表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/48

恋季を翔る

告白、ねぇ……。


優季の口にした言葉を心の中で反芻する。

それから腰を持ち上げ、ソファーに再び腰掛ける。


「いや、何でかな。多分優季の言う通りで成り行きっていうか、なんか思ったんだよ。色々と」

「なんだ、待てなくなっちゃったんだ?」


確かに、優季がクラスに馴染めるまで待つ。それが俺達の交わした約束ではあった。

でも、今になってなんだか馬鹿馬鹿しくなってきた。そんなことをしなくても、何とかなるんじゃないか? 最近はそう思っていた。

それに、


「俺、今日とか今までの優季見ててさ、本当はあいつらと仲良くなりたいと思ってないんじゃないかなって、結構思っちゃって。間違ってたらごめんだけど、色々長谷川達から言われるの、キツいでしょ」


俺がそう言ってみると、優季の方から僅かに息を漏らした音が聞こえた。

俺は多分、彼女の為に何かをしてあげられる。

自意識過剰だと言われればそうかもしれないけれど、きっと今までは何か出来た筈なのに、何もしてこなかっただけだと俺はそう信じたい。

好き、と彼女に言われた。

それならば、自分の俺の立場を守ろうとしている彼女に甘えてしまうのは、間違いではないだろうか。

俺は優季の方に向き直って、そして瞳を合わせる。

それで、優季にもこちらの意が伝わったのだろう、ゆっくりと彼女は口を開かせる。


「そうだね。……もう、どうにでもしちゃおうぜ」


恥じらいもあったのか、彼女は若干おどけた様子でそう口にしたのだが、その言葉は本音であると本人の目が語る。


優季の肩を掴んで、それからゆっくりと俺の方に寄せて、しっかりと、彼女を抱き締めた。

その後優季も俺の背中に腕を回し、お互いに抱き締め合う形になる。俺はそのまま、体重を後ろにかけて優季もろともソファーに横になった。

彼女の柔らかい体の感触が、温もりが、体重が、段々と伝わり始めた辺りで、優季が耳元で呟いた。


「ねぇ、甘えてやろうか?」


いいよ、と俺は答える。

優季は俺の頬に頭を擦り付けるようにしたり、抱き締める力を強くしたり、いつもの彼女とは全く違うような雰囲気で接してきた。


「俺さ、モテるじゃん?」

「自分で言うのはキモいけど、認めてあげる」

「お、おう。でさ、優季がクラスに馴染めたとしても、俺女の子と話しちゃうわけよ」

「なにそれ、意味わからない。それで?」

「……それで、俺の立場悪くなった方がさ、俺ら付き合い易いんじゃない? だから、一緒にはぶられよう」

「……ちょっと、腕ほどいて」


俺が優季に添えていた手を離すと、優季は体を少し上げて、俺と顔を対面させる。

俺は、緊張している。

勿体無い気もする。

でも、俺はどうしても優季が好きで。


顔を赤くした優季が口を開く。


「私だって、モテる。一学期に二人振った」

「知ってる。それ前に聞いたじゃん」


一見、その場に適していない言葉たち。それを介して俺達は気持ちを伝え合う。


――翔琉が、好きだ。

――優季が、好きだ。


「……私、初めて」

「へぇ、意外。俺二回目」

「死ねよ」

「嘘だよ、俺も初めて」


軽く、冗談混じりの会話を交わす。


その後は、俺の方から唇を重ねた。

初めてにしては、上手くいった気がする。


「……ばか」


不機嫌そうに言って、そしてはにかんだ優季。

それが、可愛くて、愛しくて、大好きで。


きっと今日踏み出せた一歩は、俺達の恋の季節を翔抜けていく、大きなものだったに違いない。


今回で翔琉story二幕終了です。

次回からまた春也達の話に戻りますが、彼らはそろそろ秋と冬が関わってくると思います。まあ、私次第ですけどね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ