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無人島砂漠化ガクチカ育成物語  作者: 緒猿乃こえ
第一章 無人島に来たけど全部砂漠化。それでもこの場でガクチカを育成する
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1.無人島への上陸

 大学生は旅した方が良い。色んなことを経験し、ガクチカを蓄えるのだ。

 誰とも被らないガクチカは就活においても有利らしい。



 そんなガクチカを求めて、俺、宮重(みやしげ)ミドリは、相棒である中型犬のパンプキン、それと万能AI「TUCHIDA(ツチダ)」を連れて、無人島へ行くことにした。

 勿論、無人島に行くのは初めてだ。世界中の島なんて大体把握されてそうなものだが、先日ネットニュースからこんなことを知った。急激な地殻変動が起き、元々あった小さな島の幾つかは沈み、逆に新たな島ができたという話。

 各国の調査団は大急ぎで、島を自国の領土にするために船やら飛行機やらを飛ばしたという。そりゃ、見つけちゃえばその国の物みたいなとこは歴史的に見てもかなりあるからなぁ。小さな島々を巡って、醜い争いも起こりそう。でも、俺には関係ない。

 これまで自動車をローンなしで買うために必死に貯めたバイト代で買った、超小型ボート。これで、どこのどいつよりも早く、島を見つけてやる。




 「学生時代に何をしましたか?」と面接官に訊かれたときにこう答えたい、「島を見つけました」と。




 突然の地殻変動に恐れを抱いてばかりじゃあ、何も始まらない。この大チャンス、未発見の土地は小さい島しかないだろうが時は正に大航海時代みたいなもんよ!


 とりあえず一週間分の食料をボートに詰め込み、俺は港から適当な方向へと出発した。道中の記録を兼ねて、ボートの先端にはアクションカメラを取り付けている。これを後から見ることで今感じているこの胸の高鳴りをもう一度楽しめるだろう。穏やかな陽気が感じられる中、船がとにかく前に進んでいれば、そのうち何かしらの島にぶち当たるでしょ!という軽いノリで出発してしまったことは、後にかなり危険なことだったのだと知る。いや、後にとか言わず、普通に考えて危険だった。でも、その時の自分には謎の自信しかなくて。

 今になって思えば、もっと冷静に、そして計画的に物事を進めるべきだった。





 本当に地殻変動が起こったとは信じられないほど、海は穏やかで、ボートを操縦して二時間も経たないうちに島らしきものに到着した。港周辺にはちらほらと船が行き来していたが、いつの間に見かけなくなり、青々とした海が広がるのをぼーっと見ながら運転するばかりだった。そんな感じで運転していたらいきなりこれだ。こんなに簡単に島が見つかって良いはずはない。だが、目の前には確かに、木々の生い茂った島が存在している。



 もう就活の心配をしなくてよくなった。誰とも被らないガクチカを見つけたのだから。

 ボートを浜辺に乗り上げる形で泊めると、すぐに荷物などを降ろし、とりあえず、辺りを散策してみた。腕時計の針は三時を指している。少し空腹も感じるが、今はまだ我慢だ。夕食は豪勢にするんだからな。お腹は空かせておいた方が良い。


 ところで、やはり人の姿は無い。どこの国の国旗も立っていない。これは正真正銘の無人島説がアツい。

 目の前に生い茂った木々の中を探索するのは明日以降にするとして、今夜はキャンプ飯を豪勢にやってしまおう!

 楽しい時間が過ぎるのは早い。初めての野宿に向けてテントを設営しているとあっという間に日が落ちてきた。

 日が落ちて忘れそうだったが、家から持ってきた自作の旗をこの島の大地に突き刺しておいた。ふはは、これでこの島は俺のもんだ。後々国の所有物になるに決まってるって?そんなこと今は知るか!



「パンプキン、おいで。ほら、餌だよ」



 大人しく座っているアメリカンコッカースパニエルの愛犬、パンプキンの天パ垂れ耳をふぁさふぁさしながら夕食の餌をやる。鬱陶しそうにもせず、何事も無かったかのように餌を食べ終え、テントの中で横になっている。平和だ。



 え?



 まじか。まじかまじか。



 …………冷静に考えて、無人島で愛犬撫でながら、キャンプしてるだけで人と違うガクチカが手に入り、就職にも困らないってなんだよそれ。最高すぎるんだが?





 面接官の「島での生活を通してどんな学びを得られましたか?」という質問にも卒なく答えられるように、これから何日かこの島に滞在し、完璧なガクチカの形成を目指す。

 話し相手がいないと流石に寂しいかもしれないと思い、愛犬パンプキンとAIロボット「TUCHIDA」を連れてきた。

 「TUCHIDA」はAI搭載サル型自立ロボットだ。頭頂部に取り付けられた太陽光パネルから電気を得て動き、動くことによってモータを回して日が出ていないときに備え蓄電もするというかなり電力面で優秀な機械だ。

 自分が持ってきたのは、昨年末に一般向けに発売されたばかりの最新モデル「TUCHIDA m17(エムセブンティーン)」ではなく、三年前に発売された「TUCHIDA m14(エムフォーティーン)」の中古だ。中古とはいえ、「TUCHIDA」シリーズは全自動システムアップデートに対応しており、最新モデルと大差無い力を発揮してくれる。

 このAIにできることは、会話、情報検索、空調管理など、多岐にわたる。特に空調管理が優秀で、例えば外気が氷点下であっても、テント内を快適な温度に保つことが可能である。


 この「TUCHIDA」にはテントの中を快適な温度に調整してもらいつつ、俺は夕食の準備に取り掛かることにした。

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