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川屋町通りを、
大狸の外で大きな爆発音がした。店の床も大きく揺れ、ジョッキやコップも倒れて、床の上でいくつか粉々に割れて散乱していた。大狸―、だけではない。川屋町通り一帯が大パニックに陥っていた。
おいっ地震かっ―、それとも何だ―.今の爆発音は…
えっテロかっ―、まっ待てよ!
その爆風は凄まじく、次々にガラス窓に亀裂が入っていく。近代の強化ガラスでも耐え切れないほどだ。
犬谷も平然と出来る訳もなく、パニックにはなっていたが、今は冷静に振る舞いたいと懸命になっていた。北森は咄嗟にテーブルの下に隠れていた。児童のころからの避難訓練が、ここで活かされたと評価するべきなのか。北森は冷静さを―、んっ、、落ち着きを取り戻し、大狸の外に恐々と向かって行った。もうすでに爆発事故を起こした川屋町通りを、飲食店の周りを、大勢のヤジ馬や見物人が次々に取り囲んでいた。北森も同じく見物人になるが、彼には爆発のときの爆風で被害者意識があった。まだ許せないと云うよりも、今は恐怖に慄いていた。