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ヴァーミンズ・クロニクル  作者: 蠱毒成長中
シーズン6-エレモス編-
387/450

第三百八十七話 戦うゲスト様-開幕!体感型ウォーゲーム-





勝負の実体とは……

―前回より・聖母黄金華咲く決戦場―


『儂とおめー等の"勝負"――その概要は、単刀直入に言えばスゴロクと戦略シュミレーションゲームを合わせたようなもんじゃ。よってダイスサイコロが重要になってくる』

「シュミレーションにサイコロ……TRPGみたいなアレですか?」

 星月の言う"TRPG"とは"テーブル・トーク・ロール・プレイング・ゲーム"―即ち、卓上で専用冊子・六面または十面のダイス・キャラシート・筆記用具を用いるという、アナログでありながらその奥深さにより古くから多くのファンを持つゲームの略称である。

『いんやぁ、TRPGとは違うかのぅ。ありゃ用意されたシナリオにゲームマスターという人間の意志が重なって動くもんじゃが、こっちは人造の制御部であれこれ決定するけぇ。TRPGほどサイコロも振らんし、キャラシートも要らんけぇな。とりあえず攻撃食らってゲージ無くなったら負けとか、そういうゲーム的な要素は変わらん』

 月光は冷静に解説を開始する。

『基本的に勝負はターン制じゃ。各プレイヤーは自分のターンでのみ自由に動き回ることができ、仲間のターンに何かしよう思うたら許可が必要になる。但し仲間ターンと敵ターンでもできる行動もある。まぁこの辺は後々説明しようかのう。

ほんでターンは基本的に交代なんじゃが、今回は1対6の変則ルールとしておめー等一人一人のターンが終わるごとに儂のターンが来るようにさしてもろうた。悪ぅ思うなよ、ゲームバランス調整っちゅうやっちゃ。ターンは主に九つの段階に分かれちょる。段階ごとにできる動作も決まってくるけぇ気ぃ付けぇよ』

 月光はパワーポイントのスライドを切り替える。

『まず最初の開始段階。ここは主に前のターンまでに何がどうなったんかを確認するだけの段階じゃな。

ほんで次が供給段階。前のターンである程度ものを使うと、ここでそこそこ補充してくれるっちゅう段階じゃ。

その次が移動段階。ここでダイスを振って、各兵力は出目に対応する範囲まで移動を行う。また、出目毎にランダムで色々な効果が発動することもあるんじゃ。

そしてその次に戦闘―とはならん。その前に第一動作段階じゃ。ここでは戦う前の下準備やら、兵力の補充やらを行う。まぁ動作によっては戦闘まがいの事もできるがな。

第一動作段階の次がいよいよ戦闘段階。攻撃範囲におる敵に攻撃できる。但し当然ながら攻撃は必中じゃあねえ。よう考えて攻撃するんじゃ。

戦闘段階を過ぎると第二動作段階に入る。まぁ基本は第一動作段階と変わらんが、戦闘の前後では状況も変わろう。何にせよその場に適した戦略を心がけるこっちゃな。

ほんで所得段階。ターン中の動作によっては色々と便利なもんが手に入りもする。主には自分を強化したり、動作段階で相手を攻撃したり、自分以外のターンで動き回ったりするようなもんじゃな。

んでラスト。終了段階はそのままに、ただ終了を宣言するというだけの段階じゃ』

 月光は次々とスライドを切り替えながら話を続けていく。

『次に兵力を説明しよう。シュミレーションゲームというだけあって、儂ら七人は全員軍隊を率いる司令官っちゅう設定故、配下の兵力もようさんおるんじゃ。比率や細かな特性は異なるが基本的には歩兵、騎兵、砲兵、衛生兵、工作員、車両、航空機、船舶、輸送機が軽・準軽・中・準重・重の最大五段階まで存在すると思うてくれたらええ。これらは何れも陣の据え付け装置で生産できるロボットじゃが、専用の資源がねーと作れん。資源は定期やら何かのボーナスやらで供給できるがそれでも限りがある。計画的に使うんじゃぞ。その他各プレイヤーの個性を反映した特殊戦力なんかもおるんじゃがそれは実際に戦場で見た方がはええじゃろ。司令官である儂ら自身が直に戦うのもかなり先じゃしな。

おっしゃ、儂から言えるんはこのぐれーじゃ。操作方法とかその他細かい諸々はあとで説明書配るけぇ、それ参照。ほんならぼちぼち開戦と行こうかのう』

 解説を終えた月光はスライドを閉じ、のんびりと開戦を宣言する。

『ほんじゃ先ずは陣決めじゃ。おめー等の手元へダイスを一つ転送するけぇ、手元に来たら適当に投げぇや』

 月光が指示するのと同時に、六人の手元にダイスが転送される。

『そのダイスにゃ儂の術がかかっとる。どんな投げ方をしても所定の位置に飛んでいくし、互いに同じ出目を出すこともない。これで皆が平等にそれぞれの陣へ配置されるっちゅうわけよ』


 言われるままダイスを投げた結果、六人の出目は以下のようになった。


 一…奈々

 二…つばさ

 三…秋

 四…星月

 五…心愛

 六…王将


 出目から陣が決まるのと同時に、六人はそれぞれの場所へと転送されていった。それを確認するのと同時に王将は卓に備わっていたスイッチを押し空中モニターを引っ込める。続いて魔力の籠められた色つき石膏粉末のラインが光り輝き、それらは簡素な乾いた大地へ草木を生やし、また水を引き、丘陵地、森林、河川、湖沼、固定砲台、廃村等に作り替えていく。

 そびえ立つ塔のような拠点に飛ばされた六人は―マイペース故大概のことでは動じない心愛さえ―その光景にただただ圧巻されるばかりで言葉も出ないようであった。


 かくして異空間での変則ルールによる"勝負"の火蓋は切って落とされた。

次回、新たなゲストが緊急参戦!

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