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3/3

高潔すぎるお忍び

ご視聴ありがとうございます!

専属護衛にジャックを指名したフォルカード。

今回は国王陛下から「民の生活を見てこい」との無茶振りが。

汚れに満ちた下界(街)で、王子の白衣は保たれるのか!?

国王陛下の命令は絶対だった。

「フォルカードよ、次期国王として民の泥にまみれた生活を知るのだ」

 ……陛下、俺の服は一箇所でも汚れたら死ぬ呪いがかかってるんですよ。

「殿下、こちらがお忍び用の平民の服(古着)にございます」

 差し出された茶色の服を見て、俺は気絶しそうになった。

(……古着? 無理だ。誰が着たかもわからん、しかもこの毛羽立ち、ダニが、菌が、死の軍勢が押し寄せてくる……!!)

「……断る。俺は、この『聖礼装』でいく」

「しかし、それでは目立ちすぎてお忍びになりません!」

「俺が歩けば、そこが道になる。……それだけのことだ」

(訳:それ以外着られる服がこの世に存在しないんだよ!)

 結局、俺は真っ白な正装のまま、ジャックだけを連れて城下町へ繰り出した。

「「「お、おおお……!!」」」

 街に出た瞬間、どよめきが起きた。

 泥だらけの路地裏、魚の生臭い市場。そこに降臨した「汚れ一つない純白の王子」。

 民衆は後光が差しているかのように錯覚し、勝手に道が開けていく。

(……ジャック、頼む。誰一人として俺に触れさせるな。すれ違う時の風圧で埃が飛んでくるのも防いでくれ!)

 そんな中、空気を読まない「汚れの塊」が現れた。

 名はバンブー。身長二メートルを超える、ならず者の大男だ。

「おいおい、綺麗な坊ちゃんじゃねえか。その服、売れば一生遊んで暮らせるな……!」

 バンブーが、酒臭い息を吐きながら、脂ぎった手で俺の胸元を掴もうと迫る。

(くるな。くるな。その手! 爪の間の黒いのは何だ!? 雑菌の王か!?)

 俺の心臓は爆速で警鐘を鳴らし、怒りと恐怖が限界突破した。

「……汚ねえんだよ、近寄るなッ!!」

 それは、王子としての威厳ではなく、一人の「命の危機を感じた男」のガチすぎる悲鳴だった。

 だが、その鋭すぎる眼光(必死)と、一切の妥協を許さない拒絶の言葉に、バンブーは蛇に睨まれた蛙のように硬直した。

「お前のような……そんな『よどんだもの』を俺の視界に入れるな! 己の醜さを自覚して、まずはその魂(と体)を洗い流してこい!!」

(訳:風呂入れ! 服洗え! 除菌しろ! 寿命が縮まるだろうが!)

 バンブーは衝撃を受けていた。

 今まで出会った貴族は、自分を「虫」のように見るか、「恐怖」で見るかだった。

 だが、この王子は違う。自分という存在を、根底から「正そう(洗おう)」としている……!

「殿下、お手を汚すまでもありません」

 背後に控えていたジャックが、一歩前に出る。

 彼はバンブーの巨体を、まるで「洗濯板の上の汚れ」を落とすかのような滑らかな動きで、地面に組み伏せた。

「……ジャック、あとは任せる。俺は……少し気分が悪い」

(訳:吐きそう。あの男の酒の匂いで服に匂いが移りそう)

「ハッ! ご安心を。この者、徹底的に『清めて』おきます」

 ジャックはバンブーを噴水へと引きずっていき、ものすごい手際で文字通り「洗濯」し始めた。

 数分後。

 全身を磨き上げられ、心まで洗われた(物理的に)バンブーは、その場に膝をついた。

「……こんな、こんな俺のために……これほど真剣に『清め』を……。あんた、いや、殿下! 俺は今日から心を入れ替えて、アンタの盾になる!」

 ……なぜか、凶悪なごろつきが忠実な下僕にクラスチェンジしていた。

 ジャックも感銘を受けた様子で俺を見ている。

「流石は殿下。悪党の魂にこびりついた汚れまで見抜かれるとは……。私も一生ついていきます」

 違う、俺はただクリーニング代(命)をケチりたかっただけなんだ。

 どっと疲れが出た俺たちは、陛下が指定した「民の溜まり場」……冒険者ギルドへと到着した。

 扉を開けた瞬間、俺は文字通り崩れ落ちそうになった。

 そこは――汗と酒、血と泥、そして何かわからない獣の臭いが充満する、この世で最も「死(汚れ)」に近い場所だった。

(……詰んだ。ここ、絶対除菌スプレー効かない……!!)

ごろつきのバンブーが仲間に加わりました。

汚物を見るような目(本音)を、高潔な慈悲と勘違いする才能。

さあ、次は地獄のギルド編です。王子の白衣は真っ白のまま保てるのか!?

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