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無人島砂漠化ガクチカ育成物語  作者: 緒猿乃こえ
第一章 無人島に来たけど全部砂漠化。それでもこの場でガクチカを育成する
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3.キャンプ飯はガクチカ・カップ麺と焼きマシュマロ

 肉、タンパク質。

 米、炭水化物。

 足りていないのは圧倒的にビタミンだ。分かっている。

 栄養バランスの取れた食事を心がけた方が、なんとなくガクチカ感がある。

 とはいえだ。今、この流れでどうしてシメが野菜になるんだ。成り得ないだろう。シメの焼きそばに野菜が入っているのならわかる。だが、生憎焼きそばは買ってないんだ。すまねぇ、野菜達。君らの出番は明日以降だ。


 それに俺は見つけちまったんだ。大根の後ろに隠れていた炭水化物を!


「カップ麺、君の出番だよ」


 最大限イケボを意識した発声によって名前を呼ばれたカップ麺(カレー味)は照れながらも僕の前に姿を現した。実際は照れるはずもなかろう。幻覚だよ、幻覚。

 何故カレー味なのか、それは古から決まっているからだ。キャンプ飯のカップ麵はカレー味なのだと。知らない奴は今すぐスマホを取り出すんだ、そしてGoogle先生を呼び覚ませ。



 何はともあれ、ステンレスボトルからお湯を注ぐ。この音が、固い麺とお湯が触れるときに出る音が、たまらなく、好い。

 近くに落ちていた丁度いいサイズの石を重しにして蓋をする。そして三分間待ってやる。

 待っている間、何もせず、燃える炎で温まるのも良いが、麺の後、本日の真のフィナーレを飾るに相応しいものを食料ボックスの中から探すことにした。

 野菜の数々に埋もれているものがまだまだたくさん。そんな中からとあるお菓子を発見した。これは好い。ついでにもう一つお菓子を出した。


 そろそろ三分間経っただろうと思い、カップ麺に意識を戻したところで気が付いた。しまった、時間を計っていない。ちらっと蓋を開けてみると食べ頃を迎えているように見えたので、そのまま蓋を剥がした。


「いただきます」


 カレーの香りが漂う。麺を箸で持ち上げ、絡んだ汁を落とすまいと、急いで口に運ぶ。あ、美味い。やっぱこれだよ。

 容器に口を付けてスープも味わうと、体が体内から温まるのを感じる。なんとも落ち着く。眠気すら感じる。

 俺は今、キャンプ飯をどう遂行するかを考えることによって、日々の生活における食事をより豊かにする方法を考えることができている。


 スープまでほとんど飲み干し、かなりお腹も膨れてきたところで、先程見つけたアレを取り出す。


「キャンプ飯にこれは外せないよな……」


 袋を破って、中から白いアレを一つ手に取り、竹串に刺す。もう俺の視線の先には、バチバチ燃えるファイヤーが映ってんのよ。


「この炎を使って、俺は焼きマシュマロをやる!」


 一人高らかに宣言すると、串を炎に近づけ、炙る。


 炙れ、炙れ、もっとだ!もっと!焦げすぎない程度を見極めろ!最適解を探す力を磨け!


「上手に焼けましたァー」


 最適解を見つけられた。口に入れると、一瞬にしてとろける。甘さが口の中に広がる。歯と歯の間まで、舌の表面を覆うように、「美味い」が届く。

 お気づきかもしれないが、テンションがぶち上がっている。申し訳ない、もうしばらくこのテンションは続く。


「こいつらもお前ととろけたいって言ってる」


 そう言ってもう一つのお菓子を開ける。中から二枚取り出したのは、半面がチョコレートでコーティングされたビスケット。もう分かっているな?

 マシュマロをまた一つ串に刺し、炙る。そしてそいつを二枚のビスケットのチョコレートの面が接するように挟み込めば。


「今一つになった」


 挟み込んだマシュマロがとろけそうなので、急いで口へ運ぶ。夕食を食べ始めてからあちこちで革命を感じている本日だが、ここでも革命が起こってしまった。

 合いすぎる。

 誰がマシュマロを炙り始めたんだ。誰がそれをチョコとビスケットで挟めと言った。いずれの先駆者についても、心の底から称えたい。ありがとう、それしか言う言葉が見つからない……。





 スモア。





 それが彼らが一つになった名前だ。

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