浴衣美女×2
三人での帰り道から、四日後の土曜日。約束していた、祭りの当日となった。
夏希達は、用があるとかで買い物に行っていたが、今は二人で藤宮の家にいる。
俺は、藤宮の家へ約束の時間に迎えに行くことになっているので、ズボンのポケットに携帯電話と財布だけ入れて、余裕をもって家を出た。
然程遠くないので予定通りの時間に着くと、ほんの少しだけ緊張しながら初めて藤宮家のインターホンを押した。
しばらくすると、突然家のドアが開き
「行ってきます。」「お邪魔しましたー。」
などと言いながら、夏希と藤宮が家から出てきた。
俺は、「うわっ」と叫びながら後ろに仰け反ってしまった。
「何か言ってから開けろよ。いきなりドア開いてびびったわ。てか....」
二人とも浴衣を着ていた
夏希は、赤の浴衣に白い帯。藤宮は、紺色のベーシックな浴衣に帯は赤色で、二人とも花柄だ。
髪型もいつもとは違く、藤宮は編んだ髪の毛を後ろで団子にしている。
夏希は緩く巻いたサイドテールだった。
「その浴衣、今日買ったのか?」
「うん。昨日メールで決めていきなりだったんだけど、なんとか買えたの。」
俺が問うと、藤宮が口を開いた。
「そーそ!レンタルでもあれだしね!まぁ色々と時間かかっちゃったけど。」
と、続いて夏希が言う。
しかし、二人とも少し化粧をしているが、こうやって改めて見てみると
「....どっちも、綺麗だな。
........あっ、」
つい、そんなことを声に出してしまった。
一瞬、言い訳も考えたが別に嘘を吐いたわけではないので、それ以上何も言わなかった。
すると、
「な、何を突然そんなキモいこと言ってんのよ。いいから、もう行こっ!」
夏希はそう言って、頬を紅くしながら俺の横へと来た。
そして俺の耳元で、
「ありがとう」
と呟く。
不意打ちをくらって多少驚いたが、
取り敢えず三人で並んで歩きだした。
歩きながら藤宮の方を見てみると、彼女も顔が赤かった。
多分、それは自分もだ。
俺は、両手に花気分で神社までの道を、少し得意気に進んでいった。