異世界行き快速急行
風のない静かな午後7時
俺の名前はハルキ。
17歳で青春を謳歌している(自分で言うのもなんだが)ごく普通の高校2年生である。
これからまだまだ楽しい人生が待ってるのかな...
そんな何気ないようなことを考えながらいつもより少し遅く部活の帰り道を歩く
家から学校まではそこまで離れていない、徒歩10分弱といったところだろうか...
人通りも無く、車もあまり通らない道をてくてく歩く。
そして家から1番近い交差点に差しかかった。
青信号を確認して横断歩道を渡る...と、その時だった
ふと隣を見ると大型トラックが全速力で走ってきており、もう目の前に迫っていた。
俺は大きく目を見開いた。
「えっ...?」
「ぐっ.....ん?」
俺は仰向けになって、なにやら長椅子のようなものに寝ていたようだ...ガタンガタンと地面が揺れる...
電車か何か、か?
長椅子はふかふかしていて...ってあれ?
俺は思い出し、気づいた。
「俺って死んだ...のか?」
記憶はとても曖昧で何が起きたか分からない...
すると隣で声がした。
「えぇ...あなたは死んだんですよ」
隣を見るとそこにはすっっごい美少女がいた。
18か19くらいか?若いようだが大人っぽい雰囲気が出ている。そして彼女はまた口を開いて
「私はゼレネール。ハルキさん、あなたを異世界へ送るという神からの使命を受けて参りますt...参りましたっ!」
今...噛んだよな...?可愛い...
なんて考えてる場合ではない。全く状況が読めねぇ...
「どういうことですか?異世界?とりあえず事情を説明してください!」
「敬語なんて使わなくていいですよ」
少し笑ってそう言ってから彼女は事情を話し出した。
「この世の中にはハルキさんの住んでいた人間界とは別に異世界があるんですけど...」
「いやいや早速わからんのだが!?」
そんなラノベみたいな展開あるのかよ...?
「まぁ信じられないこともあるでしょうが死んだあなたが今生きているんですよ?」
まぁそれもそうだな...やはり俺は死んだのか...まぁとりあえず最後まで聞こう。
そしてゼレネールは再度口を開いて話し始める。
ゼレネールによると異世界では人間界で不足している資源などを提供して補う重要な役割をしており、内側から人間界を支えている...が、異世界では妊娠率が低い上に年間死者数が多く、異世界人の数が釣り合わず、絶滅の危機にあったようだ...
「そこで、日本の20歳以外の年間死者数の5%を転生させて異世界に移るんですよ」
「ってことは俺ってラッキーじゃん!?」
「まぁそうれs...そうですねっ!」
また噛んだ...可愛い...
異世界には魔法があったりガンダムのような巨大ロボットがあったり、人間界を遥かに超えた文明と文化があるらしい。
「なら今俺が乗ってるこの電車は何なんだ?」
「これは人間界と異世界を繋ぐ電車ですね!あと約20分ほどで異世界に着きますよ!」
並の速さではない、まるで快速急行のような速さで異世界行きのこの電車はどんどん進んでいく。
ちなみに異世界で暮らすため、人間ではなく俺はもう異世界人になったらしい。
そして異世界人のことをジルマと言うようだ。
人間界生活を終えて、今から始まるのはジルマ界生活。
しかしそれはそう甘いものでは無かった...
「それでは私はここで...」
ゼレネールは元人間のみが住む寮へ俺を案内して、そこで別れた。
その寮では、3ヶ月間は家賃を政府が肩代わりしてくれるようだ。まずは大家さんのところに行かなければ...
「ここが、俺の新しい家...」
うん、汚ぇ...
でもそれくらい我慢しねぇとな!
そして俺は大家さんのところへと行った。
俺はドアをノックして
「失礼します!」
「どうぞぉ」
ドアを開けると、メガネのショートヘアーで身長は俺と同じくらいか...?寝っ転がっていてだらしなかっ...まるで寝起きのような感じだった。
「えっと大家さんは...」
「私だけど?」
「え?...えっ...とぉ.....」
「私だよっ!(キラン)」
「失礼しました」
「待てぇぇ!待て待て待て待て待てぇぇぇぇ!!!」
「ぎゃああああああああ!!!」
「話は聞いてるよっ?ハルキくん...だっけ?」
「.....はい」
「うぇーーい♪ハルキくんうぇーーい♪」
「.....」
まさに理解不能である。なんでこんな人が大家さんなんだろう...
「ノリ悪いなぁハルキくんはぁ」
唐突にこんな感じで接されたらビビるでしょ...
それから鍵を貰って言われた部屋に行ってやっと一段落...
疲れた...
これからどんな人生が待っているのだろうか...
不安でいっぱいだ...でも2度目の人生、2度とこんなチャンスはないだろう...だからこそめいいっぱい楽しんで過ごそう...!!
そう俺は決心したのだ