小人、再び
「二階の英数教室で、お化け屋敷やってまーす」
「よろしくお願いしまーす!」
人混みでざわざわと賑やかな廊下で、俺と三浦は声を張り上げる。
十時からの一般解放の後、大勢の人により校舎の中はなかなか騒がしいものとなっていた。それにしても、人が多すぎる。中学の頃とは比べ物にならないな。
「そういえば、春也くんさ……あれ、藤宮さんに聞いてくれた?」
騒がしい中で、三浦は俺に声をかける。今聞くということは、三浦は藤宮の事が相当気になっているのだろう。
「藤宮、彼氏いないってさ」
「マジ? よかったわー」
三浦は少し嬉しそうに、はにかんでみせた。
「あと、三浦が気になってるって事も伝えといた」
「え、ウソ?! それは、なんかダメじゃね? オレ告ったみたいじゃん」
というか代弁そのものだな。
「わりい、俺も言った後に不味いかなと思ったんだけどさ、でも藤宮も案外嫌そうな顔しなかったぞ?」
「……それって、脈アリってこと?」
何故か三浦は、驚いたような顔で俺に聞いてくる。てか、脈アリかどうかは分からないが、コイツの一印象チャラそうとか何とかだし。
「よく分からないけど、まあ頑張ってみろよ。応援してるぜ」
俺はそう言って、少し違和感の残る鳩尾の辺りを撫でた。なんだ……これ。
十一時半になり、そろそろ役割の交代の時間という事で三浦はそのままどこかへ行ってしまった。そこで、一人になった俺は目的も特に無いのでひとまず、お化け屋敷の方に行くことにした。
そういえば健人と夏希や永瀬や藤宮も前半に仕事だったっけか……。
そんな事を思い出しながら英数教室に向かうと、そこにはそれなりに行列が出来ている。これも、お化け屋敷の特権だろうか。
するとその近くで、あからさまに挙動不審な小柄な女の子を見つけた。どこかで見たことあるような容姿と雰囲気。
俺は後ろからゆっくりと近付き声をかける。
「……野田さん?」
その子は、健人の彼女である野田梓だった。苗字を呼んでみると彼女は、「ひぁっ」と小さな声を上げて肩をビクッと震わせた。
振り向いた彼女は、俺の事を上手く思い出せていないようで、不審そうに俺を見つめる。
「あれ、俺のこと忘れた? 健人の友達だよ。てかごめんな、驚かせて」
野田さんは数秒考え、思い出す。
「……あ、どうも!」
彼女は小柄な体で、ペコリと可愛らしいお辞儀を俺にした。
切るところ無かったので、今回は少なくなりました。




