対談1:押しかけダンジョンマスター
「あのですね、私にだって都合っていうものがあるんです。呼んでもいないのに来られると……」
「別にいいじゃないですか。俺にだっていずれインタビューするつもりだったんでしょう?」
「それはそうですけど……」
「だったら1回目は早く済ませて、また時間がある時にゆっくり話した方が良いんじゃないですか? 他の作品の主人公だって自己紹介しかしてないんですし。」
「そういうことを言わないでください! なんであなたはいつもいつも勝手に動き回るんですか!」
「それはグレンさんが俺に自分の願望とか性格とかを全て詰め込んだからですよ。結果、俺とグレンさんの性格が似通って、俺は勝手に動くようになった。」
「はあ……リチャードさんに私の性格をリンクさせるべきじゃなかったかもしれませんね。」
「それより、俺にインタビューしないでいいんですか?」
「あなたがダンジョンを攻略してからインタビューする予定だったんですよ、それなのに、ダンジョン攻略途中に来たりするから……まだインタビューの内容を考えてないんですよ。」
「なら、何で俺はここに来たんですか?」
「私のせいじゃないでしょう? 私はあなたを呼んでませんから! 勝手に来たあなたが悪い!」
「はあ……もういいです。ちゃっちゃと話しちゃいましょう。」
「言われなくてもそうするつもりですよ。さっさとダンジョンを攻略して欲しいですからね。私だって暇じゃないですし。」
「じゃあお願いします。」
「ええ。じゃあタイトルコールから。はい、本日は【ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~】の主人公、リチャード・ルドルフ・イクスティンクさんが勝手にいらっしゃいました!」
「タイトルコールに悪意があるような……まあいいや。どうも皆さん、リチャードです。」
「自己紹介は結構です。さっさと終わらせたいので。ではズバリ聞きますが、あなたの名前はディックということでよろしいですか?」
「違います。リチャードです。」
「そうですか。リチャードならディックですね。」
「愛称はディックでしょうけど……」
「ならディックでいいじゃないですか。」
「よくないです。I loath being called Dickですから。」
「英語で賢いアピールはどうかと思います。今の文の訳は【私はディックと呼ばれるのを酷く嫌がっている】ですよね?」
「そうですよ。」
「あなたが弱みを晒すのは相手に心を開いてほしい時。しかし、あなたに対して私が心を開くのはもう少し後ですね。また今度来てください。今私は忙しいので。」
「分かりましたよ。戻ればいいんでしょう?」
~2分後~
「ふう……やっと戻ってくれた……」
「戻って欲しいなら俺に戻れって単刀直入に言えば良かったんじゃないですか?」
「まだいたんですか? さっき戻ったんじゃ……」
「そこの戸棚の影に隠れてました。グレンさんが気を抜くのを待って出てきたらどんな反応をするのか気になったので。」
「そんなことに好奇心を持つな! 好奇心は狼をも殺すんだぞ! 帰れ!」
第1回対談終了。
好奇心は猫をも殺すが正しいということは理解しています。