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ヴァーミンズ・クロニクル  作者: 蠱毒成長中
シーズン6-エレモス編-
324/450

第三百二十四話 戦うゲスト様-ファミリアマスターザトラ:手抜きの方向転換編-





最後に貴方は"どこが方向転換!?"と言う……

―前回より・柔道場内―


「だぁははははははは!おルぁどしたァ!おめーの弾幕はその程度かッ!」

「くそゥ、奴の攻撃が熾烈すぎて手も足も出やしねぇ!」

【全くだぜ!しかもさっき当たった12発、バリアーみてえなもんで遮られてんのかまるで通った気配がねぇ!】


 前回ラストより勃発した"命懸けのリアルSTG"は、大体上述のやり取りのまま熾烈に進んでいた。"制限時間を設けず、どちらかが負けを認めるまで"という、『最初の時限爆弾云々はどこ行ったんだ』と突っ込まずにはいられないルールの勝負にて賭けられているのは、"黒の素"を埋め込まれた大士の右足。勝負に負ければ一瞬の壊死により朽ち果て実質的に消滅するらしいが、『それより前に大士の肉体がルーナックの光弾により原形を留めないレベルまで破壊されるのでは』というのがザトラや他の使い魔ファミリア達の見解であった。


「……何か、とんでもないことになってるのは気の所為かな」

「いやー、気の所為じゃないでしょ」

「ルーナックとあの少年の動向から見ても、一歩違えれば大惨事は免れないかと」

「つーか俺としちゃ、ルーナックがあそこまで障壁使いこなしてんのが無性にこえーんだが」

「右に同じく!攻撃一辺倒故に小細工願い下げを公言していた我が同胞はらからが多重障壁を駆使する有様に驚愕を通り越して微かに恐怖する男、ボーグル!」

「まるで"処女の妊婦"みてーな矛盾っぷりだぜぇ……」

「ソレッテ想像妊娠……ナンテ思ッタガ、ソウイヤアレハ単ニ月経停止トカ悪阻ツワリ腹部膨張ハラボコトカデ身体ガ妊婦ッポクナルダケデ胎児ガキハイネーンダッタナ……」


 散々な言われようのルーナックであったが、ボーグルの言う通りに"攻撃一辺倒小細工願い下げ"を公言する彼はしかし、その実そういった小細工の類を"使えない"のではなく、"使わない"のである。

 元々ザトラとの契約により獣にしてヒトに匹敵する知性と人語を操る存在である彼は、本来同じ立場にある姉達とは比べ物にならないほどに高い魔術の才を有しており、瞬く間にあらゆる魔術を使いこなすに至った。しかし生来の傲慢さ故に自己顕示欲の塊であった彼は、自ら習得したあらゆる魔術の内攻撃系に属するもの以外の一切を"自分の強さを誇示するにあたっては不要"と切り捨ててしまっていたのである。また、陣営中にあってこの事実を知るのはルーナック自身とザトラのみである(が、そのザトラさえほぼ完全に忘れていた)。

 では何故今回わざわざかつて使うことをやめた"攻撃系以外の魔術"を使用する気になったのかと言えば、それは単純に"STG(シューティングゲーム)のボスを演じる上で必要であったから"に他ならない。もし仮に彼が単純な殺し合いを勝負として選択したならば、申し訳程度の多重障壁すら使われることはなかったであろう。


「どわははははははははははははははぁ!俺は最強だぁあああああああ!」

 気分の高揚したルーナックは、物陰に隠れた大士とジャールの位置も認知しないまま(むしろそれで構わないと言わんばかりに)光弾を放ち続ける。

【クソッタレがぁ……あのコウモリ野郎、マジで弾丸タマで幕作ってやがる!】

「あぁ……その上どうやらシールド?みてぇなもん作ってるし、マジでシューティングのボスキャラかよって感じだぜ……」

【自己顕示欲が強えにしても頭おかしいんじゃねーか。ネオアース(うち)にも一人有名な奴で身分の割に自己顕示欲つえーのが居るっちゃ居るが、あんなじゃあねえぞ】

「まぁ頭おかしいってのには同意だな。もうまともな奴の手に負えねーノリだぜ」

 軽い溜息の後、大士はすっくと立ち上がりながら言う。

「となりゃ、こっちもまともで居ちゃあ勝てねえよな。異常者サイコパスを殺したきゃ異常者サイコパスをぶち当てて相打ちに追い込むのが一番だしよ」

【あぁ、うん……そうだなぁ……っておいぃぃぃぃ!?坊主ゥゥゥゥゥ!お前何考えてんだぁぁぁぁ!?】

「奴と、やり合う。弾丸タマは最低限(かわ)すように努力するが……先謝っとくわ、当たったらごめん」

【いや謝るってお前にもダメージ行くだろオイ!つーかさっきの理論で奴と正面からやり合ったら俺らも死ぬよな!?】

「大丈夫だ。補正でどうにでもなる」

【補正っておま、それが一番あぶねー考え方だってわかんねーのかっ!?おい、小僧!風間大士!聞いてんのかァァァァァ!】

「心配ねーよジャールのオッサン、俺は仮にも―少なくとも俺自身の人生の中では―主人公なんだぜ?この程度の弾幕如き、その気になりゃどうってことねぇさ」

【お前なぁ……】


「さぁ来いよ蝙蝠野郎!俺はここだ!ここにいるぞ!」

「ん、姿が見えねぇと思ったらそんなところに居やがったのか!隠れてりゃあいいものを、わざわざ姿を現すたあバカな野郎だぜ!」

「ヘ、俺がバカならてめーはアホだろ」

【いやまるで理屈がわからねえ】

「来いよルーナック。でたらめに弾丸タマぁぶちまけるボンクラ野郎!全力で俺を殺しに来い!」

「ふん、自ら殺されに来たか!しかも"殺しに来い"たぁ言いやがる……いいだろう!この俺が直々に殺してやるぜ!」


 かくして向かい合った両雄により受動場内は雄叫びと銃声と破壊音に包まれる。

 弾雨のぶつかり合いばかり約17分も続いた力押しのぶつかり合いを制したのは、アパトサウルスのジャールが変じた鎧を身に纏う風間大士であった。全ての障壁を破られたルーナックは莫大な魔力消耗により小さな親指の先を動かすほどの体力も残っておらず、即座に姉達に介抱されたという。

次回、余りにも姑息すぎるザトラの秘策とは!?

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