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前からずっと…

「夏希は俺の事、どう思ってんだよ」


この質問ではあまりにストレート過ぎるが、今まで逃げていた分、このくらい愚直で良いという気もする。それでも夏希は気に入らなかったらしく、自身の膝の上に手を置いて重たい息をはいた。


「……春也、本当に何なの? 今日のあんたなんか変よ」

「……いいから、答えろよ」

「なんなの、偉そうに……」

「――いいからっ! 俺は、お前のことちゃんと知りたいんだよ」


随分と我が儘に俺が急かしてしまうと、夏希は二度ほど視線を巡らせてから俺を見て、膝に乗せた手でスカートを握っていた。


「さっきも、野田さんに言った通りよ。私達は……ただの腐れ縁。ちょっと仲が良い幼馴染みなんだって……」


夏希はそこまで言うと、突然俯いて黙ってしまい、彼女の表情は最近伸びてきた前髪によって隠されてしまう。そんな夏希に俺が口を開こうとすると、


「……それ、なのに……」


軽い嗚咽の混じった声で、彼女は呟いた。


「……どうして今さら、あんたがそういうこと聞いてくるのよ」


俺が夏希の様子に面を食らっていると、彼女は下を向いたまま続ける。


「最近まで、全然そんな事気にしてなさそうにしてたくせに、今になってどう思ってるかなんて聞かないでよ……。この間だって、いきなり抱きついてきたり……。もう、わけわかんない……」


夏希は少し顔を上げて俺の方を見る。そして、その目に溜まった涙が、瞳の端からこぼれ落ちて頬を伝っていく。


俺は、泣かせたのか……夏希を。

今まで、夏希を泣かせたことは一度もなかったのに……。いや、あの日、もしかしたら俺と別れた後に夏希は泣いていたのかもしれない。

あの頃は中学生だったから。今はまだ高校生だから。もう、言い訳になんて出来ないのだ。


「……ごめん」


思った俺の口から情けない声が漏れる。

涙を拭った夏希は、そんな俺に溜め息をついて、いつもの様子に口調を戻した。


「……いいわよ、もう。ここまで恥かいちゃったんだから、いっそ暴露してやるわよ……」


目を伏せた夏希は何かを決心したみたいに、小さく息を吐いてから俺の方を見て軽く顔を赤く染めた。そんな彼女に対して、俺は若干の緊張を抱いていた。この頃は……というか、今まで全くと言っていいほど夏希と話し合いなどをしたことが無かったのだから。加えて、こんな大事なことを話しているのだから、ますます……何と言うか、それだ。


夏希は頬の紅潮をより一層増すと、口を開いた。


「私ね、昔からたまに変なこと考えてる時あるの。……今こんなんだけど、いつかは……その、春也と……つ、付き合うんだろうなーとか……。け、け、結婚とかも……」

「え、お前、何言ってんだ……」

「う、うるさい! あんたが言わせてんでしょ。黙って聞いててよ」


そして夏希は仕切り直してから再度話し始めた。


「だから……その、あんたは、昔から私にとってはただの幼馴染みじゃなくて……。あの、中二の夏休み前に一回変な感じになっても、またいつも通りに戻れたし……。一緒にいるからこそ、そういう風なこと思っちゃうし、私もそういう風になっちゃうの」


夏希はゆっくりと、言葉を選んでいって、


「だから、要するに……」


彼女はそこで俺から顔を背けようとしたが、すぐに直して俺を見詰めた。

感情の孕むその瞳で、俺に伝える。




「……好き、なの。前からずっと、春也のことが」


俺は初めて、彼女の口からその言葉を聞いた。



39話目。読んでいただきありがとうございます!


この場を借りて、いくつか言わせてもらいます。

春也のこの性格で、この二人の関係で、夏希が春也のことを好きになるのか? という感じに普通なるかもしれません(あくまで個人の意見ですが)。それでも、今まで夏希は彼と一緒にいて、良いところも知っているわけですから、言い方あれですけど、「手放す」というのが難しいんでしょうね。

っていうか、つまりは夏希が心の広い優しい女の子だという所に尽きると思います。まあ、わたしが作ったキャラクターなんですけどね……。


……とまあ、こんな感じです。


で、結局何が言いたいかと言いますと……「内容的に気に食わなかった人、こんな感じに納得していってください」ってことです。


長々と失礼しました。これからもよろしくお願いします。

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