ホームレス
このライフルはかなり古い雑居ビルを改築したものだが、外観は少しゴージャスに見えるように改装されていた。雑居ビルを改築したホテルをコンドミニアムと称し、経営するホテルのその数は次第に増えてはいるが、安いだけで、その分そのクオリティは低い。しかもセキュリティも低い。翌日の朝に荷物がない、こんな光景は日常茶飯事だろう。佐川田はそんなコンドミニアムのフロントでモバイルフォンを翳し、受付を済ましルームキーを手にした。手渡されたルームキーは502室だった。エレベーターに乗り込み5階に向かう。このエレベーターは年代物で、まるで故障しているのかと思うほど速度が遅い。最近のマンションやオフィスビルで、乗り慣れている物とはまったく違う。どこか気持ち悪さを感じるが、我慢しているとガタガタッと音を立てて止まってしまった。少しの恐怖を感じて、慎重にエレベーターを下りた。502室を探してそのドアを開けた。古くさい1Kの間取りたが、リニューアルされて清潔も保たれている。それでも、ベッドシーツの皺だけが気に入らなかった。それでも今日の宿は確保出来た。たけれども―、このままではホームレスになってしまう。何とか立て直さなければ…