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ヴァーミンズ・クロニクル  作者: 蠱毒成長中
シーズン5-ヤムタ編-
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第二百十五話 ゼイアーザフロムアナザーワールド:終局編-前編





そんなにフォーム紹介できなかったなぁ……

―前回より・真宝軍司令部―


「申し訳御座いません……我々が居ながら、あのような逆賊に遅れを取るとは……」

「これなるは隊長たる私にあってはならぬ汚点……極刑も覚悟の上です……何なりとお申し付けを……」


 クルトアイズの無力化を受けながらも根性でシャアリンの狙撃をかいくぐり何とか生存した飛姫種部隊の隊長格―あの黒兎と尖耳種は、実質的な真宝の最高権力者であるダリアの前で土下座までして謝罪していた。しかしダリアはそれを咎めるでもなく、寧ろ優しく抱き抱えて優しい言葉を投げかける。


「二人とも、よく頑張りましたね。あとは我々に任せて、ゆっくりお休みなさい。大丈夫、あなた達は何も心配することなんてありません」


 そう言って対頂角の飛姫種二人を優しく送り出したダリアは、視界から二人が消えるや否や憎悪の籠もった(しか)め面のまま席へ戻ると、隣に座っている総司令官の頭を掴み顔を自分の側へ無理矢理向けさせながら脅すように言う。


「総司令……私の記憶が確かならば、今の今まで我が軍は連戦連敗……違うかァ!?」

「いえ、ほうむだいじんのおっしゃるとおりであります。わがぐんはぎゃくぞくあいてにまるでせいかをだせず、そのせんりょくさはひらくばかりです」

「そうだよな……そうであろうな……さて、そうであるならば……だ。この場で我々がすべきは何だ?」

「れいのものをつかう、このいったくでしょうね」

「そうだ……そうだぞ、よくわかってるじゃないか……だが忘れるな?アレを使うのはまだ先だ……わかるな?」

「はい。もちろんであります」

「……よし」


 司令官の頭から乱暴に手を離したダリアは、まるで機械のスイッチを切るように顔つきを元に戻し着席した。


―同時刻・映美平原―


「ぎゃあああ!なんなんだあれはぁっ!」

「しるかぁ!つべこべいってないでとにかくうt――ぐべぁっ!」


 指揮者としてすべきことをあらかたやり尽くした香織は、戦力の衰退しきった真宝軍へ更なる追い撃ちをかけるべく行動を開始した。


 手始めに砲台四門を備えた小型装甲車へ乗り込み軍勢へ突撃した彼女は、適当に走り回っては兵士達を轢き殺しながら機関砲を乱射しながら平原を突き進んでいた。車体側面に前衛的な水牛のイラストが描かれたこの装甲車は『列王の輪』が変じた『コンクイスタ・ガヴァリエーレ』固有のものである。

 そもそもコンクイスタ・ガヴァリエーレという形態は他と違い、装着者の身体を覆う鎧状のパーツというものを一切持たず、基本形態は布のような質感の分厚いマント一枚である。これはカドム曰く『容量を度外視した所為で発生した設計ミス』だそうだが、しかしその代理として急遽考案・実装された装甲車の出来は秀逸の一言に尽きる(尺の都合上、詳しい解説は省くが)。


 ある程度装甲車での暴虐を堪能したらしい香織は、次なる形態へ移行すべくコンクイスタ・ガヴァリエーレを解除した。


「さて、次は……これ行ってみようか。起動要請、『ロッソ・スパーダ』」

《Open up-Iron Saber》


 機械的な音声を伴い、香織の長髪から色素が徐々に抜け落ち白くなっていく。続いて『列王の輪』が扇情的なドレスを思わせる赤い装束へと変形。手元へ無駄にアーティスティックな長剣が出現し、起動は完了した。

 これぞ列王の輪が持つ形態の一つにして、精霊アルトゥーロの力による『ノッテ・スパーダ』と対を成す『ロッソ・スパーダ』である。その見た目通り耐久力や燃費の面ではノッテ・スパーダに大きく劣るが、こと破壊力に関してはそれを補って有り余るレベルである。

 対応する精霊は、女性であるにもかかわらず何故か立派な鬣を棚引かせた(自身曰く『王であるが故』らしいが詳細は不明)獅子系禽獣種のクラダイウス。性格は剛胆かつ我が儘で自信過剰という典型的な王族気質の(上に外見不相応にかなり稚拙な)バイセクシャル。

 一応カドムの意向により鉄側の精霊達を指揮・統括するポジションにあるのだが生来の性根が災いして人望はまるでなく、殆どの列王十四精霊から快く思われていないのが現状であった(主な例外は鉄側のガヴァリエーレことアレクスだが、彼もまた『馬鹿っぷりが可愛い』と言って娘のように思っているだけである)。

 唯一他の精霊より優れた点があるとすれば、稚拙な癖に芸術への造詣が深く、物事について独特の価値観と哲学を持っているという事くらいだろう(但しそれが表に出る事はあまりない)。


「変身完了っと……行こうか、クラダイウス」

《うむ。今日も似合っておるぞ賢者よ。やはりそなたには余の衣装がよく似合う》

「そうかなぁ……個人的にスパーダは青い方が好きなんだけどね……こっちは防御薄いし、肌寒いし」

《機動力と火力で補えば良かろう?それで駄目ならば我が奥義を使えばよい》

「その奥義が燃費悪いんだって話でしょうが……」


 そんな具合にクラダイウスとの他愛もないやりとりを楽しむ香織は、後に何だかんだ言いつつこの形態で数多の兵士を屠っていくことになる。


―二分後―


 真宝軍の戦力が粗方死滅し、ほぼ勝利が確定したも同然となった頃。

 ロッソ・スパーダを解除した香織の通信機に、異空間の管制塔を任せてある等から連絡が入った。


「はい、もしもし。どうかしました?」

『あ、はい。それが……ですね。清水さん、出る前俺にスイッチくれたでしょ?赤と青、二つの』

「はい。あげましたよ、敵が来たり、トラブルが起こったら押して下さいってね。それで、そのスイッチが何か?」

『……実はさっき、手元に置いてたスイッチが突然両方とも光ったので思わず押しちゃったんですよ。それでどうしようか少し迷ったんですけど、やっぱりここは清水さんに報告した方が良いかなって……』

「ふぅん。つまり、ちゃんと光りはしたんですね?」

『えぇ、光りはしたんですが……やっぱすみません。敵軍だって負けたも同然なのに、こんな状況じゃ強敵もトラブルも有り得ないッスよn――「ありがとうございます、多澤さん」――え?』

 突如礼を言われて戸惑う等に、香織は淡々と語りかける。

「この手のものを任されると、大体は肝心なところで油断してスイッチ押さずに放置とかしちゃったりするんですよ。『そんなことあるはずないだろう』ってね。でも実際の所そのパターンが一番危ないってのにね、気付けてないから」

『は、はぁ……』

「兎も角安心して下さい、あなたのやったことは賞賛されるべき行いですから――では、ひとまずそちらに戻りますので」

『は、はい。わかりました』


 会話の途中で不穏な空気を察知した香織はそう言い残すと、慌てて通信を切断。

 前線に出ている面々の粗方を魔術で異空間へ避難させ、自身もそれに続くように管制塔へと戻っていった。

次回、真宝軍のとんでもない切り札に超弩級の召喚ゲスト達が立ち向かう!?

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