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ヴァーミンズ・クロニクル  作者: 蠱毒成長中
シーズン6-エレモス編-
359/450

第三百五十九話 戦うゲスト様-それはドラゴンのようなサラマンダー(寧ろニュート)-




クロコス・サイエンスの切り札、巨大両生類ドラゴマンドラ。

相対するは最初に出会った11名と……

―第三百二十一話より・CS社敷地内・屋内巨大人工池―


「プヮギェハォォォォォン!」


 クロコス・サイエンスの敷地内に設けられた人工池に響き渡る巨大有尾類ドラゴマンドラの咆哮は、空気を揺るがし水を振るわせその場で彼と敵対するあらゆる者達を悉く威圧する。しかしそれでも勇敢な戦士ゲスト達は怯まず突進する。


「行くぞダカート!お願いしますスーザン団長!」

【おうよ!】

【任せなさい!】

「セレイヌ!イライジャさん!一気に決めるよ!」

【仰せの侭に!】

【一丁やってやろうじゃない……】

「気張りなさいロロニア!大家さんも腹括って!」

【それじゃ行っくよー!】

【括る腹もないが、たまには少しの無理もいい】


 唱道者・使徒精霊・ネオアース民各三名宛の計九名(実質三名)から成る集団は、各々が身に纏う(或いは変じた)装備の特性に倣って一斉にドラゴマンドラ目掛けて突貫する。

 自警団を率いるティラノサウルス・スーザンの因子と炎の使徒精霊ダカートの力を得たアルティノは燃え盛る肉食恐竜の頭骨が如しバトルアックスを振り上げ、夜道を照らすミツクリエナガチョウチンアンコウ・イライジャの因子と水の使徒精霊セレイヌの力を得たラピカは直線的な背鰭が肥大化したかのようなチョウチンアンコウ型の指揮棒タクトで光球を操りつつ自らは流水のような動きで敵の攻撃を華麗に避け続け、大樹のアパートを管理するヨナグニサンの大家(本名不明)の因子と風の使徒精霊ロロニアの力を得たシャアリンは蛾の触角を模した伸縮自在の刃付き鞭を素早く振るいながら敵や味方の攻撃によって飛来する砂利や血飛沫など戦闘の邪魔になりそうな諸々のものを身に纏う風で受け流す。


 対するドラゴマンドラはそれらを追い払うべく、素早い足踏みで水飛沫を起こし、縦に扁平な尾を振るい、大口を開けて食らい付こうとし、細長く先端に粘つきのある舌を振り回し、体表面から白くドロドロした毒液を染み出させては撒き散らし―といった具合にあらゆる手を尽くす。

 だが、彼の戦う相手はこの九名(実質三名)だけではない。ふと尾でアルティノを払い除けたかと思えばエルマの氷柱弾丸が飛んでくるし、毒液を警戒したラピカが距離を取ろうものなら夜魔幻イェモファン化した璃桜が何処からともなく飛び掛かってくる。風を身に纏う事での防御で攪乱用の毒液や水飛沫を寄せ付けず相手取るのが面倒なシャアリンを何とか追い払ったとしても、半ば乱入に近い形で途中参戦した亜塔や零華、アンズといった剣士達がその隙を補うようにやって来る。


 このように書くと如何にもドラゴマンドラが劣勢であるかのように見えようが、当然そんなことはない。確かに彼と相対する戦士ゲスト達の猛攻はその皮を裂き、肉を斬り、骨を砕き、眼球を刔り、指はおろか脚から尾や舌までも断ち切り、内臓を貫き凍らせた。だがそれらのダメージはドラゴマンドラの内包する底無しのスタミナと凄まじい生命力、そして常軌を逸した再生能力によって全て無に帰すかのような勢いで瞬く間に完治・再生してしまうのである。


―以下、ドラゴマンドラと渡り合いながら通信端末で語らう剣士三人の雑談―


「ちィ、ったくもぉ。あいつ一体何なのよ!?斬っても斬っても生えてくるし、長いベロは振り回すし、何か顔怖いし!あれで本当にイモリなの!?イモリってもっと可愛い動物なんじゃないの!?」

「いやまぁそりゃイモリだろ。何か昔テレビで見たがイモリは足とか千切れても再生するって見たことがあるしな」

「へぇ、そうなんだ。なんかトカゲの尻尾みたいね」

「まぁそうだがトカゲより凄いらしいぞ。手足尻尾どころか目玉も余裕らしい」

「とするとあのドロドロした白い液体(意味深)は毒液なんでしょうかね。"ガマの油"みたいな」

「ガマの油?」

蟾酥センソという薬の原料で、要するにヒキガエルの皮膚から染み出す毒のことですよ。里で薬師様から作り方を教わったことがありましてね。休憩時間に図書室をお借りして改めて調べなおしたことがあるんですが、効き目は主に強心、血圧降下、冠血管拡張、胃液分泌抑制、局所麻痺、抗炎症等だそうです。大陸の方では心臓病の薬の原料にもなったとか」

六神丸ロクシンガンだっけな。蟾酥の他には鹿の目から取れる麝香ジャコウ、牛の腹ん中にできる胆石の牛黄ゴオウ、熊の胆嚢こと熊胆ユウタン、高麗人参、真珠を入れて作るとかの。"六"つの貴重な薬―つまり"神"薬―から作った"丸"薬で"六神丸"。親父が仙道研究してた影響か中国史とか漢方に詳しかったらしくて聞いたことがある」

「真珠ねぇ……そういえば私も世界史の先生から聞いたことあるわね。エジプト、中国、ペルシャ、ローマだっけ。紀元前から真珠が薬になるって言われてたとか」

「日本でも解熱剤になると言われてたようで、現代いまでも市販の風邪薬にゃ真珠入りのがあるらしいな」

「それは凄いわねー――で、何がどういう理由ワケで私ら真珠の話なんてしてるんだっけ?」

「あれですよ、私が奴のドロドロ白い液体(意味深)をガマの油に近い毒液と言ったらそこから蟾酥、次いで真珠に話題が逸れたんですね」

「つまり大体俺の責任だ。すまん」

「いや別に謝ることないんじゃない?ねぇアンズさん」

「そうですね。話題が脱線することはよくあることですし、むしろ他の皆さんが前線で頑張ってるのに我々がこんな雑談してていいのかって話ですが」

「いや別に喋ってていいんじゃない?ねぇ亜塔」

「そうだな。今の所下の奴らもあのイモリ相手に善戦してるみてぇだし、俺らの出番はまだ先だろ」

次回、ドラゴマンドラの正体が明らかに!?

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