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ヴァーミンズ・クロニクル  作者: 蠱毒成長中
シーズン5-ヤムタ編-
252/450

第二百五十二話 イヌバスタード-説明の時間




小門勘次によって語られる、ダリア達に秘められた秘密とは……

―第二百五十話より―


 ダリアの後輩五人の中では最古参の男・小門勘次。灰白色の頭髪に若干野性的な顔立ちと、スポーツマン特有の引き締まった肉体が印象的な彼は、高校時代ラグビー部で活躍しながらペットショップ経営を夢見て勉学に励む犬好きの好漢である。

 しかしそれは当然ながら世を忍び周囲の目を誤魔化す為に身に付けた上辺だけの仮面ペルソナに過ぎず、その実体はダリア同様極めて悪質な小児・児童愛者である。しかもその性癖は、基本的にオーソドックスかつ幅広いジャンルのプレイを好むダリアよりサディズム寄りであり、その中でも特に家畜や愛玩動物の要素が絡むBDSMに並々ならぬ拘りを持つ。

 動物要素を含むBDSMというと、ペットプレイだの家畜プレイだのというような"ヒューマン・アニマル・ロールプレイ"が(少なくともその筋では)一般的であり、嘗ては小門もネット上でそれ専門のコミュニティサイトを運営するほどの愛着ぶりを見せていた。

 しかしながらそれも最早過ぎた話であり、現在は権限を別の者に譲渡し管理人を引退するなど、小門勘次という男の"ヒューマン・アニマル・ロールプレイ"への愛着は次第に薄れていきつつあった。というのも彼は、幾度と無く獣扱いした幼女達を調教・飼育という名目で蹂躙し続けた結果、自らが真に追い求めていたのは"ヒューマン・アニマル・ロールプレイ"ではなく"獣姦"なのだと気付いてしまったのである。

 とは言え、獣に犯される幼女を見たとて彼の欲求は満たされない。あくまで彼にとっての行為とは、自分自身が攻めに回ってこそのものなのである。


 そして思い悩んだ末、小門はある事を思い付くのである。


―第二百五十話より―


「オぅラ、刃爪一閃ッ!」


 白い長毛の人狼のようなヒューマノイドへと姿を変えた小門が右腕を振り下ろせば、小刀のような五本の爪が空気を唸らせ高さ1m程の衝撃波を産み出す。狙撃銃から放たれた弾丸のような勢いで飛来するそれは飛び掛かるニコラの身体をバラバラにし、殆ど威力が減退しないまま大理石のような材質の内壁に大穴を穿つ。


「……ッッ……こりゃあ、酷いねぇ……威力がインチキだわ……」

「言いつつ余裕で自己修復してるじゃないですか」

 破殻化状態で音もなく降り立った桃李の言う通り、巨大な肉切り包丁でぶつ切りにするが如く悉くバラバラにされたニコラの肉体は、一分と待たずに服飾品含め完全に修復されていた。

「あのロボットの中で幾ら体調安定させたからよ。普段ならこうは行かないわ」

『とは行っても死なないのでしょう?私が言うのも何ですが、あの衝撃波より貴女の方が余程インチキか――おぉっと、またですか』

 宙に浮く羽辰の胴体を、再び放たれた小門の衝撃波が貫く――が、霊体である彼には当然効き目が無く、側にいた桃李も咄嗟にニコラを盾にしてその余波から逃れるに至る。


「クソ、また外したかッ!岩をも切り裂き風をも外さずと称された俺の刃爪一閃を避けくさりやがるたぁ、奴等何も―「ほい」―ぬォおゥッ!?」

 背後に何やら妙な気配を察知した小門は、咄嗟に後頭部目掛けて振り下ろされようとしていた敵の腕を掴み受け止める。

「ん、流石流石。オリエントな人狼ライカンスロープコスはお飾りじゃなかったわけねー――っ!?」

 腕を掴まれながらもマイペースに喋り続ける敵―もとい香織をそのまま左腕で背負い投げの要領で投げ飛ばした小門は、腹立たしげに怒鳴り叫ぶ。

「狼じゃねぇ、犬だ犬ッ!俺のこの姿はオオカミワーウルフじゃなくて犬神なんだよッ!」

「あぁ、犬神だったんだ。あんまりにもワイルドなもんだからてっきり狼人間ロビスオーメンかと思っちゃったわー」

「あぁそうかよ……だが間違えてくれんなや、俺ァ小門勘次。幻妖の術で犬神をその身に宿す顕幻者けんげんしゃだッ!」

「幻妖の術……?」

「おうともよ!俺らの大ボス、樋野ダリア様の家に先祖代々伝わる秘術だ!顕幻者ってなァその術を使う奴らの事で、歴史はざっと千年以上!特に樋野家はその筆頭格でなぁ、大昔から朝廷だの大名だの天王だのに仕えちゃあ、密偵だの殺しだのっつー汚れ役を引き受けてきたのよ!」

 両腕を荒々しく振り上げヒトの姿に戻った小門は、自信満々と言った態度で語り出す。

「そもそも地球って場所の平成って時代じゃあ、妖怪変化幽霊神格の類は空想のモンだとされてるが、そいつらは嘗て確かに存在したッ。そして当時の人間は、そんな魑魅魍魎と壮絶な戦いを繰り広げていた……まぁたまに共存するような穏健派も居たようだが、大体敵って事でいいだろう」

「ふむ……地球については先程貴方を刺そうとした方から粗方聞いていますから、配慮しなくても大丈夫ですよ」

「そうかィ――そんなもんで人間は、そいつらに対抗しようと色々な技術を確立させていった。その専門家が陰陽師とかいう連中なんだが、それの亜流でバケモン狩りに特化した連中が現れた。それが幻妖の術を使う顕幻者―つまり、ダリア様の祖先って訳だ。んで、肝心の幻妖の術ってなぁ簡単に言やぁ『妖怪吸収してパワーアップ』的なモンでよ、妖怪の自我を消し去ってその魂を取り込み、力を自分のモンにするっつー代物なわけだ。まぁ、そんな術なもんで明治維新だかの時にゃ殆どの顕幻者が裏で始末されたが、筆頭格の樋野家だきゃあ上手いこと生き残り、日本政府にコネ持つ大組織にまで成り上がったそうだぜ」

「つまり、その術であんたは犬神の魂を吸収してその姿になったと」

「そういう事だ。元より妖怪ってのは人間の空想をエサに生きてるような生き物で、吸収しちまえば魂の形なんてのはある程度変えられるらしくってよ……いやぁ、お陰で俺の夢が叶ったァ~ぜッ!」

 再び素早く腕を振り上げ犬神の姿となった小門は、凶悪な獣面でほくそ笑みねっとり絡み付くような声色で口を開く。


「れっきとした"獣"として、ガキ共をブチ犯せンだからなァァァァァァッ!」


 そう、獣姦に目覚めつつも快楽を得られなかった小門の"思い付き"とは、自らが獣と化し行為に及ぶ事により獣姦というシチュエーションを己の肉体によって悉く堪能するというものだったのである。

次回、『列王の輪』の形態が続々登場(予定)!

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