第一話 いよいよ始まる高校生活!!
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夕暮れの教室。誰もいない、茜色の空間。僕はここである人を待っていた。
下駄箱に入っていた一通の手紙。
それは水色の可愛らしい便箋に、やはり可愛らしい文字が書かれていた。
『放課後、第二校舎の空き教室に来てください。』
しかし約束の時間にのこのこやって来た僕を出迎えてくれたのは、無造作に積まれた机と椅子だけだった。来るのが早すぎたのかも、と思って待ってみたけど、秒針が何十周しても誰も来なかった。
きっと、誰かのイタズラだったのだろう。
これ以上ここにいても仕方がないな。と、諦めて帰ろうとしたその時。
「ごめんね、待った?」
振り返ると、一人の女の子が立っていた。
長く伸びた黒い髪と、同じ色の大きな瞳。綺麗なその鼻筋と顔の輪郭が、夕日に照らされ一層美しく見えた。どうやら彼女が手紙の差出人らしい。
長く伸びた影を引き連れ、僕のそばに近づいてくる。
「急に呼び出してごめんね。でも、どうしても伝えたいことがあって……。」
僕の正面で立ち止まり、言葉を止める。
少しの静寂の後、彼女は顔をあげて僕の目をまっすぐ見つめた。
「私、武中くんのことが好きです。私と付き合ってください!」
僕の答えは……
・『実は好きな人が』
▶『僕も君のことが』◀
「ほんと?……うれしいな。私たち、両思いだったんだね。」
~♪~白い雪が優しく町を~♪
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満開の桜の下を歩く、真新しい制服に身を包んだ男女たち。
少しの不安と大きな期待を抱えながら、これから三年間通うことになる学校への、初めの一歩を踏み出していた。
そんな彼ら彼女らにまじって、僕はひとり、落ち着いた心持でいた。なぜなら僕が高校に通うのはこれが初めてではないからだ。
なぜなら僕は今までいくつもの高校に通い、何度も修羅場を潜り抜け、何人もの女の子と恋に落ちてきたからだ。
……ギャルゲーの中でだけど。
多少の次元の違いはあるが、大した問題ではないだろう。
今回の舞台は、県立高校。
僕がここを選んだ理由は色々ある。が、なんといっても制服がかわいい!
登校中に周りの女の子を眺めていたけど、なかなか顔立ちの整った子が多いじゃないか。
そして彼女たちは制服によってさらに可愛く、美しく引き立てられていた。
どの子もメインヒロインレベルのルックスで、どの子から攻略したらいいのか非常に悩ましい。
ともあれ、高校生活は三年もあるのだ。
大概のギャルゲーでは、ゲーム内時間の一か月かその程度で一人のヒロインを攻略していた。
ということは単純計算すれば、三年間で30人以上の女の子を攻略できることになるのだ!
学校までの道を歩きながら、僕の脳は道行く女の子たち一人ひとりの顔データを保存し、それぞれのヒロインのエンディングまでの攻略チャートをスパコン並みの処理速度でシミュレートしていた。
校門にたどり着いたころ、僕はすでに何人かのヒロインとのエピローグまでたどり着いていた。
ある子とは夏休みの終わりに、またある子とは学園祭で、あるいはクリスマスに……。
あ、そういえばまだ名前も知らないんだった。
しかしそれはこの後すぐにわかるのだから大したことではなく、もっと重大な問題があった。
なんてったって可愛い女の子の数が多すぎる!メインヒロインレベルの子があっちにもこっちにもいるじゃないか!
これは忙しくなりそうだな……ワクワクしてきたぞ。
全員まとめてかかってこい!
「この学校のヒロイン全員、僕が攻略してみせる!!」
初めて小説を投稿してみました!
誤字脱字などありましたら指摘してもらえるとありがたいです。
よろしくお願いします!!!!