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ご都合主義のヒーローですが何か? --すべての始まり--  作者: 箱庭の巣窟
全ての始まり______
7/16

全てを洗い流そう_________幸せの為ならば。

注意

微グロ


才編は一旦最終回です!



「はっ?!」

「ご機嫌麗しゅう、醜い牙の長様。」

これで合っているのかわからない挨拶をしてみる。もちろん、煽りだ。

あの後、アッサリその辺の隊員に紛れて、無事に総長のいる場所にたどり着いたのだ。

...........自分でもちょっとアッサリ行き過ぎてビックリした。

「恐悦至極に存じ奉り........まあお前如きに恐怖するわけもないが。」

「ひぃっ!この、ケダモノが!」


........ちょっと調子に乗りすぎた。ケダモノとか言ってるが真にケダモノなのはお前らの「影」だぞ.....そうだと俺は思うが......


「総長、ここは(わたくし)めが。」

隣で控えていた秘書らしき人物がずいと前に出てくる。まあいいや、こいつからやろう。

「フフ......私の生まれながらに持った能力、それは、『分身体』!」

なんか自慢気に言ってくるがどうでもいい。

「あっそ。じゃな。」

俺は水属性の応用で創った通称『水刀(すいとう)(今思うと水筒みたいだな)』で、首を刎ねる。

鮮血が飛び散り、なかなかグロい事になるが、すぐさま光属性の「浄化」を使って存在を消し去る。

応用すればざっとこんなもんだ。



.........というか、その「分身体」とやら、見てみたかったな。すぐ刎ねたのは間違いだったか?

まあいいや。それは本来の目的じゃないし。


「さて.....これで残りはお前だけだな。」


俺が言い放つと、総長はそれはどうだかというように笑った。

「お前、毒牙の北の部隊を忘れたか?あそこは我が毒牙でも最高級の腕を持つ者たちが集まっていて、転移魔法の心得もある。呼べばすぐに来るわ!」


................アホか、こいつ。うちの最強戦力を忘れてんじゃないだろうな?

ま、こいつが知ってるわけもないか。何せ、機密情報だし。

「そうかそうか.......じゃ、試しに呼んでみたらどうだ?」

「ああ、そうさせてもらう。」

総長(笑)は自信満々な態度で耳のバッジに手をかけた。

「お前ら、すぐに来い。不届き者が本部に来ているぞ!」

......10秒.........20秒.........30秒........


何時まで経っても総長の言う「戦力」は来ない。


「な、何故だ!何故来ない!」

慌てふためく総長。

そんな(総長)に俺は言ってやる。

「まあ、北側の窓を見てみろよ。」

この部屋には、四方の状況が確認できるように、東西南北に大きな窓がある。北の窓は総長の机の後ろなため、今まで見ていなかったのだ。そして......


「な.........何だこれはぁっ?!」


その惨状を見た総長は、更に絶望することになる。


「.........お疲れ、マスター。」

そう、我らが総長、通称「マスター」の手によって、北側の軍はボロボロであった。

空だけを見れば、黄金と銀と水色で彩られた天女のような少女がふわふわと浮かんでいるだけなのだが、地面を見れば.............ちょっと説明は控えよう。あえて説明するとしたら、全体を見ると天国と地獄にしか見えない........


いや、本当に美しいんだけどな。睫毛が美しい水色に染まっている所とか、黄金色で星の刺繍が入ったローブを着ている所とか。


絶望で顔面蒼白な総長に向けて、俺は言い放つ。

「これで、分かりましたか?......では、さようなら。」

その瞬間、水が飛び、総長の首が宙を舞った。くるくると、弧を描いて、血を飛ばしながら。


こいつに浄化など、似合わない。だから、俺は最後まで「それ」を見守った。


「.......ふう」

息をつくと、マスターが喜色満面の顔でふわふわと飛んできた。窓ガラスをバリンと割り、部屋に突っこんでくる。

......うーん、武闘派。


「お疲れさま、水仙。」

「いえいえ、マスターこそ、お疲れ様です。」

「い~や?僕はぜーんぜん疲れてないよ?むしろ、バタバタ倒れていく牙どもを見るの、とっても楽しかった!」

.........サイコパス。ちょっとマスターの性格が分からなくなってきた。これは属性を使ったことによる弊害なのだろうか?

「マスター、ちょっと隊員が引くのでそういう発言は......」

「え?だって面白いじゃん。」

........ああ、マジだったか。というか、そんな邪気のない眼で見ないでくれ.....そしてその眼でそんなことを言わないでくれ.....


「.......................そうですか。」

半ばあきらめた調子で溜息をつく。

「あはは、そんな顔しないでよ。折角、この世にひと時の平安が訪れたんだからさ。」


その言葉は、時間をかけて、ひたひたと、俺の中に満ちて行った。

そして、俺は敬愛する主に向けて、精一杯笑うと、


「...................そうですね!」

と、肯定した。

.......抱き合い、手を繋ぐ。


俺たちは空に舞い上がり、大声で、宣言した。

「今ここに、毒牙の滅亡、および、カムイの勝利を宣言する!」

周りが歓声に包まれる。嗚呼、これ程幸せな事はない。


俺は、もうすぐ消え去る幸せを、しっかり嚙み締めていた________





カムイの隊員は、まだ知らない。

これからすぐに、後続が現れようとは。

英雄二人が、忽然と姿を消し、そして「死」と言われるとは。

________世界は、安穏の仮面を被っていた。



これからは、光と才の出会い等に進みます!

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