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ヴァーミンズ・クロニクル  作者: 蠱毒成長中
シーズン5-ヤムタ編-
235/450

第二百三十五話 後書き詐欺になったけどヒロインコスプレ回ってラノベの鉄則だよねっ!





わざとじゃないんだ、わざとじゃあ……

―第二百二十五話より・浴室―


玖珠クス、本当にここで間違いないのね?」

「はい、瓜生ウリュウお姉様。玖珠の耳が確かなのは確定的に明らかなこと、ましてあんなに大きな音を聞き間違えるはずないんですの」


 女児・少女的な趣味趣向で彩られただだっ広い官邸内大浴場に姿を現したのは、例によって小柄で貧相な体つきの少女(のような外見にされた女)達であった。

 下部瓜生と下部玖珠。共に官邸特選隊のメンバーであるこの二人は、その姓から解るとおり二百二十七話にてデッドに始末されたモスキート保有者の霊長種・下部素子と姉妹の契りを結んだ『義姉妹』である。立ち位置としては素子が長子格に当たり、続いて次子格が瓜生、末子格が玖珠となる。

 官邸特選隊入隊以前から交友のあった三名は、種族こそ(それぞれ順に霊長種・百合系葉脈種・啼兎系禽獣種といった具合に)違えど何なる困難や逆境(という名の単なる被害妄想や思い込みが拗れただけのもの)の中にあって尚保たれ続けたほどに強固な絆で結ばれている(らしい)。


「それはそうと良かったのかしらね、素子お姉様を一人にして私達だけで行動したりなんかして……お姉様の身に何もなければいいのだけど」

「御言葉ながら申し上げさせて頂きますが、それは杞憂というものですわ瓜生お姉様。素子お姉様は精鋭揃いの官邸特選隊でも随一の武闘派、更にそのお力は五龍刃最優と名高き流星刀フドウの持ち主に選ばれた事からも明確。まして斯様な蟻の群れにも劣る烏合の衆如きに遅れを取るはずありませんわ」

「それもそうね。素子お姉様の刀捌きはまさに天下一。大方今頃はあの辺獄上がりとかいう下男の首でも取って意気揚々としていることでしょうよ」


 などと適当に話し込みながら進んでいた二人は、やがて何かによって盛大に突き破られたらしい形跡を発見する。飛行形態へと変形したアレクスの装甲車によって穿たれた大穴である(装甲車そのものは術の効力が切れた為『列王の輪』に戻る形でその場から消え失せていた)。


「これはこれは……当然とは思っていたけれど、やはり貴女の耳は確かなようね」

「お褒めに預かり光栄ですわ。しかしこれだけの大穴を空けたものを何の痕跡もなく隠すとは……中に乗っていた侵入者達は一体何処に消えたのかしら……」

「それを探すのが私達でしょう?大丈夫よ、まだそう遠くには――「スェェェーイ!」――っ!?」

 謎の叫び声が二人の耳を劈く。声のした方向へ眼を見やれば、火薬めいた爆発音と共に浴室中央から五色のカラフルな噴煙が噴き出し、その中から若干珍妙な身なりの女五人組が現れた。


「主食は太巻き、ガマニンジャイ!」

 等と言って現れたのは、ブレザー風の学生服にベストという身なりで黄金色の髪を無理矢理ポニーテールに纏めた、若干褐色めいた肌をしてどこか獣臭い―というか、類人型禽獣種の形質が所々に見られる女であった。

「養子で悪いか、ホウオウニンジャイ!」

 ガマニンジャイなるコスプレ女に続いて名乗りを上げたのは、白い将校服風の衣装に身を包んだ赤いストレートロングの女。よりにもよって生地の硬い将校服で持って産まれた巨乳故の乳袋状態を維持せんと必死になっているのだろうか、その顔つきは若干苦しそうでもある。

「セクハラーメン、タツニンジャイ!」

 ガマニンジャイやホウオウニンジャイと名乗った女より更に異質なのがこのタツニンジャイと名乗った女であろう。身長と胸囲でホウオウニンジャイを上回る彼女はそれを強調するためか学生服の夏服を薄着した上にシャツのボタンをまるで止めていない。ヤムタの秋も中頃となれば中々寒いのに、まして彼女自身が一般的に低温に弱いとされる流体種とあっては、見ている此方が心配になってくる。

「スルメ喰おうぜ、イカニンジャイ!」

 集団の中で最も大柄(但し胸囲はホウオウニンジャイ以上若干タツニンジャイ以下といった所)なイカニンジャイは、衣装こそ他より若干まともそうに見えた。その巨体に見合わぬウェーブがかった銀のツインテールは冬用学生服と思しき厚手のブレザーを引き立てていたし、黒いマントや赤い番傘も様になっている。傍らに浮かぶ黒いイカはキャラクター性を表す記号として最適だし、右目を覆う古銭の眼帯は冷ややかでミステリアスな雰囲気を醸し出していてなお魅力的でさえあろう――が、その右半身は所々が黒い異形のようなものと化しており、古銭の眼帯もその異形部分と被っているため解りづらい。更によく見てみれば、傍らに浮かぶ黒いイカは袖口を通じてイカニンジャイと繋がっており、見る者に謂われのない恐怖感を抱かせた。

「趣味が丸出し、ウサニンジャイ!」

 最後に名乗りを上げたのは、イカニンジャイとは対称的に集団の中で最も小柄な少女であった。最も小柄な上に最も軽装である彼女の身なりは薄いピンクのジャージに紺色のブルマといったベタなもの。ピンクの短髪を無茶して結んだのであろう短めのツインテールらしき髪型は他の誰よりも『無理矢理そうしました感』が漏れ出ている。

「五人揃って!」

 呆気に取られる瓜生と玖珠を尻目に、シメとばかりにガマニンジャイが叫ぶ。


「「「「「女学生忍者戦隊、ゴニンジャイ!」」」」」


 示し合わせたかのように全員で叫んだ割には、どうも一体感が無く様にならないポーズであった。

次回、ゴニンジャイの正体とは!?(もうバレバレだけど)

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