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未来から吹いた風 ~5人でひっくりかえす太平洋戦争~  作者: 青雲あゆむ
第4章 太平洋戦争編

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56.アメリカ艦隊の来襲

昭和15年(1940年)11月初旬 東京砲兵工廠


「アメリカ艦隊が、マーシャルに来襲したって?」

「ああ、もぬけの殻だったんで、さぞかし拍子抜けしただろうよ。今はエニウェトクに、基地を築いてるようだ」

「ようやくフィリピンの救援に出向いたってことだね?」

「ああ、おおかたマッカーサーにでも、せっつかれたんだろうな」


 とうとうアメリカ艦隊が、日本が委任統治するマーシャル諸島に来襲した。

 ただし日本はマリアナ、ヤップ、パラオより南の南洋諸島からは、とっくの昔に住民も避難させて、偵察部隊のみを配置している。

 そして敵の接近を察知するやいなや、即座に撤収したので、人的な被害は出ていない。


 無血でマーシャル諸島を占領したアメリカ軍は、エニウェトクに基地を築き、マリアナをうかがっているそうだ。


「それで敵の規模は?」

「そうだな……史実の太平洋艦隊より、だいたい2割増しってとこかね」

「うわぁ……」


 どうやらアメリカは、乾坤一擲の大勝負を挑むつもりらしい。

 開戦後2ヶ月も経っているのは、日本が予想以上に手強いと見て、大西洋の状況もにらみながら、艦隊を編成するのに時間が掛かったのであろう。

 その編成は、以下のようなものだ。


戦艦:モンタナ、オハイオ、ノースカロライナ、ワシントン、アリゾナ、ネヴァダ、ペンシルベニア、カリフォルニア、テネシー、オクラホマ、ウェストバージニア、メリーランド、コロラド

空母:レキシントン、サラトガ、エンタープライズ、ヨークタウン(航空機 366機)

重巡洋艦8隻、軽巡洋艦8隻、駆逐艦40隻


 これは史実の太平洋艦隊に対し、新型戦艦モンタナ、オハイオ、ノースカロライナ、ワシントンと、空母ヨークタウンが追加された形だ。

 特にモンタナとオハイオは、6万トンを超える巨艦である。

 史実では、計画だけで起工すらされずに消えていった戦艦だが、この世界ではすでに2隻が就役。


 さらに3隻が建造途中にあるという。

 しかも史実では16インチ砲だったのが、なんと18インチ(45.7センチ)砲を9門搭載するのだ。

 これも大和型戦艦で、18インチ砲搭載を臭わせた結果であろう。


 ちなみに史実で造られたサウスダコタ級4隻と、アイオワ級6隻も、それぞれ建造中もしくは建造予定という状況だ。

 さすがはアメリカ、ぶっとんだ生産能力である。


 ただし空母の方はそれほどでもなく、エセックス級はまだ起工すらされていないらしい。

 (史実でも1941年4月に起工)

 つまり日本は大和型の情報をリークすることで、アメリカに戦艦建造を優先させ、資金と資源を浪費させることに成功したと言える。


 これが史実の場合、逆に大和型の建造を秘匿してしまった。

 おかげで戦艦の存在意義である示威効果は発揮されず、戦略的な駆け引きにも全く活用できていない。

 当時の日本海軍上層部が、いかに政治・戦略を考えていなかったかが、ここにも表れている。


「それでアメリカ艦隊は、態勢を整えたら攻めてくるんだよね」

「ああ、十中八九、グアムの奪還を考えているだろう。そして日本艦隊の殲滅もな」

「だよな~。それで敵の監視体制は、十分なのか?」

「ああ、潜水艦部隊が、ウェークやマーシャル付近に展開してる。彼らには監視に徹するよう指示してあるから、問題なく敵の動向は探れるだろう」

「フフフ、そのうえでマリアナに引きこんで、だな?」

「ああ、アメさんには悪いが、海の藻屑になってもらおうじゃないか」


 そんな話をしながら俺たちは、悪い顔で笑い合った。


 ちなみに今、マーシャル近海に展開しているのは、第1潜水艦隊だ。

 それは20隻以上の新型潜水艦で構成されており、監視任務に就いている。

 その性能はこんな感じだ。


【伊100型潜水艦】

全長・全幅:85x7m

基準排水量:水上1780トン、水中2060トン

出力   :水上5千馬力、水中6千馬力

最大速力 :水上15ノット、水中19ノット

機関   :三菱重工製ディーゼル2基、2軸

主要兵装 :53センチ魚雷発射管 艦首4門,魚雷数20本


 史実でいう潜高型もしくは、ドイツのXXI型に相当する艦で、潜水性能に優れるタイプである。

 外観上の凹凸をなるべく排除し、大量の鉛バッテリーを搭載することで、高速・長時間の潜水が可能となっている。

 さらに高性能のレーダーと通信機を装備しているので、偵察能力も高い。


 以前は水上偵察機を搭載した、指揮偵察型の潜水艦も検討していたのだが、電子装備の進化により、不要となってしまったほどだ。

 ただし複数の航空機を搭載できる潜水空母タイプは、アメリカ西海岸の攻撃を見据えて、開発を継続している。

 その活躍については、いずれ紹介できる日も来るだろう。


 そして上記のような高性能潜水艦の偵察により、アメリカ艦隊の動向はつかめていた。

 敵さんは今、クェゼリン環礁で、艦隊を再編しているらしい。

 それが終われば遠からず、グアムに押し寄せてくるだろう。

 ただしアメリカの思うようにさせないよう、こちらも十分に準備は整えていた。

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