アス本拠地侵入大作戦編:作戦4
アニサキスは恐ろしいです。
さて。はじめましょうか。
「ねえねえ♡おじってアスの偉い人なんでしょぉー?あゆ、中入ったことないから見てみたいなぁ~♡」
寝ているおじを私の爆音キューティクルボイスで起こしてあげる。ラッキーですね。私はちらっとおじをみる。おじの顔は少しさびしそうだった。
「あんなとこ、行かない方がいいさ。知らない方がいいこともある。」
相変わらず酔っ払ったままなのにおじが纏う雰囲気が変わった?
「アスのやっていることは人間の所業ではない。関わったらだめだ。アスは何もかも利用しようとする。君はその覚悟があるのか。」
やめとけ、という無言の圧を感じる。やっぱりおじはアスに対してマイナスな感情を持っている。直感は正しかった。でも、それでも。
「行きたい。」
「正気か?ぼくはおすすめしない。今後の生活に恐怖がついて回るんだぞ。」
えー。まってそこまで言うのー?なんか怖くなってきちゃった。
「君はアニサキスを知っているかい?」
「うぇっ?いや名前ぐらいしか…。」
「じゃあ教えてあげよう。アニサキスは海に生息する魚なんかに寄生している寄生虫だ。」
なんか嫌な予感。
「寄生されている魚を加熱せずに刺身なんかで口にしてしまったら最後、」
なんか嫌な予感2
「アニサキスが腸に食いついて魚介類を食べた数時間後から胃の激痛、吐き気、嘔吐が始まる。」
いやああああああああああああああああああああああああああああああああああ
「もちろん、夜も眠れず、立っていても膝をついてしまう。」
ね…寝れない?
「そのまま病院行きだ。」
よっよくもぉー!よくも教えてくれたなぁー!もう生魚怖くて食えねえよ!!!!!
「知ってしまったからにはもう知らなかった前には戻れない。よく聞く言葉だが、ぼくはこの言葉以上に覚えておきたい教訓はないよ。」
「くっ…」
「アスはこんな真実よりもさらに恐ろしい秘密が隠されている。」
もしかしてアスの秘密を知る前までは悪事を働く(海屋が知ってる)おじだったけど、事実を知ってアスに恐怖を覚えるようになった?今の私のように…。
「アニサキスごときでビビっている君には耐えられないだろう。」
アニサキスなめんなって言いたいとこだけど…(←未経験)
「おい待て。その話には続きがある。」
そっその声は_!!
「君は…海屋くんか…」
「酔いがさめてやっと気づいたか?お久しぶり。魔術関連品製造部部長さん。」
「君は今、アスの主戦力を増強させるために義眼適応者を探しているはずでは…?たしかそんな情報が回ってきていた…」
「ええ、そうです。そんなことよりも、一部の情報だけ伝えて怖がらせるだけだなんてどうなんでしょうか?」
「…」
歩ちゃんは偉いから後ろでお口チャックで待機中。because海屋先生のありがたい授業が始まるkara。
「アニサキスの恐ろしさは崩壊前の日本でもテレビなどのメディアを通して広く知られていた。」
「せんせーい、私は知らなかったでーす。」
「うるさい」
くそー!悔しいぃー!!!!!!そしてそのまま何事もなかったかのように話を続ける。
「だからこそ対処法もいろいろあります。」
ほう
「そもそもアニサキスは寄生虫。生物なので加熱をすれば死ぶ。なんなら人間の体では栄養が取れず、7日〜10日ほどで死滅する。まぁ、症状が継続することもあるが。加熱していない刺身とかを食いたいんだったらしっかり管理されている養殖の魚を食えばアニサキスがいる可能性はかなり減少する。天然の魚も食事の前に目視でアニサキスをとってしまえば平気だ。」
なんか…詳しくね…?
「どんなものにも恐ろしい一面はある。それでも人類は最大限に利用しようと試行を重ねてきた。対処法や予防法は偉大なんだ。お前はただ恐れるだけでいいのか?先人たちのようにどうにかしたいと抗おうとしないのか。」
「…」
「君たちはやはり無知だ。」
_っ
「なぜだ!!」
海屋の声に反応せず、おじは宙を見る。
「それは知らないから言える言葉だ。海屋くん。」
満を持して私の登場かな
「無知なのは悪いことじゃない。」
「ああ。そうだ。でも状況がちがう。ここが学校や塾で君らが生徒なら確かに分からなくて質問することは正しい。だが、君らの長い今後に悪影響を出すような真実は知らない方がいい。」
「そこまでおじを怖がらせるものってなんなの…」
そこまでかたくなになるおじが分からなかった。おじと私たちはほぼ他者のようなものなのに。
「もしかしてご家族が関係してますか?」
宙を見続けていたおじの視線が私に向く。
「…もし私が誰かにここまで何度も警告するなら相手は家族かな…と。だからもしかして…と」
「そうだ。」
「僕には家族がいた。」
いよいよおじの過去が明かされる____。




