第三十一話 爆乳白兎娘
お気に入り登録数30件突破を祝って(?)景気付けに(?)ニコラVSラクラ!
―前回より・校内―
桃李と繁が激戦を繰り広げる一方で、ニコラもまたクェインの部下である兎系禽獣種のラクラ・アスリンと戦闘を繰り広げて――居なかった。
「待て! 待て! 待てぇっ! きつね、逃げるなぁっ!」
「今日日『待て逃げるな』は『逃げろ待つな』のフリなんだよねぇッ! そんな事も判らないとか、アンタ駄目ねぇウサギちゃん! 巨乳・体操着・ブルマの三拍子揃ってまぁ、只でさえ薄い本向けのナリだってのに、教養も無いと来ちゃあ取るに足らないキモオタに掘られんのが関の山よ?」
長い長い廊下を逃げる狐とそれを追う兎。
種だけ見れば異様な光景であろうそれも、この二人ならばその違和感も消え失せる。本来形態からも動物寄りのラクラは持久力・脚力共にニコラより優れている筈だったが、そんなラクラからニコラは華麗に逃げ続ける。
「うるさい! 黙れ! 黙れ黙れ黙れ! エロは正義! エロには何も敵わない! エロは絶対!」
「だぁあからさぁっ、それが駄目だってのよ。何で判らないかなぁ?エロはあくまで調味料。主軸になる食材じゃないんだって……いや、主軸になるとこだってあるにはあるけどさぁ……」
ニコラは立ち止まり、言う。
「アンタが今居る世界は、只のエロ軸如きじゃ廻らないんだよねぇ」
その言葉に腹を立てたラクラが一歩前に踏み出した瞬間。彼女の足下に、奇妙な紋章が浮かび上がった。
「!?」
それは山吹色に光り輝く円陣で、中には毛羽立った書体で何やら不可解な記号が書かれていた。
そして次の瞬間、それと同様の紋章が廊下の壁面中に浮かび上がる。
ラクラは目映い山吹の光に包まれ思わず目を覆った。
その三秒後、全ての紋章からラクラに向かって、件の蛾型弾幕が悉く降り注いだ。
「っがああああぁぁぁぁあああああっ!」
有り余る激痛に絶叫するラクラに、ニコラは軽々しく言い放つ。
「安心していいよ。それは痛覚神経だけを的確に刺激するものであって、何発当たっても死にはしないから」
ニコラは苦痛の余り地面に倒れ伏すラクラの頭を、嘲るように軽く踏み付ける。
「いやぁ、我ながら凄いわ。身体にゃ傷一つついてない……これもヴァーミンの有資格者の成せる技――「ふ、ざ、け、る、なあっ!」――「ぶべっ!」
ラクラは頭上に乗ったニコラの足に掴みかかり、痛みに耐えながら身体を捻って彼女を転倒させた。続けざまに立ち上がったラクラは、ニコラの腰へ跨るとその後頭部を掴んで持ち上げ、凄まじい勢いで床面へ叩き付けた。
しかもその回数は一回や二回などというものではなく、何十回にも渡った。仮にニコラが並の禽獣種であったならば、素早さとパワーを兼ね備えたラクラの打撃技を一発でも受けていれば既に死んでいても可笑しくはない。
しかし彼女は呪詛により不死の肉体を得たが故に、自らを何度も殺すという人体実験を繰り返した事で知られる元開業医のニコラ・フォックス。
この程度の攻撃で倒れるような心身ではない。
しかしそんな事など知る由もないラクラは、床打撃に飽きたのか再生中のニコラを無理矢理立たせ、その顔面へ兎の脚力を生かした回転蹴りを叩き込む。叩き飛ばされたニコラは木工教室の扉を突き破り、作業台に腹を叩き付けられる。
これを好機と見たラクラは更に執拗な攻撃を続行。
手始めに転がっていた角材を拾い上げると、それが折れるような勢いで背中を殴りつけ、更に長さ1mはあろうかという工業用大型ハンマーで作業台ごとニコラを叩き飛ばす。
更に落ちてきたニコラの右脚を掴み、教室中央の柱へ叩き付けた挙げ句、その腹を大型のドライバーで刺し貫いて壁に打ち付ける。
そしてとどめとばかりに作業台に固定されていた大型の万力を次々に引きちぎり、それを柱へ打ち付けられたニコラへと乱雑に投げつける。
「……これで……終わっ、た……」
憎き相手を闇に葬り去った(と思い込んだ)ラクラは、思わず安堵し壁にもたれ掛かって座り込む。激しい動きで疲弊しきっていたラクラの身体と意志とは、迷わず睡眠を選び取った。
しかし当然、彼女がこのままで済まされる筈はないのである。
頭蓋骨を潰され、背骨を叩き折られ、挙げ句ドライバーで串刺しにされて万力を投げつけられたニコラ。その身体は既に原型を留めぬ程ボロボロであったが、全身の傷は時が経つにつれて徐々に塞がり、砕かれた骨や臓器は再構築され、更に呪詛の弊害によって衣類や所持品までもが修復されていく。
そして最後に腹からドライバーを排出し、四つ足で床面に降り立った所でニコラの再生は完了した。
「嘗て今まで、私が出会って来た中で」
木工室の壁にもたれ掛かって眠るラクラの前に歩み出たニコラは、言う。
「ここまで方向性でソリの合わない奴が居ただろうかと、つくづく思うわ。何をどうすればこうポンポンとまぁ、淫乱になれるのかねぇ。常に男とヤる事念頭に置いて、その為にエネルギーの殆どを注いで……いやぁ、わけがわからんわ。そもそも戦闘中に男子逆レイプとかその時点で意味不明だし、初対面の相手への第一声が『o●nk?』だもんで一瞬状況判断すっ飛ばして飛び蹴りかましそうになったよ。こうしてるとやっぱり思うのよねぇ、金とセックスはある意味似てるんだって。確かにどっちも必要だけど、最終目的に設定して良いほど大層なもんじゃないし、そもそも本質はどっちもあくまで手段だし。あと、知的生物が金とかセックスに溺れちゃいけないよねぇやっぱり。若い内からそんなもんに溺れちゃったらもう、ほぼアウトの一歩手前だよ」
そう言ってニコラは、並大抵の事では全く起きる気配のないラクラを殺すでもなく、縄と木材とその他諸々の道具を用いて作り上げた無駄に巧妙な仕掛けに組み込んで、そそくさとその場から立ち去った。
それから訳四分後、開脚状態で宙吊りにされたラクラの肛門へ角の削られた角材が突き挿さり、濁音の混ざった彼女の絶叫が校内に響き渡った。
みんな読んでくれて有り難う!
次回は香織とクェインのバトルだよ!ついでにクェインの正体も明らかになるよ!