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旅路の果て

ハータのところに残していた転生者達

彼らの存在がマルベックに見つかった

全員が王城に連行され、収監された

その事を知らせる張り紙は領地の至るところで見かけた


俺が魔族の根源を滅ぼしたことはまだ城のほうには浸透していない

城の兵士達が俺に味方してくれるとは限らない

しかし、この状況でのんびりしているわけにはいかなかった


一刻も早くアイリーン達を助け出さないと

ゆっくり凱旋している余裕はない


俺は王城へと真っ直ぐに向かった


城の警備は厳しい

俺が現れた瞬間に捕えるという気迫のようなものすら感じる

兵達にマルベックが魔族であると説明したところで聞く耳は持たれないだろう


それに、人間である兵士には浄化の力は効かない

魔族を相手にした時のようにはいかない

兵達を相手にすればまず勝ち目は無いだろう


この状況でアイリーン達を助け出して逃げるのはほぼ不可能だ

俺に取れる策は一つしかなかった

すなわち、兵にも人質にも構わず、マルベックの元まで最短で行き、まずは奴を倒す

その後のことはその時に考えるしかない

俺がマルベックを消滅させるのを見れば、兵達も説得できるかもしれない

それからアイリーン達を解放すればいい


だがしばらく様子を見ても、昼夜を問わず城の警備は緩まないようだ

王の間までは身体能力強化と持続時間を考えると5倍くらいにまで高めるのが最適に思えた

それ以上だと時間切れのほうが先にくる

それ以下だとおそらく突破できる可能性が低くなる

その両者を成立させることができる限界のライン

その場の状況によっては、瞬間的に能力強化を緩めたり強めたりといったことも必要になるだろう

いずれにせよ、失敗が許されない一度限りの決死の突破

正直、魔樹の時のほうが楽に思えるくらいだ


俺は意を決した

城にギリギリまで近づいてから俺は能力を使い突撃を開始した


兵達は当然の事ながら俺を阻んでくる

それをある時は飛び越え、ある時は蹴り飛ばし、王の間に向けて突き進んでいく

王の間に近づくにつれ、能力の限界も近づいてきているのがわかる


俺は、その限界を迎える前に王の間に入ることができた

そこには当然のことながら護衛もいる

しかし数は多くない

相手からすると、俺の侵入に気付いてからここまでが短時間すぎて、さすがにすぐに王の守りを固めるまでのことは出来なかったんだろう


俺は最後の力を振り絞り、護衛の兵士を躱すとマルベックの元へと迫った

マルベックの顔がみるみる引き攣っていくのがわかる


そして、俺の手がマルベックに届いた


「・・・・?」


なぜだ、マルベックを浄化できない

まさか・・・・


その答えはすぐにわかった


「助けてくれ。ワシはマルベック様ではない。殺さないでくれ」


俺がマルベックだと思っていた人物がそう叫んでいる

マルベックは影武者のような人間を玉座に置いていたんだ・・・・


この瞬間に俺の取れる策は無くなった

力を使い果たした俺はもうまともに動けそうもない

俺はすぐに兵達に取り押さえられた


「残念だったな・・・」


そう言って俺に近づいてくる人物

まさか、こいつが・・・・


「マルベック様!」


さきほどの影武者がその人物をそう呼んだ


やはり、こいつが・・・・

今のこの状況では俺を押さえている兵士を跳ね除けてマルベックに迫ることはできない

手を届かせるにはあまりに遠い距離

俺は最後の可能性に賭けた


「そいつは魔族だ!お前達は騙されている!俺の話を聞いてくれ!」


俺はそう兵達に向かって叫んだ

しかし、兵達は何の反応も示さない


くそ・・・ダメなのか・・・

ここで終わりなのか・・・


「これで逆賊どもは全て捕えたな」


そうマルベックが言い放つと、兵達に合図を送る

アイリーン達がその場に連れてこられた


捕まった仲間達を見るとロザリーの姿は無かった

良かった・・・

彼女だけは逃げられたんだ

いや、アイリーン達のことだから、ロザリーを逃がすために最後まで抵抗したのかもしれない


「お前達が犯した罪は重い。特にお前だ」


マルベックが俺を指さす

捕まった他の転生者達も俺のところに連れてこられて、地面に押さえつけられた


何かないか、ここから打てる手は・・・・

ラルフは念入りに縛られていて、彼の力に頼ることもできそうにない

それに護衛の数も膨れ上がっている


アイリーンが俺に語り掛けてきた


「ごめん、捕まっちゃって」


「・・・・」


いや、お前は何も悪くはない


それでもアイリーンは泣いていた

こいつは、普段は気が強いのにすぐに涙するようなところがあった

二人で旅をしている時、彼女のそういうところを感じた


アイリーンは泣きながら続けた


「もし・・・・また・・・・どこか別の世界で一緒に生まれ変わることがあったら・・・・、その時は恋人になって欲しいな・・・・」


やめろ、そんな諦めの言葉は聞きたくない

しかし、俺はアイリーンのその言葉に真っ直ぐに答えてしまった・・・・


「ああ、そうだな。わかった。次はもっと平和な世界に生まれ変われると良いな・・・・」


・・・・・・・・・

俺の中で一気に気力が抜けるのがわかる・・・


絶望と諦め

もう本当にどうしようもないんだ・・・・


しかし、残された魔族はそれほど多くないはずだ

俺は最低限、やれる限りのことは成し遂げた

もうこれ以上を望む必要はないのかもしれない

誰かがマルベックを倒してくれさえすれば・・・・

もしかしたら逃げ延びたロザリーがそれを成し遂げてくれるかもしれない


今、アイリーンはどういう顔をしているんだろう・・・


しかし、アイリーンは俺が予想していたのと違う顔をしていた

何かに気づいたかのような・・・・

なんだ?


『クラヴィス・・・』


日本語?

アイリーンが俺に日本語で何か話しかけてくる


そんな中、マルベックの声が響く


「まずは、この大罪人をこの場で処刑しろ!」


そう俺を指さす


次の瞬間、俺の身体は無数の槍で貫かれた


俺は・・・・


クラヴィスは・・・・


こうして最期を迎えた・・・・

予定はないですが、また投稿するかもしれません

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