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文化祭準備3

「なんだよ…ミッションって」


横文字使って響きは格好いいが、翔琉こいつの考えなので、どうせくだらないことなのだろう。


「まあ、取りあえずあそこ見てみろよ」

翔琉は窓から隣棟の二階を指差した。一棟の二階は多目的室が並んでいて特別目立ったものは無い。


「で、どこを見ろって?」

「あそこに第二多目的室あるだろ、そこ行ってこい」

「……なんで?」

「なんでもだ」

「翔琉……お前、馬鹿に拍車がかかったんじゃないか?」


翔琉が何を考えているか謎過ぎるし、全く話が見えない。

すると、翔琉の横で石川が溜め息をついて自身の赤髮を掻き上げた。翔琉はその石川に目をやると彼女に「大丈夫だって」と呟き、にやけながら俺と肩を組んでくる。


「いいから早く行けって、藤宮ちゃん大変そうだからさっ!」

「はあ? 藤宮?」

「そそ。ほら、ちょうど出てきた。見てみ」

俺は翔琉につられて、窓から第二多目的室の方を見ると大きな木箱を抱えながら教室から出てくる藤宮の姿があった。木箱は二つあり、運び歩く藤宮はとても重たそうにしていた。


あぁ、なるほどな。


木箱の中身は多分お化け屋敷で使う暗幕だだろう。それを見てようやく、翔琉が俺に何をさせようとしているのか気付いた。


「……つまり、藤宮の暗幕運ぶの手伝えってことか」

「ビンゴ!」

翔琉は俺に向けて親指を立てる。

どうしてこいつはいちいち面倒な言い回しばっかりするのだろうか。俺は翔琉の楽しそうな顔を見て、ひとつ小さく息をはいた。


「お前、何がミッションだよ。それならそうと普通に言えよ」

「かっこいいだろ? ミッションって」

「そもそも、俺が藤宮の仕事手伝うことと俺が大人になることにどう直結するんだよ」


俺が聞くと翔琉は「んー」と考えるように唸ってから、

「……よくわかんないけど、ひとまず人助けってイイよな! って感じにならないか?」

「お前は馬鹿だなって感じになるな」

「ひでえな君は」


よくわからないという彼からの思わぬ返答。翔琉くんは何も考えていなかったみたいだねぇ……。


「まあ、要するに俺が言いたいことはな……――」

「――おい、金髪」

翔琉が何か言おうとすると、細くもよく通るような声に彼の言葉は遮られる。


「……いい加減にしとけよ。私も、あんたも暇じゃないんだから、早く帰るよ」

そう冷たく言い放った石川は翔琉の耳たぶをつねっていた。


「ちょ、優季わかったから! マジで痛いから! てか爪長いよあなた!」

石川が翔琉の耳を離すと、彼は自身の耳を痛そうに擦りながら俺に言う。

「んじゃ、俺ら予定あるからもう行くわ」

「お、おう。耳は大事にしとけな」

「危ういかもしれん……」

そんな言葉を残して翔琉逹はその場から去っていった。


俺は不意に、窓から一棟の二階を見る。

藤宮は未だに二つの木箱をどう運ぶか悩んでいるようだ。


ミッションか……


「……よし」

俺が一人で小さく呟くと、後ろから誰かが廊下を走る音が聞こえてきたと同時に、


「――さっきのお返しだぁ! ライダーキッーク!」


そう叫んだのは、仮面も付けていない、変身も出来ない、バイクにも乗っていない、明るい髪色のただのアホ。


突如そいつは、俺の尻に飛び蹴りを食らわせた。



遅くなりましたが、まだまだ終わりませんよ。

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