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アス本拠地侵入大作戦編:作戦8

「じゃあね。海屋。ここまでありがとう。また絶対会おうね。」

「ああ。頼んだぞ。」

意外とあっさりした別れだな。もっと涙とか流した方がよかったかなぁ。←台無し


一人、車の乗車準備をしていた運転手おじから出発の声がかかったので、私とおじは車に乗り込む。


「お二方、シートベルトは着用しましたか?私の運転は少々荒いですよ?」

はーい!ちゃんと着けましたぁー!自覚があるなら改善しましょーう。


私の反応をみて微笑む運転手おじ。


私はまだ知らない。運転手おじの荒らすぎる運転の恐ろしさを


しばらくして運転手おじの荒い運転にも慣れたころ、

「君、あゆというのは偽名なんだろう?本当の名前を教えてくれないか。」

大丈夫…だよね?でも一応名字は名乗らないでおこ。

「歩です。」

「そうか、歩さんか。」


会話シュウリョーウ!ドンドンパフパフ!!



恐怖という感情しか沸いてこなかったはずの運転手おじの運転がゆりかごの心地よい振動のように感じられ、ぽけぽけと眠くなり始めた頃、

ついにその時がやってきた。



「お二方、まもなくアスに到着します。降りる準備を。」

ついに来たね。あそこが敵の本部基地。基地。基地…き…?

窓から見た初めてのアスの姿は、どす黒くおぞましい実態とは真逆の、透明になりきれていない有色透明のような白色が美しい神秘的な城だった。


私が圧巻されていると思った?残念、私が最初にアスの基地をみて思ったことは…

「最近見た気がするぅぅぅぅー!」でしたぁ!色をちょぉぉーっと変えてごまかそうとしたみたいだけど地震が起こる前に行った遊園地のお城とそっくりなんだよ。既視感しかないわ。


おじと運転手おじは見慣れているからか何の反応もない。おじはこの場所のことをどう思っているのだろうか。

「あのー」

「どうかしたのかい?」

「あのお城って何なんですか?」

「あれは日本が崩壊した後に増設されたものなんだ。僕らは≪ピエロ・キャッスル≫と呼んでいる。ちなみに異世界転生紙がある保存倉庫や実験室は城から5分ほど歩いたところにある。」

最後の部分は私たちは車で倉庫のすぐそばまで移動するので関係ない話である。城が建つ前には別のものが建っていたらしい。んまぁ?私は気にならないんですけどぉ!


「アスの敷地内に入るためには「進入許可証」と事前に登録されている運転手の「声」が必要です。その際に車の中を警備の方がチェックするので歩さんはその間、これをかぶっていてください。」

なんだい?これは。みた感じ、黒の布にしか見えないけど…。


運転手おじからおじへと説明のバトンタッチが行われる。

「それは僕が趣味で開発したものだ。その布をかぶった人物のことが見た全員の知っている人に見える。例えば、僕が布をかぶったら歩さんと運転手は僕のことが、海屋君に見える。」


私は運転手おじとさっき初めて会った。共通の知り合いは確かに海屋くらいだろう。…私はほぼ初対面の人を脅していたのか?


「こんなすごいものを趣味で作っちゃえるんですか!?」

「そうだね。でもまだこの布は改良が必要でね。最近不調続きなんだ。僕もまだまださ。」

それと、とおじは言葉を紡ぎ続ける。

「この発明品にはまだ名前がない。君がつけてくれないか?歩さん。」

私っ!?

「私なんかがつけてしまっていいんですか?」

「遠慮はいらないよ。君につけてほしいんだ。」

ふーん、謙遜を美徳とする群馬県民にそこまで押すとは…やるね(?)←※歩は褒めています


うーん、そうだなぁ…。布、黒、変わる、チェンジ、発明品、海屋…。


はっ‼(゜д゜)オーケーひらめいたよ。ぐるぐると言葉が渦巻いていた脳内に一筋の光が差し込む。

そして私はかっこつけて、おもむろに布を指さした。


「今日からお前は!キラキラスーパーミラクルシャイニングブラックデイリーだ!」




アスとえんじぇ―を隔てる門が近づいてきた。アスは広い。敷地内に入ってからも車での移動は続く。私がこの空気を作り出してしまったとはいえ、あとどれくらいこの気まずい空間にいる必要があるのだろう。


そして私は思考を放棄した。

歩の名字覚えてる人いるのかな。ちなみに私は忘れました。

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