第三百二十六話 戦うゲスト様-巡り合う剛腕-
KODOKU「蠱毒の話だ!」
蠱毒「今回から亜塔VSガランの男前怪力剣士対決――のォ、筈でしたが!」
こどく「ずぉわちゃあ!」
蠱毒「なんやかんや詰め込みすぎた所為でやっぱり尺が伸びたので、本格的なバトルは次回に延期とします!」
(ズテーン!)
読者「もう嫌ぁぁぁぁぁぁ!」
―第三百九話より・CS社社屋内のとある研究室―
「クロコス反乱軍の、ガラン・マラン……」
「そォだ。元は田舎出身の警備員だったんだが、アレコレあってこのナリよ。まァ元々俺ら"反乱の四凶"てなァ元々全員がクロコス・サイエンスの社員でな、"来るべき中央スカサリ学園との全面戦争"だかに向けて、自分らから進んで肉体改造と反乱軍入りを申し出たっつー集まりなわけよ」
「"四"凶って事は、お前の他にまだ三人いるってことだな?」
「御名答。俺以外の三人―アイルに紀和と柵木の姉御もハルツ社長に忠誠誓った正社員でな、アイルは社内の医務室を仕切ってる医者で、妙にクネクネした変態だが腕は確かだし根は明るくてスゲーいい奴でな。研究者の紀和は逆に暗えんじゃねってぐれー物静かでストイックな奴なんだが、態度が冷てー分心は誰より熱い女さ。事務処理を仕切ってる柵木の姉御は先代の頃―ハルツ社長がまだガキの頃から会社に勤めてたっつースゲーヒトでさ、俺も入り立ての頃は世話んなったもんよ」
四凶の面々にいて亜塔に説明するガランの表情は、厳つく恐ろしげな怪物のようでありながら(そして、相手が嘗て自分の部下達を散々虐殺してきた敵であるにも関わらず)、どこか無邪気な少年のようでもあった。
「……その口ぶりからすると、随分と仲が良いんだな」
「そらな、俺らは改造受ける前から何かと連む事が多かったしよ。特に俺なんざガキの頃生体災害で地元の町ごと親兄弟親戚に友人知人を亡くしちまったもんで、ハルツ社長も含めて会社の上役は大体家族みてーに思ってるぐれぇさ。身寄りのねえ俺を拾って育ててくれたのもハルツ社長だったしよ。そう来りゃこの戦争も負けるわけにゃ行かなくてよ。まぁそんなこんなあって―――」
身の上話を嬉々として語っていたガランの表情が一気に険しくなり、手に持っていた大剣の切っ先が亜塔に向けられる。
「――一介の警備員っつーか一人の"社員"として、会社を荒らすオメーを全力で殺しに向かわせて貰うが……まさか断りはしねえよな?」
「断りなんてしないさ。寧ろそういう申し出を喜んで受けるのが剣士ってもんだ。ただ、一つばかり聞いていいか?」
「オウ、聞けや」
「ん……先ずその、何だ。聞くところによるとお前らクロコス反乱軍は、戦って打ち負かした相手を……その、性的に……犯したりなんて、するらしいな?」
「まァそうだな。元々非力さを凌辱特化にして補うっつーコンセプトだし、そいつは間違ってねえ」
「そうか……」
「だが勘違いして貰っちゃ困るのは――「つッ、つまりアレだな?お前は、俺の尻を狙ってここに現れたと、そういう訳なんだな?」
「……は?」
ガランは一瞬耳を疑った。というのも(これは三百十八話でも述べたことだが)唯一の例外を除き完全かつ徹底した異性愛者であるクロコス反乱軍にとって同性愛者は嫌悪を通り越して恐怖の対象にもなりうるものであり、能動的に同性を凌辱目的で襲うなどあり得ないことだったからである。だが彼の眼前で壁に張り付き背後を必死で守護しているつもりらしい剣士の男―もとい亜塔は、何を勘違いしたのか(或いはわざとなのか)ガランを自身の身体目当てで襲いに来たゲイなのだと思い込んでいるらしいのである。
「いやだからさ、クロコス反乱軍の隊士は持て余した性欲を敵にぶつけちゃったりなんかするんだろ?エロ同人みてーにさぁ……」
「や、だからお前――「そりゃ俺だって図らずもこんなナリなわけで、ホモホモ喧しい女共からすれば格好のエサだろうさ。作品の名が知れ渡れば、そういうコトを考える奴は当然出てくるだろうことも覚悟してる」
「いや、オメーの覚悟云々はどうでもいいがそういう覚悟は普通しちゃダメだろ……。つーか本題はそこじゃなくてだな――「だが言っておく。ガラン・マラン、お前に俺は犯させねぇ。俺を犯していいのはただ一人――激戦の中で互いに貞操を捧げ合った元女子高生の嫁だけなんだよ」
「あー、オメーに嫁がいるってことは知ってるよ。ありゃ確かにスゲー美人だ。そうそう居るもんじゃねぇ。然し元JKにゃ見えねぇな、あの色気と貫禄は。若く見積もっても二十歳は超えてるもんだと踏んでたが……」
「美人だろ?凛々しいだろ?可愛いだろ?本当に可愛い奴でなぁ、もう本当自慢の嫁だ。抱きしめたら思わず絞め落としそうになるくらい愛してんだよ」
「ははは、気持ちは分かるがマジで絞め落とすんじゃねぇぞ。女てなァ内側がタフな分、身は予想外に脆かったりすっからな―――って違ええええぇぇぇ!つーかそもそも何を話に乗せられてんだ俺!?そうじゃねえ!そういう話じゃねえんだよ!」
「じゃあどういう話なんだよ?言っとくが犯させねえからな。そりゃ確かに公式で原作者がホモ絵描いたりはしたがありゃあくまでネタだし……」
「だから犯さねーっつってんだろ!つーか原作者がホモ絵ってどういうコトだよ!?」
「どういうコトもこういうコトもねぇ、そのまんまの意味だよ。しかも相手はまだ酒タバコどころかZ指定のゲームソフトも買えないような年齢の嫁の弟だぜ?」
「嫁の弟って誰だよ!?」
「誰っつって、OPに居るだろホラ。嵩張りそうなコート着て、プロテイン打ったイグアナかカラスの脚みてえな手袋ハメた三白眼の――「解説せんでいいわァ!」
「そ、そうか。まぁなんだ、正直その絵については俺も嫁も笑って流したんだが、問題は嫁の弟でなぁ。これがもう見た途端に打ち切れてよ。ものすげー剣幕で『原作者ぶち殺す』とか何とか物騒なこと言い出したもんで嫁と俺とで必死に宥めたんだ。ったく、そんなだからQ&Aでも性格についてアレコレ言われんだよ……」
「そりゃ年頃のガキが勝手にホモやレズへ仕立て上げられりゃキレらぁな……あとそっちの事情は知らねーが、悪質さで言ったら蠱毒成長中が格段に上っつーか、比較にすらならねぇだろ……」
「それは俺も思う。んで、ここまでダラダラ2500字以上も会話文ばかり続けて来たけど、この話の主題ってなんだっけ?」
「……主題と呼べるかどうかはわからんが、少なくとも"俺がノンケでそもそも敵に欲情自体しねー"ってことと、"オメーを犯すつもりはねえ"ってことは、とりあえず紛れもない事実いだわな……」
「あれ、そうなの?だったらそう言えよ紛らわし――「最初ッから言っとったわァ!」―そ、そうだっけ?」
「そうなの!オメーが聞く耳持たずにズカズカ話進める所為で遮られたりシカトされたりしてたけどなぁ、俺は14行目でそのコトを言おうとしてたんだよ!『反乱の四凶は素のままで十分強えから相手を犯したりしねえ』ってな!」
「そうか……じゃあ何故俺の目の前に?」
「理由なら9行目で言ってたろうが。『社員としてオメーを殺す』って、あのままだよ。まぁ本音としちゃ剣士として純粋にオメーみてえなのと殺し合いがしたかったってのもあるが……つかオメー、確か10行目で『寧ろそういう申し出を喜んで受けるのが剣士ってもんだ』とか言ってたよな!?」
「いやー、用心しようと思ってな。生前は記憶喪失だったり気が抜けてたりで嫁に苦労かけたり娘を危険に晒したり、世話になった医者や刑事や写真家を死なせちまったりしたもんで」
「その用心と構成力や文章力がゴミな作者の所為で会話パートを3000字以上もダラダラと長引かせちまってるって理解ってんのかよ……兎も角俺はオメーと殺し合いてえだけだ。その為にここへ来た」
「そうか……そいつは疑って悪かったな」
「いいってことよ。どうせどっちか死ぬ流れ、片方が死んじまえばそんなもんチャラよ……」
「それもそうか」
「おうよ。んじゃ、疑いも晴れたところで早速……」
「あぁ、殺し合おうか……」
「「同じ剣士として、二人きりでなァ!」」
次回、バトル突入(の、予定)!