嘘も大事
結局…あの2人に進展はあったのだろうか。
遊園地から帰ってもなーんも変化ないし。いつも通り万歳。
せっかく龍斗をけしかけたのに。なんにもしなかったの?あのやる気ゼロ介。
全くこれじゃ私が三日三晩考えて作り出した「幼なじみが昔から恋心を抱いてました」っていう燃えるシナリオが台無しね。
私の目から見れば由香は龍斗に惚れてる。…多分。
根拠は無いけどそう思う。
龍斗もまた然りである。…多分。
幼なじみにあんなかわいい娘がいて黙ってるわけないでしょ!根拠は無いけど。
あ、でもあいつならなんも考えてないかもしれない。達也や由香ほど付き合いは長くないけど奴の性格は理解しているつもりである。
しかし!
あの2人がくっつかないのはおかしいのではないだろうか!
ということを達也に話してみた。
「だからって嘘をついてまで龍斗をけしかけたのかい?それはマズいよ香澄」
「なんで?」
「僕も結構長くあの2人を見てきてるからね。何度か疑ったよ。でもさ、あの2人には驚くほど何もないんだ。ただの友達?いや、それ以上ではある。あくまでも幼なじみだからね。うまく言えないけど、ある意味理想的な男女関係ではあるね」
「でもそんなこと…!」
「ああ、わからない。果たしてけしかけたのがいいことなのかを含めてね。まあそこまで香澄が推薦したくなるのもわかるよ。お似合いだからね」
「うーん…どうにかならないのかなー」
「やっぱり気になる?」
「当たり前でしょ!」
「けしかけた責任もあるしね」
「……うっさい」