静かなときの音
静かに感じていた
ここに来た目的は
何かを無くしたいときに
そのぶん、
なぐさめてくれると期待していたこと
そして、いまはまだ
無くさなくてもいいんだよと
誰かに
認めて欲しいこと
波の音は時計がわりに
一定の間隔で
静かに時を刻んでゆく
周りの景色が変わったように見えたのは
じつは、自分が想像していたものに
置き換えたかっただけのこと
自分の思い通りになれば
それだけでいいはずなのに
いまの自分はそれ以上の
何を求めているんだろう
もう少し、波の音も
おおげさにしてくれたらいいのに
何かを無くすために
もっと、わたし自身も
おおげさにいたら
いまはまだ
無くさなくてもいいんだろうと
そんなふうに思うはずなのに