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第五章 激突 Ⅲ

 駆けども駆けども、荒涼とした戦場が続き。流民や盗賊と、戦争と略奪に明け暮れる兵士どもに何度遭遇したことだろう。

 それでもコヴァクスとニコレットは、イヴァンシムを捜し求めた。どうにか説き伏せ、集落の人々を保護してもらうために。

 行く先々で、人にイヴァンシムの行方を尋ねれば、南方に向かっているという答えを得た。どうも南方に興ったソケドキアのフィロウリョウに呼ばれて、そこに向かっているらしい。

「ソケドキアか……」

 コヴァクスはうなった。

 コヴァクスらはオンガルリとの国境を接し、ヴーゴスネアから独立したスウボラ派の貴族ポレアスの治めるリジェカ公国から入り、バルバロネや集落の人々と出会った。そこからソケドキアとなれば、旧ヴーゴスネアをまさに北から南へと縦断するかたちになる。

 となれば日数もかさむ。が、止むを得ない。コヴァクスとニコレットは急ぎソケドキアに向かうイヴァンシムを追って南へ駆けた。

(でも……)

 ニコレットは思案した。イヴァンシムは定まった主を持たず、自力で義勇軍を率いて戦っているのではなかったか。それが、王侯に呼ばれてそれに応じるとは。

 やはり、後ろ盾なしで戦い続けるのも限界があるということか。

 ヴーゴスネアは七つの国に分かれている。

 一番北からポレアス治めるリジェカ公国。下って同じくスウボラ派の貴族コントレ治めるダメド。そこからエムアルーニ派の貴族エーダヴ治めるエスダ。

 国土の中央に位置し王都べラードを擁するヴーゴスネアは、自らを正当なる後継者と自認するトレイヴィンが国王として君臨し。そのすぐ東にトレイヴィン派の貴族アーエイが、タールコを防ぎとめることを条件に自治権を認められて独立し、ユオという国を建てている。

 それより南方にあっては、独立独歩でノナブガーオダという人物がアヅーツという国を建てているが、一番南に位置するソケドキアのフィロウリョウに攻められ不利をこうむり、滅亡も近いという。

 旅をしながら各国の状況がすこしずつでも耳に入ってくる。この中で一番強そうなのは、ソケドキアのようだと、ふたりは思った。

 他国は愚かにも鍔迫り合いに興じては、我が身を削る一方なのに対し。ソケドキアは完全独立独歩。国力は豊かにして兵は強く、国王フィロウリョウの野心は燃え盛って、野望の火は、北へ北へとのぼりとどまることを知らず。

 いずれ、古臭い貴族や王侯は根こそぎ倒されるであろう、という評判であった。

 旅立って七日目の夜、コヴァクスとニコレットは、着の身着のまま山林にまぎれて野宿をし、身体を休めた。

 月は出ず、山も木々もすべて冷たい闇が覆い尽くす。

 すぐに起き上がれるように、横にならず。木に背中をもたせかけてすわって、寝た。

 翌朝、日の出とともに目覚めて出発。

 どこをどう行ったか土地感覚もない。リジェカはとっくに出て、ダメドに入って、抜けるか抜けないか、だろうか。

 一日旅をしたら、ヴーゴスネアに入るのか。

「思ったより遠くに来てしまったな」

「ええ。バルバロネさんたち、無事かしら」

 旅の間、やはり集落の人々が気にかかる。ソシエタスやバルバロネがよく守ってくれていることは、疑いはしないが。

 ともかくも、追いかけ続けるしかない。

 しかし、この国はなんと荒れていることだろう。廃墟となった街を、不幸な流民の群れを、どれだけ見たことだろう。できることなら、皆を助けてやりたい。しかし、今の自分たちですぐに助けることはできなかった。

 後ろめたい思いを抱きつつ、逃げるようにして離れてゆくことも一度や二度ではなかった。

 で、王の都やそのとりまき貴族のいる街は、別世界のように豊かで平和だった。流民は助けを求めてそこに辿りついても、相手にされず兵馬をもって追い払われる始末。

 そのため、怨嗟の声もところどころにささやかれている。

 もう二十年も戦争をしているのだ。人々は悲しみを通り越して、麻痺して殺し合いに慣れ、流民がそのまま盗賊になることも多々あり。盗賊同士で獲物の奪い合いをすることもたびたび。

 それが勢いをつければ、ちょっとした貴族や豪族となって土地を支配する。

 建前上は国が七つといっても、実質はそれ以上に分裂していると見られた。

 誰も真剣にこの地の平和を考えていないのか、とコヴァクスとニコレットは怒りすら覚えた。誰しもが己のために剣を振るい欲求の命ずるままに、奪い合っている、と。

「このままだと、タールコが攻め寄せてくる。タールコの兵馬に、軍靴に、踏みしだかれるぞ」

 かつてヴーゴスネアもタールコと敵対し戦っていた。神美帝ドラグゼルクセスとて、黙って見ているままではあるまい。

 コヴァクスは、旅をしながらこのヴーゴスネアの現状に対して、イヴァンシムを捜し求める以上の悩みをいつの間にかかかえているようだ。それはニコレットも同じだった。

「すこしでも早く、お父さまのご遺言を果たして。オンガルリのみならずヴーゴスネアの秩序を取り戻さなければいけませんわ」

 薄い雲にさえぎられながら昇る太陽の、にぶい光を受けながら、ふたりは駒を進める。

 丘を登る坂道にさしかかりこれをのぼっていると、屍骸と遭遇した。一体ではない、それから向こうも、幾体も地に横たわっている。武装しているところを見ると、戦争があったようだ。

 ふたりは剣を抜き身構えたが、喚声は聞こえない。戦争はすでに決着がついて終わったようだった。

「これは……。ヴーゴスネアとダメドの兵か」

 進むにつれ屍骸の数は多くなってゆく。軍装を見て、コヴァクスはつぶやいた。

(よく巻き込まれずにいけたものね)

 ニコレットは冷や冷やする思いだった。もしこの地に来るのが早ければ、戦争に巻き込まれていたろうし。そうでなくても、出陣あるいは引き上げの軍勢に遭って尋問でもされれば面倒だ。

 いままで、そういうことが何度かあって、逃げたことか。

 幸いにも戦争は終わり、両軍とも引き上げたあとのようで。生きている人間と遭遇することはなかった。

 しかし進むに連れて横たわる屍骸は増えてゆき、ふたりは身震いする思いに駆られ、引き返そうか、と思った。

 と思いつつも、身も心も意に従わず前へ前へ進んでゆく。この先に何があるのだろう、という得体の知れぬ恐怖を確かめたいという欲求が、早鐘のように鳴る心臓の鼓動を制しているようだ。

 などと意識する間もない。やがてふたりは広い平原に出た。そこには、何百体もの屍骸が折り重なって地を埋め尽くし、ところどころで山をなしていた。

 たおれる屍骸すべて異形の相をなし、憎悪とも恐怖ともつかぬ青白い顔で瞳孔の開いた瞳を、口を閉じてあるいは開けて、その身をどすぐろくなった血に染めて。それは今にも起き上がり殺し合いをするのかと思わせるほど。

 空気もまた屍骸から滲むものに染められてか、よどみ、ふたりにまとわりつくようだ。

 言葉もない。

 陽の光を受けて鈍く光る武具や裂けた鎧兜に、血。この世のものとも思えぬ光景は、いま実際に、しかとこの目に見ている光景なのだ。

 コヴァクスは眉をしかめて、ニコレットに引き返そうと言おうとした。

 その矢先であった。

 向こうから、何か音がした。それはくぐもって何かの生き物にも聞こえた。

 愛馬を止めてから徐々に後ろに下がらせ、ニコレットはおのずと後ろに振り向き警戒する。

「……」

 なにかの生き物の声がよく聞こえるようになり、こちらに迫りつつあるのがわかった。その様子からして人間ではないようだが、ではなんの生き物だろう。

 くうを震わせるようにくぐもった声がやんだ、と思うと、またなにか別の音がする。それは、がつがつと、何かを食べているような音だった。

 背筋に悪寒が走る。

 屍骸だらけの戦場で、何が何を食べているのだろう。そう思うと、いかに勇敢なふたりとて戦慄を禁じえない。しかし、何かに導かれるようにして、目はそれを見た。

 それは、屍骸にむさぼりつく大熊だった。

 漆黒の闇のような分厚い体毛に覆われて、鋭い爪は、牙は屍骸を引き裂いて、噛み砕いて。口先を真っ赤にしながら、ひたすら本能のおもむくままに食欲を満たしていた。

 ふたりは目を見合わせ互いに頷き、馬を返して駆け去ろうとした。

 蹄の地を蹴る音が響くや、それに呼応してどたどたと、大木を地に打つような音がしたかと思えば。あの大熊が、追いかけてくるではないか。

 漆黒の闇の塊と思わせる巨躯。地を、屍骸を蹴飛ばす太い四本の足で、ふたりを追いかけてくる。


 季節が秋から冬にかわろうとする今ごろ、熊は冬眠の準備に入るのだが、それにしくじった熊は凶暴になり人を襲い食い殺すこともある。

 おそらくこの大熊も冬眠の準備にしくじったのであろうか。そのため、人の屍骸まで喰らうようになってしまったのだろうか。

 それでも、屍骸より生きている人間の方が食欲はそそるようで。血走った目をらんらんに輝かせてふたりを追った。

 コヴァクスもニコレットも、愛馬を懸命に走らせようとするが。

 大熊の威嚇の雄叫びは二人の背中を引っ掻くように撫で、かつまた愛馬の尻と後ろ足までも引っ掻くようにして撫でたようで。二頭して恐怖に心臓縮みあがり足をすくめ、速度を鈍らせる始末。

「うわあッ!」

 コヴァクスの声。

 あろうことか、コヴァクスの愛馬は恐慌をきたし前脚を高々と上げ主を振り落とし、自分だけ逃げようとするではないか。

 背中から地に打ち付けられるようにして、コヴァクス落下。その間に、愛馬は姿を消した。

「お兄さまあーッ!」

 かろうじて愛馬をしずめ振り落とされずにいたニコレットは、コヴァクスを拾おうとするが。大熊は邪魔するなとばかりに叫んで駆けて、ニコレットの愛馬の白馬に迫って。後ろ足で立ち大きく立ちはだかって、鋭い爪を見せつけ、太い前足を振り回し威嚇する。

 口は大きく開かれ、鋭い黄色い牙がのぞく。

 それまでどのような強敵に遭おうとも臆することなかった白馬は、このときばかりは大熊に縮み上がり主の命令を聞かず手綱からはひたすら恐怖の震えばかりが伝わり。てんで使い物にならない。

「白龍号、お願いだから言うことを聞いてちょうだい!」

 ニコレットの愛馬、白龍号は主こそ振り落とさないものの、石のようにかたまっていた。

 大熊はその隙にコヴァクスに迫った。やはり人間を乗せるほど大きな馬よりも、ひとりの人間を捕らえる方が楽とふんだのだろうか。

 どうにか背中の痛みを抑えて起き上がり、剣こそ構えていたものの、身長の二倍はあろうかという大熊相手にいかに戦えというのか。

 その漆黒の剛毛は鍛えられた鋼のように黒光りし、その下にある筋肉もまた鋼の強靭さをもっているようで、剣がどこまで通用するかあやしいものだった。

 白龍号を相手に悪戦苦闘するニコレットを横目に、コヴァクスは震える四肢を押さえ剣の柄を両手で握りしめて。

 歯を食いしばったっまま大きく息を吐き出すと。

「うおおー!」

 と大熊目掛けて剣を突き出し駆け出した。

 大熊もそれに応じるように、餌が向こうから飛び込んでくるという喜びをあらわに咆え叫んで四つの足を地にめり込ませるようにして駆ける。

「お兄さま駄目!」

 ニコレットは狂気の沙汰とも思えるコヴァクスの突進に驚き、咄嗟に剣を投げつけた。

 剣は大熊向かって勢いよく飛び、太い右前足に刺さった。

 大熊は突然の痛みに驚き、大口を開けて血混じりの唾液を飛ばしながら咆哮した。その叫び声は憎しみに満ち、天空すらも叩き落しそうなほどに轟き。

 向きを変えて、剣を飛ばしたニコレットに血走った目を向けて。剣が右前足に刺さったままなのもお構いなく、突進してくる。

「あ、ああ、い、いや!」

 四つの足が弾かれ地を蹴るたびに、剣の刺さった部分からは赤い血がとめどもなく流れ落ち。その血に流されるように、ニコレットの剣は乾いた音を立てて地に落ちた。

 自分が叫んだことも意識できず、恐怖にかんじがらめになった白龍号の馬上で身も心も内から引き裂かれる恐怖に打たれ、縛られ、ニコレットは目を閉じた。

 大熊の咆哮が轟き、心を強く打つ。と思ったら、その足音は反転して遠ざかってゆく。

 どうして、と目を開ければ大熊はコヴァクスに迫っている。

 大熊の尻には、コヴァクスの剣が突き刺さっている。どうやらさっきのニコレット同様剣を投げて注意を引いたようだ。

 コヴァクスは大熊に背中を向けて、目一杯駆けている。しかしいかに俊足であろうとも、熊は人間よりもはるかに速く走れるのだ。

 剣の刺さった尻から血をどくどく流しながら走る大熊の後姿は、滑稽ではあるが、今はそれに気付くゆとりなどない。

 ニコレットはコヴァクスの背中を見つめ、懐から短剣を取り出し鎧の胸当てを外し。いつでも短剣で心臓を突ける体勢をとった。

 熊に食い殺されるくらいなら、自害した方がましだと思ったからだ。

 コヴァクスは駆ける。大熊はコヴァクスに迫る。ぐんぐん近づいている。

 その血塗れた爪が、牙が、コヴァクスを引き裂くのも時間の問題と思われた。

「お父さま。もうすぐお兄さまとともにおそばにまいります」

 異国の地で、雄敵と戦うのではなく、たまたま出会った野生動物に襲われて命を捨てることになろうとは。

 誇りもへったくれもなく、屈辱以外の何者でもない、無念の死に方だった。

 逃げようとしてつまづいたコヴァクスに大熊が迫る。

 もはやこれまでか。

 しかし、つまづいたコヴァクスの目は見開かれて大熊に負けず劣らず光り輝いていた。

 伸ばした右手は、片刃式のハルバード(斧槍)の柄を掴んでいた。

 反射的にコヴァクスは身体をひねって回転させ、ハルバードを思いっ切り大熊にぶつけた。

 鈍い感触がした。

 ハルバードの斧部分は、大熊の左半面の横っ面を直撃し。頬をかち割った。

 大熊は突然のことに驚いて後ろ足で起き上がって、張り裂けんがばかりに叫んだ。叫べば叫ぶほど、それに呼応して血が溢れ出て大熊の顔面を染めてゆく。

「くらえ!」

 必死の一撃。咄嗟に立ち上がったコヴァクスは力一杯ハルバードを振り上げ、立ち往生する大熊の脳天目掛けて振り下ろした。

 しかし、戦場に打ち捨てられてもろくなったハルバードの斧は大熊の脳天を砕くどころか、逆に石頭に砕かれて、粉々に破片を散らした。

 多少の衝撃は与えて、大熊はよろけたものの、まだ生きている。

 よろけながらも、大熊は本能を、食欲を満たそうと仁王立ちしてコヴァクスに迫る。

「くそおー!」

 後ずさりし、ハルバードを構えなおし、穂先を大熊の胸目掛けて突き立てた。が、まだしとめられず。大熊はハルバードの穂先が刺さるのも構わず、コヴァクスに迫ろうとする。

 太い前足を振るわれ爪がコヴァクスの鼻先をかすめる。柄が大熊を押しとどめて、距離をたもっている。


 大熊が一歩踏み出すごとに、穂先は肉に食い込み血が溢れ出し。柄はきしんでたわむ。痛みや怪我よりも、食欲の本能が勝っているのか。これは下手をすれば折れてしまう。折れてしまえば、さえぎるものはなく一直線にコヴァクスを食い殺せる。

 柄が折れてはたまらないと、コヴァクスも一歩一歩さがる。さがりながら、微妙に力を込めて穂先を大熊の分厚い胸板に食い込ませる。

 だがコヴァクスも疲れと緊張で、ぷっつりと心の糸が切れそうだった。これでいつまで持つのか。柄を握る手とて、いつまで柄を握り続けられるのか。

 鼻先を爪がかすめる。かっとして、

「とっととくたばれ!」

 と叫んで、渾身の力を込めて、穂先を胸板に押し込んだ。

「あああー!」

 大熊の背後から、ニコレットが叫びながら突っ込んでくる。下馬し落ちた自分の剣を拾い、大熊の背中に剣を突き立てる。

 分厚い剛毛と筋肉に弾き返されそうなかたさを感じつつ、ニコレットは渾身の力で剣を背中に押し込めようとする。

 剣が突き立ったのは丁度背中の左側、心臓の背後。

 大熊は前後から刺されてさすがに苦痛のうめきをもらした。

 大きく開かれた口から黄色くも赤く血塗れた牙がのぞき、喉の奥から搾り出される叫び声は、冬眠をしそこねたために屍骸を喰らわねばならず、挙句に人間に傷つけられてゆく大熊自身の無念さが、幾重にもこもっているようで。

 コヴァクスとニコレットの心胆を寒からしめた。

 いかに大熊といえど、うまく冬眠ができれば、不要な殺生はせぬというのに。

「なぜこんな死に方をしなければいけないんだ」

 とでも言っているのか、何度も何度も、大熊は天を仰いで叫んだ。

 冬眠をしくじったのは、あるいは人間の愚かな争いに眠りを妨げられたのもあるかもしれず、屍骸を喰らうのも、眠りを妨げたことへの復讐であったのかもしれなかった。

 傷口から血がほとばしって、コヴァクスとニコレットに降りそそがれた。血は、あたたかかった。

 やがて大熊の叫びがやんだと思うと、それまでの強靭さがうそのように、芯が抜けたように、前のめりにたおれてゆく。

 コヴァクスは慌ててよけて。

 大熊はうつぶせにたおれて、ぴくりとも動かなかった。

 大熊の血を浴びて、真っ赤な顔をさらに真っ赤にして、コヴァクスとニコレットはしばらく呆然としていたが。大熊が息を引き取ったのがわかると、知らずに互いに寄り添い抱き合って。

 互いの体温を確かめて、生きている、ということを分かち合った。

 ニコレットは危機を脱した安堵で気が抜けて、コヴァクスの胸の中で泣きじゃくっていた。

 戦うということは、結局はそういうことで、そこに、きれいもきたないもないし、体裁もへったくれもない。

 敵は人間のみにあらず。

 時として自然とも血みどろに戦わねばならないことを、ふたりはこびりつく血を感じながら、脳天を斧で叩き割られるような衝撃とともに、身にも心にも打ち込まざるをえなかった。

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