リスト
メールで今日買ったものの一覧が送られてくる。
スーパーや自動販売機やネット、本屋さんや喫茶店などでお金を使うと全て記録され、表になっていたり、時系列に並べられていたり様々に工夫され送られてくるのだ。印刷すれば、それだけで家計簿の1ページになる。
家計簿サービスと言う会社が運営するサービスは、瞬く間に浸透していった。
「今日は、使いすぎたかも。」
1人、家でメールを確認していると、インターホンがなった。
「こんにちは!家計簿サービスの者なのですが、このたび新しいサービスを配信することになりました。新しいサービスでは、こちらの機械が必要となるのですが、家計簿サービスをご利用いただいている方には無料で取り付けさせていただいております。今から10分ほどで作業は終了いたしますので、よろしければお試しになりませんか。」
あやしい。
「ちょっと今、立て込んでいているので少し待って頂いてもいいですか?」
ドアを開ける前に、家計簿サービスに連絡した。
「はい。支店の坂本が、たしかにお伺いしております。強制ではございませんので、よろしければご検討くださいませ。もし、何かご不快なことがございましたらご連絡ください。」
本物だった。無料で使えるなら、貰っておこう。
「お待たせしてすみません。ぜひ、よろしくお願いします。」
機械は、郵便受けに取り付けられた。
次の日から、その日に買わなくてはいけないものの予測リストのメールが届くようになった。その予測は、驚くほど当たっていた。取り付けられた機械は、外出時間や帰宅時間に、メールの内容がプリントアウトできるというものだった。
実は、その機械はセンサーで個人を特定しその前を通った時間が分かるようになっていた。帰宅時間、外出時間と購入された金額や時間のデータを使い、何時ごろにどの店に向かうのか予測できるようになったのだ。統計が取られ、各店舗ごとにどの時間にお客様が訪れるのか分かるようになりさらに何を購入するのか、事前に分かるようになった。
企業向けに配信されるサービスは統計予測サービスと呼ばれ、主に生ものの販売に役立てられ、廃棄される商品が少なくなった事は大きな評価を受けた。
このサービスを作り上げた、会社の社長は大きな虚無感に悩まされていた。長年のデータから、たいていの予測が立てられるようになり、つまらなくなったのだ。
この社長は、
【全ては、予測できる。】
この名言を残し、のちに偉人と呼ばれるようになる。
※この社長でも予想できないことをやらかす女の子とのラブストーリーが読みたい。がっつり、長編で。
あと郵便受けの機械は、人の動きも測定できるトイレ革命の機械の延長みたいなものかな。と思いました。