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週末戦争  作者: アルミ爆
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オペレーションテスラ

 簡単な爆撃の後、判明した敵のアジトを爆撃し、山口は基地へと帰投した。ちょうど敵の反撃機が上がってきたところだったが、旧型のレシプロでジェット機に追いすがれるわけも無く、火のついた矢みたいになって森の中に落ちて行った。敵パイロットの脱出は確認できていない。


 基地に降り立つとすぐさま燃料補給と弾薬の補充が行われた。今回積み込まれたのは広島型原爆、うちのクランで一発しか保有していないブツだ。


「日本人の飛行機にこいつを積むなんて誰が考えたんだ!?」


 少なくともハンガーにはあと12機、爆撃機がある。

 そのどれもが出払っていないのはバンカーフラッグで明らかだった。


「次のタスク告知があった。オペレーションテスラ。成功報酬は熱核爆弾2発。もっとも、そんなものバランスが崩れるから強いやつらは使わない。でも、新参者はここぞとばかりに使うかもしれない。ブリーフィングは五分後だ」


 作戦室は古い銭湯の更衣室みたいなところだ。そこに作戦地域の書かれた昔ながらの地図と大量のパソコン、そして飛行機のプラモデルが並べられている。寄せ集めの椅子たちはパイプ椅子ばかりだ。山口はその一席に腰を下ろした。


 すでにクランの主要メンバーは100名ほど顔を合わせ、静かに席についていた。エースパイロットの佐藤、小林、小林、斎藤の四人の姿もある。小林は二人いる。

 基地の対空を務める男がプロジェクターをホワイトボードに映し始めた。地上勤務の面々がノートを広げる中で、パイロットチームはメモも開かない。万が一撃墜され敵の捕虜となった時、メモなど持っていれば作戦が漏洩する。だからパイロットはすべて頭に記憶する。


「作戦は単純明快、ポップ地点が敵の陣地内なので、こちらから航空兵力で先制攻撃、これを撃滅します」

「どこの敵が一番近い?」

 F2乗りの小林が不満そうに聞いた。

 敵によっては地対空ミサイルを保有している可能性があった。戦闘機は動力降下(エンジンを付けたまま全速力で地面に向かってダイブ)すればミサイルを振り切れることがあったが、人間がそれについて行くのは苦痛だった。全身の血が頭に登り、目が充血して視界が無くなる。フレアも一応積んではいるが、お守り程度だ。まして足の遅い爆撃機を連れて行くのだから、制空権の確保は責務。


「豚野郎の部隊が一番近いです」


 山口は自分の機の任務を確認した。

 ただ一言待機とあった。


 通常作戦には情報を漏らさないという前提がある。だから普通、武器弾薬の補充はハンガー内で行われる。だが露天駐機のB52には世界初の実戦に使われた原子爆弾が積み込まれている。それをわざわざ敵の目に晒したのだ。


 つまり脅し。使うつもりはないということだ。

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