【大アルカナ】10番・運命の輪〘逆位置〙
ルナは再び目を開いて考えた
《じゃあ、
もしリナがあの時に【金の缶詰を食べなかったら?】
そもそも、あたしがあの日優勝しなくて
【金の缶詰をもらえなかったら?】
あたしとリナの関係は
何も変わらずに過ごしてたって事よね。
じゃあ、あたしが金の缶詰を
リナに判らないように
隠していたら
今のリナとの関係や
ミーコさん達の事とかも
何も変わらず判らずだったのよね。
だから、始めからリナにあたしの金の缶詰を
食べられるようになってたのね。
じゃないとあたしの願いを叶えるチャンスを
逃がす事になるって…
えっ!!
この本って予言書なの!?
しかもこれを読んでる読者にとって
願ってる事を叶える為の事が書かれてる本
じゃあ、この先はどうなるのかしら?》
ルナが本のページを捲ろうとしても
全然捲ることは出来なかった
ルナは自分の前脚を見つめ考え
一本だけ少し爪を出し
もう一度本の端っこを器用に爪て捲ろうとしたが
全然捲ることは出来ず
全く動かなかった
ルナは
今度は右前脚の爪全部で慎重に
でもさっきより少しチカラを入れて捲ろうとした
すると
ページは捲れたのと同時に
本から眩しい光が出て見る事が出来ず
代わりに
『ルナ、ありがとう』と
リナの声が聞こえた
あたしはその声で目が覚め
辺りを見渡すと
リナが何やら楽しそうに
お部屋に
文字が書かれた色のついた紙を飾っていた
《また文字…
あたしには何が書いてるかわからないわ》と
キャットタワーの上のベッドで
横になった状態で両前後ろ脚を伸ばし
右前脚を舐め器用に寝転びながら
ついでに顔を洗った
と、ここで急にいい匂いがしてきたので
あたしはキャットタワーから下りると
ルナはあたしを抱きかかえ
『ルナ、2歳の誕生日おめでとう
私のところに来てくれて
ありがとう』とリナが言うと
テーブルの上に置かれた
猫用ケーキが置いてあった。
もちろん、ケーキの上に
にゃんこスティックで
不格好な文字で
【おめでとう
ルナ (肉球)】と
書かれていた。
『ルナ、にゃんこスティックで
文字書くの苦労したのよ』と
ちょっと照れ隠しのようにリナは言った
ルナも少し照れながら
『ありがとう…
でも、にゃんこスティックは
別で食べたかったわ』と付けたし
『これ全部あたしのよね?
全部食べて良いのよね?』と聞くと
ペロペロと食べ始めた。
『あっ!ルナ待って!
一気に全部食べちゃダメよ。』と言って
リナはルナのお皿にケーキを乗せると
今日の分はこれでおしまい
明日またあげるからね。』と言って
リナは猫ケーキにラップをすると冷蔵庫に入れた
ルナは小声で『リナのケチ』と言って
お皿に乗せられた猫ケーキを
じっくり味わって食べた。
心の中で
《リナ、ありがとう。
あたしもリナに出会えて良かった》と言った。