翔琉story7
十月下旬ともなると最近の屋上は寒くなり始めていて、曇りの今日は一段と冷たい風を頬に受け止めていた。
そして、その隅の方で赤髪の美少女はブレザーのポケットに手を突っ込みながらフェンスにおっかかって何処か遠くを眺めている。
俺はゆっくりと彼女に近付く。
「優季」
俺が名前を呼んでやると、彼女はこちらに目を向けた。
「なんだ、あんたも来たんだ」
と優季は俺を見て微笑んだ。
「もうちっとさ、仲良くしなよ。長谷川ガチギレしてたじゃん」
「ああー……つい、ね」
「つい、じゃないでしょー。俺だって早く優季とイチャラブしたいのにさー」
「はいはい、私が悪かったよ」
俺は鼻から息を吐いて優季の膝に出来ていた痣を見つける。
「……それ、痛いでしょ。さっきのやつ?」
「まぁね。……机がかすっただけだから、気にしないで」
「ふーん」
すると突然に風が吹き抜けて行き、俺は思わず身を震わせた。さみぃ……。
「優季さん。中入らないっすか? マジ寒い」
「だね。股間とかスースーするし」
「女の子が股間とか言わないのー。……あれ?つか、短パン?」
「今日履いてないんだけど」
「ええー、マジかい」
やっぱ、あの位置からなら見えたんじゃねーかよ!
冗談半分本気の後悔半分で俺は小さく肩を落としてから、先程の彼女の台詞を思い出して問い掛けた。
「ってか、あれ本当? 優季って処女なん?」
「なんだ。聞こえてたんだ」
「クラス全員もれなくね」
「でも、そーゆーこと本気で聞いてくる男キモい。特に金髪のやつとか」
「それ、俺がキモいでいいんだよな」
「それ以外ないでしょ」
……はあ、さいですか。
俺が苦笑うと優季は俺の横を通って入り口のドアへと向かって行き、首だけを振り向かせて口を開いた。
「それで、あんたはどう思う?」
言われた俺は首を傾げる。
「ん? なにが?」
すると彼女は柔らかく口角を上げて答えた。
「いや……やっぱりなんでもないよ」
優季は呟くように言ってから視線を落とし、こちらに巡らせていた首を前に戻そうとする。俺は、彼女が何を言いたかったのか少しわかった気がした。
「なぁ、優季」
「ん、なに?」
俺が優季のその横顔に呼び止めると、彼女は体を振り返らせた。
「今日ってバイトの日じゃないよな?」
「そうだけど、どうして?」
「えーっとさ、別に大した意味はないんだけど……」
うん、大した意味は無い……はず。
その他諸々いくつか確認を終えた俺は、優季に提案をする。
「この後さ、俺んち来ない?」
後ろ頭を掻きながら、そう言った。
予定では前の翔琉storyと同じ話数で終わらせようと思います。




