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ヴァーミンズ・クロニクル  作者: 蠱毒成長中
シーズン6-エレモス編-
374/450

第三百七十四話 戦うゲスト様-戦・隊・登・場!:前編-




潜入成功!

―前回より・開戦直後・中央スカサリ学園地下―


 突然のツジラジ放送開始やエレモス大陸連盟による鎖国(厳密には鎖大陸?)状態解除宣言等困惑する事だらけではあったが、六人は学園地下の極秘施設への潜入に成功する。


「セルジース!セルジス!どこだぁぁぁぁ!?」

「プロドスィア先輩!聞こえますかー!?」

「聞こえたら返事してー!」


 暗く湿った冷たい空気の立ち込める中、六人は懐中電灯の灯りを頼りに石造りの急な階段を下りながらセルジスの名を呼ぶ。しかしセルジスからの返答は一行に無く、六人の呼び声だけが地下施設の中へ虚しく木霊する。


「いないですね……」

「まさか先輩、もう死んじゃったんじゃあ―」

「バカ!こういう時に滅多なこと言うんじゃない!屋伝先輩が傷付くだろ!?」

「あ、そっか……ごめんなさい、屋伝先輩……」

「いや、気にする事ァ無えよ雨内。つか、冷静に考えてみたんだが、ここいらは入ってまだまだ浅え。奴が囚われてる場所は十中八九深奥の方だろうから、声が届かねーのも無理はねえよ。ひとまず階段の終わりまで降りてみようや」

「そうですね」


 ひたすら階段を下り続けた六人は、やがて広めの平坦な通路へと辿り着く。相変わらず空気は冷たく湿っていて、持ち寄った懐中電灯と壁に備わったナトリウムランプ以外に灯りはない。その癖ネズミは愚か羽虫一匹の気配も感じられはしないが、余計な生命体が視界に入ってこないことは逆に六人を安堵させてもいた。


「さて、急な階段も無事に通り過ぎたことだしそろそろ――『ごきげんよう、学園に仇為す問題児の皆様』――……この声は!」

 王将の声を遮るように響き渡ったのは、電話越しに聞こえた不気味な女の声であった。

「知ってるの?」

「あぁ、知ってるとも。カラオケボックスで電話かけてきた奴が居たろ?多分、あれがこいつだ」

『その通り。我が名はジェニティガソリゴ・エカセルスィ――中央スカサリ学園の真なる支配者』

「真なる支配者……ってことは、あんたが理事長や生徒会長を……」

『その通り。ちっぽけな羽虫にしては上出来です、褒めて差し上げましょう。ダンパーもプロセルピナも、所詮は私の手元に控える駒の一つに過ぎません。それはまた、あれらの傘下にある貴方がたも同じこと。聖戦を終えた暁には揃って私専用の労働力にして差し上げるつもりでした――しかし今、貴方がたは事もあろうにこの私に逆らい仇為す害悪へと成り下がったのです。これは実に嘆かわしく、愚かで、許し難い大罪と言わざるを得ません』

「ほぅ、そりゃ初耳だな。んで、そんな大罪人の俺らをお前はどうしようってんだ?」

『無論、裁くまで。我が眷属、至高の血を継ぐ神の兵によってです。出でよ守衛、闇でのみ許されしその力を以て、眼前の罪人を裁くのです!』


 地下施設全体に響き渡るエカセルスィの呼びかけが、その場に配備された異形の生体兵器を呼び起こす。


「来るか……お前ら、武器を取れ!」



―前々回より・開戦から暫く経過した聖地ロコ・サンクトゥス平原―


 戦いは尚も続いていた。


「ベルセルキィィィック!」

「シゲェァアアアアアアアアア!」

 ある一方では健のベルセルキックがヴェロキニクスに炸裂し、

「ルナフラッシュ!」

「クガァァァアァァァァ!」

 またある一方ではあかりのルナフラッシュが別のヴェロキニクスを焼き払う。

「フギィィィィィィ!」「グジュギビィィィィ!」

「また貴様らかっ!良かろう、まとめてかかって来るがいい!」

 ある一方で高雄が数多のテラーギガスを向かえ討てば、

「おったぞ犬丸、午の方角じゃ!」

「よし来た!」

「フギ、ギギギギ!?フギギィ!?」

 またある一方では聖羅と犬丸が抜群の連携でステルス・ビーストの擬態を見破り斬り伏せる。


 現状、両軍勢はツジラジ製作陣傘下の少数部隊に苦戦しつつあった。

 このままでは勝敗がつかないまま滅ぼされてしまう。ダンパーとハルツはほぼ同時に頭を抱え、どうにかしなければという使命感に駆られた――が、その時。ロコ・サンクトゥス平原のある方角から、満月を背に何者かが現れた。


『ぬわぁーっはっはっはっはぁ!エレぇ盛り上がりじゃのぅ!こりゃ暴れ甲斐がありそうじゃわい!』


 少年の体格と声を持ちながら年寄り臭い口調のそいつは、拡声器を片手に如何にも芝居がかった喋りで声高らかに語り出す。


『フリサリダの同志達よ!どうやら苦戦を強いられておるようじゃな!然し安心するがよい、お主らには儂らがついておるでなぁ!』


 身体も小さく声も高い癖に態度ばかりでかい得体の知れない闖入者の存在に、ロコ・サンクトゥス平原は一時困惑に包まれた。戦闘は中断され、各所から『あれは何だ?』という旨の言葉が次々と飛び出す。ただ例外的に、ダンパーを初めとする学園上層部はその正体に気付いているようでもあった。


「理事長、これはまさか……」

「えぇ、間違いありません……」


 何処か呆れたような物言いの二人を尻目に芝居がかった喋りをやめない闖入者の少年は、更に何を血迷ったか『皆の者、集えいッ!』等と宣い地上へ舞い降りる。

 そして露出度の高い派手な身なりの少年が明らかにカッコつけしいポーズを取るのと同時に、何処からともなく特撮ヒーロー然とした身なりの珍奇な連中が七人程集まって来ては、これまたヒーローを気取ったようなポーズを決めながら叫ぶ。


『祖国の危機に堂々登場!』

[『月面戦隊ルナレンジャー!』]

何これェェェ!?

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