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ヴァーミンズ・クロニクル  作者: 蠱毒成長中
シーズン5-ヤムタ編-
170/450

第百七十話 これは会議ですか?Y.はい、性根腐ったロリコン野郎のあいつは




ダリアによって引き起こされた惨劇は議会によって隠蔽されたが……

―前回より―


「『ろりいようじょうざいむだいじんほか、ぜんばおせいふしゅようかんりょうふしんし』……か。何やら妙な事になって来たようですぜ、マスター。こいつぁどうにもマトモじゃねえ」

「えぇ。全くあなたの言う通りね、デッド。最もらしい理由で誤魔化したつもりかどうかは知らないけど、粗末なものよね」


 ダリアが議事堂で引き起こした『密室殺戮』は、議会の根回しによって大臣達の病死として処理され、新聞の一面を飾っていた。紙面上(例によって平仮名と記号ばかりで読みにくいことこの上ない)の記事では『大臣達は普遍的な球菌による食中毒で死亡した』と報じられていたが、これほど短絡的な隠蔽工作如きに騙されるようなデーツ達でもなかった。


「ダリアだけが生き残ってる所を見るに、やっぱ奴が裏で手ェ廻してるんですかねぇ。国家魔改造に国民洗脳だけじゃ飽きたらずに皆殺したァ――

「待って下さい」


 そう言って意見を述べたのは、地球で言うコーカソイド的な顔つきをした尖耳種の少女、アリサ・ガンロッド。自らを導き、『ヒトとしての在り方』を教えてくれたデッドを兄のように慕う、生真面目で心優しく思慮深く、従順であり尚かつ献身的と、『天使』または『聖女』という例えが何より似合う少女であった。

 その和やかで暖かみのある雰囲気は、軒並み血生臭い怪物か狡猾な悪霊然とした気配で周囲を威圧し、恐怖感を掻き立てるような風体の者が多いデーツ一味にあって、一際異彩を放っていた。


「ん、どうしたアリサ? 何か感付いたか?」

「はい。その、えっとですね……大臣達を殺したのは、本当に樋野なんでしょうか?」

「……どういうことです?」

「えと……ですから、樋野は本当に大臣殺しの犯人なんでしょうか? 例えばこれはあくまで憶測ですけど、『別の何者かが、何らかの意図を以て故意に樋野だけを殺さなかった』という事は……」

「何らかの意図……か。確かにそう考えられるかも知れないね。何を意図したのかは今一解らないけど」

「意図と言ったら、冤罪で社会的抹殺を狙うとか、精神的に追い詰めるとかじゃないのか?」

 刻十に便乗する形でそう述べたレノーギだったが、デーツはそれをあっさり否定した。

「残念だけれど、恐らくそれは無いわね」

「何故です?」

「だってねレノーギ、冷静に考えて見なさい。今の真宝は状況からして樋野の手中にあると言っても過言でないわ。つまり殆どの国民はあの男の思うまま……多分、殺人の罪を着せて社会的に破滅させるなんて不可能なんじゃないかしら」

「確かに」

「あと、精神的に追い詰めるというのもまず無いと考えるのが自然ね。これはあの男の侍従を装って動向を探っていた私だから言える事だけど、あの男の本性はかなり狂ってるわ。次元を問わず小さな女の子でいやらしい遊びをするのが大好きなのは皆も知っているだろうけど、当然それだけじゃない。

社交的で温厚な紳士というのはあくまで上辺だけの顔。その本性は冷酷で残忍、そして狡猾な卑劣漢よ。口では幼い女の子を『愛してる』なんて言ってるけど、結局は自分の言いなりさせたいだけなの。相手が何と言おうと自分の考えを押し通し、口答えしようものなら平然と手を上げる……そんな男が、果たして同僚の議員達が殺された程度で精神的に追い詰められると思う?」

「そこまで聞いたら『思わない』と答える他ありませんのう。これはどうも、軽率な発言をしてしまったようで……」

「良いのよ、レノーギ。例えそれが的外れであったとしても、議題に関係する意見を能動的に述べてくれた事は感謝に値するわ」

「有り難う御座います」

「しかしそうだとすると、やはり樋野が殺したのでしょうか? 私にはどうも、あれがそこまで短絡的な行動を起こすような男には見えないのですが」

「……それが思い込みであるという可能性もまた、皆無ではないのでは」

 抑揚のない声で言うのは、小柄な山猫系禽獣種の少女・風戸聖(カザトヒジリ)であった。

「風戸さん?」

「……国家統治権を保有していた真家や、白家などの少数派が軒並み断絶――いえ……壊滅(・・)した今、真宝政府の構成人員はほぼ役立たずと考えるべきであり、樋野自身もそう感じていた……そうではありませんか、デーツ様?」

「そうね。樋野は表向きにこそ何時も笑顔で居たけれど、不運な使用人で遊ぶ時にはそんな感じの本音がダダ漏れだったように思うわ。

『気違いの腐れ耄碌老害共めが、調子に乗りやがって』とか『明日にでも殺してやろうか』とか、お陰で相手させられてる子が散々な目に遭ってたわよ」

「とすれば……苛立ちや殺意に駆られての犯行と考えるのが普通でしょうか……」

「腹立たしい老害貴族に、人員者逃亡と闘技場の崩壊に伴うショービジネスの恒久的な停止……か。

確かにストレスで殺しくらいしそうではありますね」

「無論これも単なる推測の域を出ない話なのだけれどね。ただ、こんな騒ぎが起こった以上ツジラ達が何時動き出してもおかしくないわ。何としても早急に手を打たなければ……レノーギ、シャラの様子はどう?」

「デトラからのメールが確かなら、術は順調に進んでいると見て間違いないでしょう」

「それは僥倖ね。あれだけの体積と人数に対応させようというのだから、もっと大掛かりになってしまうかもしれないと心配だったのだけど」

「杞憂のようですぜ。シャラは女々しくてチビでビビりですが、やるかやらねーかで言えば、やる奴なんでね」

次回、十日町邸にて起こる惨劇!

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