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合格と明かされるイメルダの過去

「君……名前はなんだったか?」


「ジンです。」


「よし!ジン君!我がギルドへようこそ!」


「……え!?」


アイアンゴーレムを5撃のもとに倒した後、ギルド内へ設置された闘技場から出ると、ボワードさんがこう言ってきた。


「本当に自分なんかが……!?」


「"なんか"じゃない!ジン君"こそ"がふさわしいのだよ!これからは更にたくさんの活躍を期待しているからな!」


「あ、ありがとうございます……!」


採用されるなどとは一ミリたりとも思わず、イメルダのディナーを守るためだけにダメ元で受けた今回の試験。


『とてつもなく期待されながら、文句なしの合格』というその結果に驚きすぎて開いた口が塞がらない。


……こりゃあ、明日は合格パーティーをやらなきゃいけないな。


「ジン君のようなアーチャーには早速、ギルドの中心で活躍してもらいたい!Sランクパーティー・『スカイライン』へ加わってくれたまえ!」


「……へ!?え、Sランクパーティー!?」


俺みたいなやつがSランクパーティーなど罰当たりな気がしてくる。

でも……嬉しいものは嬉しいな。


こんな風に人から好評価を貰うのは何年ぶりのことだろう。

7年前に入ってからはずっと『お前は役立たずだ』の一言しか言われなかったからな。


しかも、そう言ってくれているのは他でもないこの国一番のギルド・『ウイニングロード』のマスターだ。

一人の冒険者としてこの上ない光栄である。


「それとだ」


「?なんですか?」


「今日の合格祝いにこれを持っていってくれ!装備を整えたり、英気を養うために美味しいものを食べたり……好きなことに使ってくれていいぞ!」


そう言ったボワードさんが俺にズシリと重い麻袋を渡してくる。

中を見てみると、そこには……


「こんなに!?」


「我がギルドでは当然の額だ。今、此処にいるものたちも採用祝いとしてこれぐらいは貰ったぞ?」


袋の中から出てきたのはあろうことか、金貨15枚。

金貨が10枚あれば、特に贅沢をしなければ普通に半年を過ごせるくらいの額にはなる。

それにさらに上乗せされた途方もない金額を"合格祝い"というだけで受け取れたのだ。


……このようなこと、前の『ザ・マウンテン』では絶対になかった。

さすがは国内最高ギルドだ。

やることのレベルも質も全く違う。

もはや"待遇が良い"を通り越して"贅沢"まである。


「準備が整った段階で今日のように受付まで来てほしい。そうしたら、パーティーメンバーとの顔合わせを済まして、いざ出陣だ!」


「はい、わかりました!」


大きな返事がギルド内へと響き渡る。


こうして、俺の天国のような場所への転職が決まったのだった。





「……イメルダー!戻ったぞー!」


「あら、早かったわね。どうだった?」


家の扉を開け、靴を脱ぐと、イメルダが俺の合否結果を尋ねてきた。


「聞いて驚け!受かったぞ!」


「ま、そうよね。」


「……え?それだけ?」


せっかく高々と結果報告をしたのに、イメルダから返ってきたのはそんな平然とした反応。


……あの『ウイニングロード』の採用を勝ち取れたのだし、もっと驚いてくれてもいいんじゃないか?


「……なんか反応薄くない?」


思ったことをそのまま伝えることにする。


「それはそうよ。貴方の力からして、落とされる方がおかしいわ。」


「……からかってる?」


「いいえ。本心からよ。元のギルマスである私の目に狂いがあるとでも?」


「……はい?」


いきなり『私はウイニングロードのギルマスだったのよ』なんて戯けたこと言うなよ。

寝ぼけてるのか?


「あっ、その顔は信じてないって顔ね。」


口に出していないのに見事、俺の胸のうちを当ててみせる。


「これを見なさい。ほら。」


「えー……?」


懐の財布から何かを取りだし、俺の目の前で見せつけてくる。

えっーと……これは……


「ティタノキアのバッジ!?」


「そうよ。これで信じてくれた?」


が手にしていたのはのギルマスだけが着けることを許される"聖龍・ティタノキア"が象られた金のバッジだった。


先程に会ったボワードさんの着けていたものと瓜二つ。

偽物とは思えない再現性の高さだ。

……ってことはつまり?


「マジでギルマスだったのか!?」


「だから、さっきからそう言ってるじゃない。」


『しつこいわね』とでも言いたげにため息をつく。

そんな……こんな近くで、小さい頃からずっと一緒にいたのに全く気づかないなんて……。


「なんで……止めちゃったんだ?」


あそこまで待遇の良いギルドの頂点なら止める理由なんてないんじゃないのか?


「単純な理由よ。一生生きていけるくらいのお金は稼げたから引退したの。ずっと続けるには大変な職だしね。」


「へ、へぇ……」


かなり打算的な理由だな……。

あと、イメルダには悪いけど……思っていたよりも普通の理由でなんだかガッカリだ。


「そういうわけで私にはあのギルドの勝手がわかってるのよ。」


「は、はぁ……」


俺のなかでの評価が『イメルダ=ただの幼馴染み』から『イメルダ=かなり凄い人』に改められる。


「ま、そんなことは置いといて……夜ご飯にしましょ!」


俺の混乱をよそに、イメルダは首根っこを掴んで食卓へと持っていってしまう。


ーーつくづく、精神的にも身体的にも疲れる日となった。





6話は週明け月曜日に投稿予定!

待っていてください!



(いつもの一言)


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