表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来から吹いた風 ~5人でひっくりかえす太平洋戦争~  作者: 青雲あゆむ
第4章 太平洋戦争編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/71

53.日米開戦

昭和15年(1940年)8月 皇居


 日本がイギリス支援を打ち出すと、さほど間をおかずにアメリカから、最後通牒が届けられた。

 その内容は、主にこんなものである。


1.日英友好条約を破棄し、イギリスへの支援を停止すること

2.アメリカとその同盟国艦船が日本近海を通航する際、その安全を保障すること

3.台湾の港の一部を、アメリカに租借させること

4.1週間後の日本時間正午までに、誠意ある回答が得られなかった場合は、自動的に戦争状態へ移行すること


 それはまるで日本を属国扱いする内容であり、とうてい容認できるものではなかった。

 しかしあらかじめそれを予想していた日本上層部は、鼻で笑いながら無視を決めこむことに決定。

 同時にその日から、本格的な戦争準備が動きだした。


 まずアメリカから最後通牒を受けたことを公表し、内閣が総辞職。

 即座に廣田弘毅ひろたこうきに大命が降下し、組閣準備に入った。

 あらかじめ準備を整えていたこともあり、翌日には廣田内閣が発足する。


 それと並行して、兵部省が大動員を掛けた。

 陸軍13個師団が一気に30個師団に拡大され、ポストもそれに応じて増える。

 これによって昇進する者が続出し、士気も一気に高まった。


 海軍の方も、低めに抑えられていた充足率が一気に高められ、こちらも昇進者が続出した。

 ただし海軍の方は、数年前から進められていた軍拡により、人員も増強されていた。

 そのため陸軍ほど急激な変化にはならず、粛々と開戦準備に取り組むこととなる。


 ちなみに俺たちが注目していた軍人さんは、以下のような階級となっている。


【陸軍】

大将:永田鉄山、山下奉文、今村均、本間雅晴

中将:石原莞爾、栗林忠道、宮崎繁三郎


【海軍】

大将:堀悌吉、三川軍一、小沢治三郎

中将:角田覚治、山口多聞、大西瀧治郎、岡敬純、田中頼三、西村祥治、木村昌福


 みんな順調に出世していたうえに、重職に任命されてさらに1個上がってる者もいる。

 そして重要なポストには、以下の人員を当てた。


兵部大臣:堀悌吉大将

統合幕僚長:永田鉄山大将

参謀総長:山下奉文大将

参謀次長:石原莞爾中将

軍令部総長:小沢治三郎大将

軍令部次長:岡敬純中将


連合艦隊司令長官:三川軍一大将

満州方面軍司令官:今村均大将

ロシア方面軍司令官:本間雅晴大将

フィリピン攻略軍司令官:宮崎繁三郎中将

グアム攻略軍司令官:栗林忠道中将


 この他の海軍中将も、それぞれ艦隊司令や、基地司令となっている。

 これらは事前に根回しされていたこともあり、即時に発効し、それぞれの職務に邁進していった。


 そして1940年8月15日の正午、日米は開戦したのだ。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


昭和15年(1940年)9月 東京砲兵工廠


「お、きたきた」

「早く戦況を教えてくれよ、健吾」

「まあ、そう焦るなって」


 開戦から約2週間後、俺たちは砲兵工廠に集まっていた。

 軍の情報部にも出入りできる川島から、詳しい戦況を聞くためだ。


「お前たちだって、大本営発表ぐらい聞いているだろうに」

「だってあれ、要点しか伝えてないから、さっぱりなんだよ」

「せや、味方の被害だけは正確やけどな」


 この世界の大本営発表は、簡単な事実を語るだけで、情報に乏しかった。

 おまけに敵の状況より、味方の被害を正確に伝えるため、高揚感に乏しいことおびただしい。

 もっともそれは、勝ち戦に浮かれないよう、俺たちが進言した結果なので仕方ない。

 川島はカバンから書類を取り出しながら、説明を始める。


「みんなも知ってるように、まず日本は台湾とサイパンで、敵の攻撃をはね返した。そこから逆襲に移り、すでにマニラとグアムは占領済みだ」

「うん、でもマッカーサーはやっぱり、バターン半島に引っ込んだから、戦闘は続いてるんだろ」

「ああ、その辺は史実に近いな」


 8月15日の正午を過ぎると、アメリカはまず台湾とサイパン島に、爆撃を仕掛けてきた。

 当然ながらそれを予想していた日本軍は、戦闘機と対空砲で迎撃した。

 ちなみに迎撃したのは97艦戦と、99式戦闘機”飛燕”である。

 飛燕は史実の3式戦闘機を彷彿とさせるもので、その性能はこんな感じだ。


【99式戦闘機 飛燕】

長さx幅  :8.7x12m

自重    :2855kg

エンジン  :川崎製マーリン 水冷V12気筒

出力    :1500馬力

最大速度  :610km/h

航続距離  :増槽つき1600km

武装    :20ミリ機銃x2、12.7ミリ機銃x2

乗員    :1名


 ”飛燕”は陸軍主導で、迎撃戦闘機として開発したもので、特に速力、上昇力、武装に優れている。

 そのエンジンは史実でダイムラーベンツの水冷V12気筒だったのが、ロールスロイス設計のマーリンに変わっていた。

 これは軍部の斡旋あっせんもあって、川崎がロールスロイスとライセンス契約を結んだ結果だ。

 そして俺たちの技術支援を受けて、早々に1500馬力を達成している。


 対するアメリカは、B17爆撃機を台湾に50機も繰り出してきたが、こちらも100機以上の戦闘機で出迎えた。

 もちろん最新型のレーダーで、状況をコントロールしたのは言うまでもない。

 97艦戦だけだと苦しかったが、20ミリ機銃を持つ飛燕が活躍したそうだ。

 さすがにこちらも無傷とはいかなかったが、大した被害もなく、B17の撃退に成功する。


 同様にグアムからも、B17がサイパンに飛んできた。

 史実では完成していなかったグアムの飛行場が、アメリカの軍縮条約脱退により、この世界では完成している。

 そこから30機ものB17が、飛んできたのだ。


 しかしサイパンにも飛行場は整備されており、こっちも97艦戦と飛燕で迎え撃った。

 多少は飛行場が破壊されたりはしたものの、こちらもなんとかしのぎきった。

 これらの攻撃を受けて、日本は改めてアメリカに宣戦を布告。

 そして日本の反撃が始まったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三国志モノの新作を始めました。

逆襲の孫策 ~断金コンビが築く呉王朝~

孫権の兄 孫策が逆行転生して、新たな歴史を作るお話です。

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ