アス本拠地侵入大作戦編:作戦6
おじ過去編2
どんなに忙しくてもタブレットで家族の様子は見るようにしていた。一方的に様子を見るだけだが、妻と娘の顔を見るだけで心が落ち着いた。
しかし状況が悪化する。
あの日もいつものようにタブレットで家族の様子を見ていた。しかし私はいつもと様子が違うことに気がつた。
「顔色が悪い。」
次の日もさらにその次の日も時間がたつにつれどんどん妻と娘の顔色は悪くなっていった。
「どういうことだ!!!」
私は例の研究者のもとへ殴り込んだ。
『どう…とは?』
研究者はアスの社長になっていて、左目には眼帯を付けていた。
「妻と娘の顔色が悪いんだ!おかしい!話と違う!俺が働けば家族の生活は保障されると…」
『話が違う?』
「_っ」怖い、久しぶりの…
『あぁ。言い忘れていたかもね。確かにきみの成績は実に優秀だ。だが、きみは部長という責任ある立場でもある。ということできみは、きみの部署全体の成績も管理しなければいけない。つまり、簡潔に言うとだな、部署全体の成果がこちらが設定したラインを越えていないとアウトってことだ。現在、魔術関連品製造部は達成まであと60パーセントってところか。部署の責任者はきみ。わかるね。』
妻と娘は日に日に痩せていった。タブレットを見る人が少ない理由を僕はやっと理解した。
たちが悪い。罰なら僕が受ければいいじゃないか。なぜアスと無関係の妻が、娘が辛い思いをしなくてはならないのだ。いや、理由は分かっている。労働力を減らさないためだ。僕らはアスの駒でしかない。
僕は働く。僕は働く。僕は働く。僕は働く。僕は働く。僕は働く。僕は働く。僕は働く。僕は働く。僕は働く。僕は働く。海屋君と出会う。僕は働く。僕は働く。僕は働く。僕は働く。僕は働く。僕は働く。僕は働く。僕は今日も働く。
でも
また痩せている。
働け。働け。働け。働け。働け。働け。働け。悪いこと。働け。働け。働け。働け。働け。働け。働け。働け。働け。働け。
顔色が悪すぎる。
僕はタブレットを見るのをやめた。
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『この度はご愁傷様。妻の、えーっとアキコさん?がね、ストレスでね残念だったねー。』
こいつらは本当になんなんだ。人を馬鹿にしているのか。お前らのせいで。嫌いな場所に呼び出されて
「おまえらのせいで…妻も、娘も、僕も、みんなおかしくなった!」
ふぅーと成り上がり研究者社長は息をゆっくり吐く。
『お前がここ《アス》を選んだんだろ。』
妻がストレスで自殺してから、タブレットを久しぶりにつけた。
1人残された娘は別人になっていた。壁を爪でガリガリと掻き続け、大声で謎の言語で叫ぶ。毎日丁寧にくしでとかしていた髪はぐちゃぐちゃ。目の周りは真っ赤。
僕には死にたがっているように見えてしまった。こんなふがいない父親のせいで。一体僕の知らないところでどんな仕打ちを受けていたのだろう。怖かっただろうに。
狭くて壁が薄いアスの建物内では大声で喚く娘は邪魔だった。
妻が死んでから1週間後、後を追うように娘も死んだ。アスは無法地帯のようだ。邪魔という理由だけで娘を殺した。もう守りたいものはなかったが僕はなぜか仕事により熱が入った。
娘が死んでから2週間後。
地震が起こった。発生時間時、僕はデスクで仮眠をとっていて地震に気付かなかった。目が覚めた僕は驚いた。スマホでネットニュースのブラウザを立ち上げてもなかなかつながらなかった。テレビで流れる中継映像にはまっさらになった都会や倒壊した家しか映っていなかった。アスは倒壊した家を利用して立派な建物を建てた。
もう疲れてしまった。私は久々に運転手1人だけを連れて、お気に入りのバーに行った。
バイトの子が2人、新しく入っていた。女の子の方はまだ高校生くらいで娘も大きくなっていたらこんな感じになっていたのだろうかと姿を重ねてしまう。他人と自分の娘を重ねる自分に嫌気がさし、ついつい飲みすぎてしまった。
僕はどこで間違えたんだ。分からない。どうしてこんなことになってしまったのだ____。」
働きたくない企業ランキング 殿堂入り:アス
【理由、投票者の声】
・とにかくくそ
・人間じゃねえ
・人質とか趣味悪すぎ
・特に上層部は性格終わってる




