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ヴァーミンズ・クロニクル  作者: 蠱毒成長中
シーズン6-エレモス編-
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第二百九十六話 戦うゲスト様-Glimpses of daughter-


「こんなのゲスト召喚じゃないわ!ただの宣伝よ!」

「だったら公式(http://mbf.to.cx/)から原作をダウンロードしてプレイすればいいだろ!」

―前回より・管制塔―


「ほぉ……この子供は……」

「成る程な……チトこじつけ臭ぇが、まぁ納得できる理由かもな……」


 スクリーンに映し出されていたのは、一人の女児の顔写真。

 全体的に華奢な印象を受けるその顔は人形のように整っていたが、それ故にどこか弱々しくもあり、少しでも扱いをしくじればそれだけで全身の八割が壊れてしまいそうなほどに繊細でもあった。

 しかし何より印象的だったのは、少女の髪色と髪型である。と言うのもその少女、幼い身ながらかなりの長髪なのであるが、その色は鶏冠石ケイカンセキりょうマンガン鉱を思わせる鮮やかな赤色・・であり、その髪型は細長いツインテール・・・・・・として纏められている。


 即ち―顔つきや全体的な印象の差こそあれど―その少女の頭部を成す主要なパーツは(あくまで大雑把な見方をすればだが)理華のそれと共通のものだったのである。簡潔さだけを求めて乱暴な言い方をするならば"面影が感じられる"といったところか。


「もう勿体ぶる必要性もないでしょう。彼女の名は理音リオン―――義理ではありますが、あの二人のです」

「娘……か」

『はい。これも原作をプレイして頂くと判りますが、かの二人は諸事情により愛娘と離れ離れにならざるを得ずにありましてね。交渉の際は快諾して下さいましたが、やはり我が子の事は何より気懸かりだったようでして』

「このまま戦場に出せば何らかの形で作戦に支障を来すことは明確、さりとて他に増員の伝はなく、そもそも自ら誘っておきながら不確定な推測の域を出ない理由で作戦から外すのは非礼というもの。そこで何らかの打開策が必要かと思っていたのですが……」

「結果的には策を練るまでも無くなったと、そういう訳じゃな?」

『「EXACTLY(そのとおりでございます)』」

「そこでハモんのは反則だろ……んで、結局どうなったんだよ?」

『えぇまぁ――ほら、作戦初日に軽く顔合わせしたじゃないですか。あの時にこう――"一目惚れ"ってんですか、それに近いノリで何か、覚ったんですってよ。"秋山理華このコ理音ムスメの生き写しと思って、何か形に残る贈り物をしよう"って、二人同時にね』

共時性シンクロニシティって言うんですかね、ニトログリセリン一斉結晶化みたいな。まぁあれは都市伝説ですけども。兎も角決意を固めた二人は、タガが外れたように心の底から明るくなりましてね」

『聞いてみたら「娘は気懸かりだが自分達は人事を尽くした。後は天命に任せるだけだ」「今は自分達と同じように科学技術を悪用する連中に苦しめられている人々の為に戦う事が先決だ」とか何とか。すっかり張り切っちゃってるわけですよ』

「『親というものは子供の為なら時には躊躇いも理性もかなぐり捨てて行動を起こす』とはよく言いますが、ああなるとは予想外でしたね。仲間の育児経験者も『理解できない訳ではないが幾ら何でも切り換えが早過ぎる』とか漏らしてましたし」


 因みにその"仲間の育児経験者"が春樹である事を知った聖羅と犬丸が驚愕の余り12分間もの硬直状態に陥ったことは、あまり知られていない。


―同時刻・CS社最奥―


『クソォォァァ!クソォァァァァッ!何でだ!?何でだよッ!?何がいけねぇ!?何がいけねぇってんだァッ!?』

「落ち着いて下さいまし、グゴン様。まだ万策尽きたわけでは――『黙れァィ!これが騒がずに居られっかってんだクソッタレィ!』


 社内のモニターにて生体兵器群とクロコス反乱軍―彼にとってはある意味で、血を分けた我が子にも等しい存在―が強化人間クレイドによって一方的に惨殺される有様を見せつけられたグゴンの怒り狂う有様は、最早小規模かつ局所的な天災をも思わせるほどに凄まじいものであった。


「確かにお怒りのお気持ちはよく判ります。私もあの意味不明なコスプレ紛いの素人なんかに自社の戦力を次々虐殺されている事実は腹立たしく思っています。その気持ちは貴方様と変わりありません。しかしだからこそ、ここは堪え忍び逆転の策を練るべきでしょう?」

『そいつァ解ってる!理解ワカってんだよォ!だがそれでも、それでも奴らだって、俺の血肉を分け与え育て造り上げた、俺様の――俺様だけの俺様の所有物なんだよ!つまり壊していいのは俺様だけだ!』

「確かに、反論の余地もございません」

『まぁそもそもこのクロコス・サイエンス自体俺様の所有物だから、んな事ぁ言うまでもねぇが……考えてみりゃ、連中も所詮使えねぇゴミだったって事なんだろうよ。能力も才能もなく、ただただこのクソ溜めみてぇな世の中でクソにすらなれずにいたのを、折角この俺様が力をくれてやったっつーのにそれも使いこなせず犬死にだ。そもそもあんなチリ以下の連中に軽々ぶっ殺されてる時点で笑い話にもなりゃしねぇ……同じ所有物でもてめえなんぞはまだマシに動きやがるってのによォ……なァ、ハルツよッ!?それもこれも全部、俺の完璧な作戦を実行に移せずつまんねぇ妥協案で何とかやり過ごして来てたてめえに全責任があるよなぁ!?』

「……」

『おーおーおーおーぅ、主君の言葉ァシカトかぁ!?随分といい御身分じゃねぇか、何時からそんなに偉くなりやがってんだぁ!?永遠に―例え死んだとしても―俺様に何もかも捧げると誓った筈のてめえがよぉ、この俺様の発言をシカトできる権利が、この世のどこにあるってんだぁ!?』

「……お言葉ながらグゴン様、これは無視ではなく同意にございます。グゴン様の正論に己の失態を悔いる余り、言葉を返すも非礼にあたると判断致しましたもので」

『……ほぉ、てめえにしちゃ殊勝な心掛けじゃねぇか……そこまでの判断ができるんなら、こっから何をすべきかも当然わかってるよな?』

「勿論です。プロですから」

次回、遂に樹海と山を抜け出た一行は市街地を経て"戦場"と化した両勢力の本拠地へと突入する(予定)!

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