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タクは「開拓」の拓

みんなが笑っている。

なぜ?


俺を笑っている?


俺は…笑われている?














夕方の部室。


俺1人。


この学校でも慣れる気がしない。

なんてこったい。






「嘘は嫌いか?」



前言撤回。1人じゃなっかた。振り向いたら達也がいた。


「まだ帰って無かったのかよ」


窓の外を見る。

綺麗な夕焼け…ではなく、ただひたすらに雨が降っていた。

「嫌いっつーか…わからないんだ。他人がなにをかんがえてるのか」


「は?」


「なんつーか…空気読めないんだよ、俺は」


俺は話し始めた。


いつもそうだった。相手が何を考えてるか、わからない。ノリがわからない。

みんなと一緒に笑ってても自分が笑われてる気がする。

被害妄想だと言えばそれまでだ。


でも…わからないんだ…。


それが原因で起こる数々のすれ違いが俺を孤独にした。

自分が悪いのはよくわかっている。みんなは悪くない…。

その思いがさらに俺をみんなから…仲間から遠ざけた。

好きだった野球もやめた。チームプレイなんて…無理だろ。



逃げてるんだって、わかってるんだ。転校なんてしたって自分が変わらなければ…。

また繰り返されるだけなんだ。


ここに来てから変わろうとはした。でも…無理なんだよな…。



俺自身なぜ話そうと思ったのか自分でもわからないが達也は黙って聞いていた。

俺が話し終わると顔を上げ、口を開いた。


「…で、お前は今孤独だと。独りだというのか」


「いや…そうは思わないけど…いつかは、そうなるのかな」

俺、今どんな顔してるのかな…。


「……龍斗は…あいつは昔、いろいろあったらしいんだ。俺は詳しくは知らないけど、それは今も尾を引いているんだ。寮生活だから目立たないけど、あいつには…」


「そんなことはいいんだ。他人のことなんて…」


「…龍斗は確実に拓より大きな闇を抱えている。なのになんであんなに呑気でいられるのか…俺にはわからないけど…。とにかく、だ。明るいんだよ。それが虚勢だとしてもあいつは孤独じゃない」


「…………」


「お前も、もう少し素直になればいいんじゃないか?」


そう言い残して達也は部室を出て行った。








外は相変わらず雨が降っている。


晴れるといいな


そう思いながら俺は帰り支度を始めた。





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