったか!?それも無言で、薬も持たず!」

『だ、だってお前……正直に理由を伝えても行かせてくれんじゃろぉ……?』

「ったりめーだぁ!今日は持病の慢性型魔力減退症の悪化する危険日じゃねーか!そんな日に単独行動なんぞさせられっかァ!つーか足止めは兎も角何がどうなりゃそこで機密情報やら俺らの撤退やらの話んなるかなぁぁぁぁ!?」

『えっ、いやー……あぁ、あれじゃよ。そう、餌で釣りゃあ目的に目が眩み負けやすくなるかと……』

「それやる気出して勝ちやすくなる率のが高くね!?いやそもそもバカ正直に約束守ってんなよ!反故にして逃げるとかしろよ!」

『いやー、曲がりなりにも儂ってば元教育者じゃし?約束破るのって柄じゃないんじゃよね』

「元は教育者でも今はギャングだろうが!教育者の帽子脱いでギャングの帽子被れや!」

『えー?儂、角の都合で帽子は被らん主義なんじゃけど』

「そういう意味じゃねェェェ!そういう意味じゃねェだろ!俺が言いてーのは心構えとかそういう話で――「鬼王殿、あれを」―何だぁ!?今俺は取り込みち――……いィ゛?」

 グェイ・クーに呼び止められた鬼王は、彼の指差す先を見ては絶句し、思わず携帯電話を落としそうになった。

『え?ありゃ?何が起こりょーるんじゃ?』

「……親父ィ、昔のアニメに『慚悔猛者ジコケンオー』ってあったよな……」

『あぁ、あったのう。エイプリルフール企画じゃったんがマジでテレビシリーズになった奴じゃろ?確か卑屈な大学生が自分の過去に決着をつけるべく変に気色悪いハエ型ロボットに乗り込んで戦うとかいう。人気なんか不人気なんか今一ハッキリせんゆーて逆に話題なんじゃよね』

「そう、それな……それのよ、22話って覚えてっか?」『22話……あぁ、敵組織クローン帝国サウスターの幹部キング・シンの部下で同じく幹部のラバーファッティ・ハートの初陣じゃったな――んで、ジコケンオー22話がどうしたんじゃ?』

「あぁ、いや、何だ……そう、アレだよ。状況がその話にスゲー似てんだよ」

 息子のその発言から何かしら察したらしい月光は、それでも何とか食い下がろうとする。

『パートは?』

「Aパート前半」

『視点は?ラバーファッティ・ハート視点かジコケンオー視点か』

「暴走したラバーファッティ・ハートの巻き添え喰らって死ぬ雑魚戦闘員」

『それってつまり……』

「どう考えても人が大勢死にます。本当に有り難う御座いました」

「皆逃げろー!ここら一帯が吹き飛ぶぞー!」

「……ほォあぁぁあああッ……!」

「儂にいい考えがある!」

「皆ぁっ、ヴェインに続くわよっ!」


 ラブレドの声が響き渡った直後、突如何処からか上空に廃材や爆発物が大量に出現する。それらはロコ・サンクトゥス平原の大地へ悉く―まるで叩き付けられるかのように―降り注ぎ、乾いた大地とそこに在ったあらゆるものを焼き尽くした。

 その範囲は平原全域にこそ及ばなかったものの全体の四割にもなり、直に被害を受けなかった者達さえその殆どが余りに衝撃的な光景を目の当たりにしたことで―ほんの少しの間だが―戦闘を中断した程であった。


◇◆◇◆◇◆◇◆


「り、理事長っ……これはまさか……」

「ああ、遂に来たようだな……忌まわしき"奴"めが……」

次回、漸く"奴"が本格参戦!?

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